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4.他人を見ている余裕なんてない

「オゲェェェェ」


ノガワは食べたばかりの昼食を外に吐き出す。

クラスメイトたちも同じように、口からモザイクのかかるモノを出していた。

もう、女子が恥ずかしがってとか言うこともない。

だって、皆自分のことでいっぱいいっぱいで、他人を見ている余裕なんてないのだから。


「よし!お前たち!よく頑張った!今日の訓練はここまでだ!」


ファターヤがそう声を上げると、一部の生徒たちが嬉しそうにガッツポーズをする。

その一部以外は、疲れすぎていて動くことすら出来ない。

 ーーなんだよぉ。ウサギ跳び1時間ぶっ続けってぇ!ウサギ跳びは膝に悪いんだから、1時間もやらせるなよぉ!!


「それでは、しばらくしたら寮に移動する」


そう宣言され、数分後。

ノガワたちはファターヤの後についていき、寮へと案内された。

1人部屋ではあるが、畳2畳程度の広さしかない。


「お前たちにはしばらくここで生活して貰う。荷物を置いたら、夕食を食べるぞ。すぐに準備しろ」


「「「はい!!」」」


ノガワは自分の部屋へ入り、ベッドの上へ元の世界から持ってきていた持ち物を置く。

それから、部屋を出てると、すでに半数近い生徒が集まっていた。

 ーー早いなぁ。まともに部屋を見てないんじゃない?


すぐに全員集まり、夕食を取るために食堂へ連れて行かれる。

そこでの食事は、昼食もそうだったのだが、


「……なんでだろう。凄いお腹は減ってるはずなのに」


「そうだよな。腹は減ってるんだけど、なんで、この料理を口に入れるのを、俺の手が拒否するんだろうか?」


料理が口に入れられない。

その理由は勿論、

 ーーなんで、なんでこんなに食事がまずいんだよぉ!


「お前たち!早く食べないか!戦場で十分に食事がとれる時間などないのだぞ!食べれるときに素速く食べるんだ!」


「「「は、はい!」」」


クラスメイトたちは返事をした後、しばらく手に持っている器の中を見つめる。

それから、意を決したようにお目を瞑って、口に流し込み始めた。

体が全力で飲み込むことを拒否しているようだが、鞭で押し込んだり、水で流し込んだり押して無理矢理飲み込んでいる。

クラスメイトたちの中には、目に涙を浮かべているモノも大勢いた。


 ーーそ、そんな泣くぐらいなら食べなくて良いと思うんだけどなぁ。

ノガワはその光景を見ながら、誰にも見られないように食事を服のポケットなどに隠していった。


「よし!食べ終わったな!疲れているだろうし、今日はもう就寝だ!」


水浴びをするコトモ出来ない。

クラスメイトたちは汗臭い体に顔をしかめつつも、諦めたように自分の割り当てられた部屋へ戻っていった。

ノガワも、目立たないようにしながら部屋へと戻っていく。


「あっ。窓あるじゃん」


部屋へ戻ってよく見てみると、部屋には窓があった。

だが、その窓には監獄のように鉄格子がしてある。

とは行っても、この世界にはガラスで窓がなさそうなので当然なのかも知れないが。


「まあ、丁度良いかな。ちょっと下を見てみて」


ノガワは窓から下を見下ろす。

ノガワの部屋はそこそこ地上から離れた場所にあり、真下がどうなっているかは分からない。

 ーーうぅん。どうにかして真下も確認したいけど。何か部屋に良いモノがな……あった。


「コレで見てみよ」


使うのは、快適な化粧台に置いてあった手鏡。

暗いため非常に見にくいが、下の方の火の明かりを上手く利用して確認していく。

 ーーん?人が集まってる?誰だろう?


鏡を操作してよく見てみると、そこにいるのは、

 ーーうわぁ。ファターヤじゃん。何で外にいるの?

ノガワたちを鍛えていたファターヤが、下の方に集まっていたのだ。


「他の兵士たちも、全員外にいるみたい。……まあ、いいか。それなら都合がいいし」


ノガワは、兵士たちが外にいることをもう1度確認し、手鏡を化粧台の上に置く。

それから、扉に耳を当て、

 ーーうん。足音はしないね。


周りに人の気配がないことを確認し、扉をそっと開く。

そのまま音を立てないようにあるいて、階段を目指す。

 ーー皆寝てるのかな?まあ、結構疲れたから、それも仕方ないよねぇ


「誰もいないなぁ」


階段を降りながらノガワは呟く。

クラスメイトたち以外は外に出ているようだ。

 ーーまあ、ソッチの方が楽で良いんだけどねぇ。


「ここだったよね」


ノガワは1階へ降りて、食堂の前で立ち止まる。

もう1度周りを見渡し、耳を澄ませ、近くに誰もいないことを確認してから食堂に入った。

食堂に入った目的、それは勿論、


「あった。食堂だし、これくらいあるよね」」


ノガワが見つけたのは幾つかの食料、

ノガワは夕食を食べていなかったので、お腹がすいていたのだ。

 ーーうん。美味しくはないけど、出された料理よりは断然マシだね。


ノガワは幾つか食べ物を食べ、食料を元の位置に戻していく。

それから、自分の部屋に戻ろうとしたところで、


「チュゥ」


「ん?ネズミ?」

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