39.旅人にはそういうの必要
前回上げる話を間違っていました。
すみませぇん。
「………ほぅ?」
早速交渉を初めて見る。
情報屋の目が細められた。
ーー村や町をまわってるって言ってたから、王都の情報をあんまり持っていない可能性が高い。交渉次第では、かなり良い情報が貰えるんじゃないかな?
「金が欲しいのか?」
情報屋が対価を尋ねてくる。
ノガワは最初から、情報を対価として貰う予定だ。
ーーこれから魔王城に帰ろうって言うのに、お金なんて貰っても何処で使うんだろうって感じだし。
「いやいや。僕も、ちょっと情報が欲しいなぁって思って」
「………ふぅん。なら、ちょっと移動するか」
「うん。OK!」
情報屋は、人気の少ない場所に移動する。
ノガワもそれについて行った。
ーー路地裏って感じはするけど、治安はあんまり悪そうじゃないね。路地裏の治安が悪いのは、王都とかの大きい街だけなのかな?
「それで?王都で良い情報があるのか?」
「……まず、最近王都で何があったか知ってる?コレを知ってたら、ほとんど僕の情報に価値はなくなっちゃうんだけど」
ノガワがそう言うと、情報屋は顔をしかめた。
ノガワが何の情報をにぎっているのか考えているのだろう。
そして、疑わしげに、
「まさか、異世界人の召喚の話じゃにだろうな?そのくらいだったら俺も知ってるぞ」
「はははっ。違うよぉ。……でも、その反応だと知らないみたいだね。昨日のこと」
情報屋は、異世界人のことは知っていた。
が、ノガワがそれであることには思い至らんかったらしい。
ーーなんでだろ?黒髪は珍しいってよく言われてたんだけど。……あぁ。情報屋だから、逆に分からなかったのかな?異世界人は全員前線に送られてるって知っちゃってるから。
「昨日のこと、か」
情報屋はわずかに首を傾けた。
本人は隠しているようだが、ノガワにとってみれば知らないのはバレバレだ。
だが、情報屋はかなり粘って黙り、ノガワの目を見つめる。
ノガワがそれに、余裕の笑みを返してみると、更にしばらく見つめ合ってから、ため息をつき、
「……知らないな。教えてくれ。その内容によって、お前に話す内容も変わるが。何が聞きたいんだ?」
「うぅん。あんまり知られてないスキルの獲得条件、とか」
「ああ。なるほどな。旅人にはそういうの必要だよな」
対価に納得してくれたようだ。
その納得した理由はよく分からないが、旅人だとスキルが必要らしい。
ーーなんで?旅人って、スキルが必要なの?よく襲われたりとかするのかな?
「なら、対価はスキルの獲得条件ね。……それじゃあ、話すけど、大丈夫?」
「ああ。OKだ」
一応許可を取っておく。
メモしたければメモをとって貰った方が楽だし。
ーーもう一回同じ話をしてくれって言われると、時間の無駄にもなっちゃうしね。
「昨日、王都で火事が起きたんだよ」
「は?火事?……お、おい。それが情報だとか言わないよな?」
「え?それが情報だけど?」
情報屋があきれた顔をしている。
どうやら、火事は貴重な情報ではないらしい。
ーーまあ、小規模な火事は、貴重な情報じゃないよね。でも、
「お前、火事なんていちいち情報を集めてたらきりがないぞ。何回起こると思ってるんだ?」
「チッチッチッ!分かってないなぁ、お兄さん。この火事は、家が1軒2軒焼けた程度の火事じゃないんだよ」
「………ほぅ?」
情報屋の表情が変わった。
どうやら、真剣に話を聞く気になったようだ。
その表情を見つつ、ノガワは話を続ける。
「かなり大規模な火事でねぇ。何でも、隣街からも燃えてるのが分かったんだって。まあ、夜に起きたって言うのも、見えた理由の1つかも知れないけどね」
「はぁ~。かなり大規模だな。となると、どっかの家で料理中にって訳でもなさそうだな」
良い読みをしている。
ただ、ポーカーフェースはあまり得意ではないようだ。
ーー普通に驚いたりしてるから、結構重要な情報だって分かっちゃうよ。ここは、あんまり情報に価値がないように思わせて、僕のことを焦らせたりして、もっと沢山情報を引き出すって言うのがセオリーなはずなんだけど。
「そうそう。噂によると、王都の衛兵の何人かがクーデターとして火を付けたって話だったんだよ」
「はぁ?ちょっと待て、それはないだろ。クーデターって」
疑わしげな表情になる。
だが、そう言う噂が流れていたのだから仕方がない。
それに、
「でもね。僕も衛兵っぽい人を見かけたよ。門の近くに立ってて、逃げようとする人たちを殺してた」
「うぇ~。お前も見たのか。それが本当に衛兵なのかは分からんが、そのはなしを信じるなら武装勢力がクーデターを起こしたって事だよなぁ」
情報屋は難しい顔をしながら何度か頷いた。
それから腕を組み、何かに悩み出す。
そして、数秒考えた後、すがすがしい笑みで顔を上げ、
「昨日って言うのが良いな。かなり価値のある情報だ。他の情報屋に売れば、かなりの金額になる。ということで、お前への報酬ははずむから、他の情報屋には黙っといてくれないか?」
「はぁ~。お兄さんも悪だねぇ。……でも、いいよ。黙っといてあげる。ただ、報酬はよろしくね」




