36.思い知らせてやった音だ
ドガアアァァァンッ!!!
「っ!?うえぇぇ!?何!?」
朝。
ノガワは、轟音が聞こえて飛び起きた。
そして、すぐに窓へ駆け寄り、またこの街でも反乱が起こったのかと外を見る。
が、
「あれ?何もない。じゃあ、何の音?」
ノガワは首をかしげる。
そして、しばらく待機しても何も聞こえなかったので、フロントに行って尋ねてみることにした。
ーー予定にない音だったからビックリしたよ。僕が魔王軍からのスパイだってバレたのかと思った。
「あっ。おはよぉ。何か凄い音がしたけど。大丈夫なの?」
ノガワはフロントの柄の悪そうな男に尋ねる。
男は質問を受けて、ノガワをじろっとに網付けてきた。
ーーあ、あれ?僕、早まったかな?質問するなら、外に出て衛兵さんとかにした方が良かった?
そう思ったモノの、もう過去には戻れない。
「………あれは、バカな客に思い知らせてやった音だ。ホラ。アレだ」
「アレ?」
男は横の方を指さす。
ノガワはそれにつられ、視線を動かし、
ーーう、うわぁ。凄いなぁ。
苦笑を浮かべた。
壁から、人間の下半身らしいモノが出ている。
暗くて昨日はよく分からなかったが、確実に昨日はなかったはずだ。
ーー独特な壁のオブジェだねぇ………って!違ぁぁぁう!!!!
「何?これ、お兄さんがやったの?」
おじさんではなくお兄さん。おばさんではなくお姉さん。
ここ、大事なポイントだ。
ノガワは自分の見た目だけは可愛いところを生かすため、こういうことはきっちりと学んでいるのだ。
ーーたまに可愛すぎて、女の子と間違えられちゃうのがたまに傷だけどね!まあ、知らない人に間違えられても興味ないから良いか!
「そう。俺がやったんだよ。お前もああなってみるか?」
「えぇ。やめとくよ。てか、あの埋まってる人は何をやったの?」
どうして壁に埋まることになったのかと尋ねてみる。
好きで壁に埋まっているわけではないと思うのだ。
ーーえ?違うよね?壁に埋まって、不特定多数の人に見られて嬉しくなっちゃう人じゃないよね?
ノガワのこの不安も、男の言葉によって払拭されることになる。
「この宿はな、俺を倒せば宿代を払わなくても良いってことにしてるんだよ。それで、来たヤツがああなったわけだ」
「へ、へぇ。この宿って安宿だって聞いたんだけど」
ノガワは男に目線を送る。
ーーも、もしかして、勝てばただだから安いよ!って兵士さんは言いたかったの!?もしそうだったら鬼畜すぎるでしょ!僕、自分自身で戦うのは無理だよ!?
不安になりながら、男を見る。
「おお。安宿だぞ。だが、だとしても、ただって言うのは心引かれるモノがあるんだろ。ただ、倒せなかった場合のことを考えてないんだから、バカが多いよな」
男はそう言って笑った。
男の笑みは、ぶっ○せて最高だぜ!って感じの印象を受ける。
ーー怖いねぇ。でも、もしかしたら見た目はアレだけど、心は優しい人なのかもね。………それはないか。
「そうなんだねぇ。まあ、僕は普通にお金払うよ。お土産がボロボロになっても困るしね」
そう言って、持っていたお土産の袋を持ち上げる。
男も、良い判断だとばかりに頷いた。
直後、突然目の前から消えて、
「おらぁ!」
「げぼっ!??」
バキバキバキバキッ!!!!
右の方で何かを破壊した音が聞こえる。
ノガワが苦笑しつつそちらを向くと、新たな壁のオブジェができあがっていた。
ノガワはそれを見て、きちんとお金は払おうと。そして、うまい話には簡単に食いつかないようにしようと。心に決めた。
「それじゃあ、ありがとねぇ」
「おう!また来いよ!!」
ノガワはきちんとお金を払い、宿を出た。
そのまま、ルティアーヤとの待ち合わせ場所である村へ向けて歩き出す。
ーー時間に余裕はあるし、約束には普通に間に合いそうだね。
今日は普通に歩き。
昨日のように買い食いをすると言うことはないだろう。
ーーいや。でも、ラウスのお腹がすくかも知れないから、やっぱり買い食いは必要だよね。うん。………決して、僕が食べたいわけではないけど。
…………。
………………。
しばらく買い食いなどをしつつ歩いて。
「ここが、今日の泊まる町かな?思ったより早く着いたねぇ」
待ち合わせの村の1つ前の町。
街ではなく町だ。
王都などとは違って、圧倒的に発展していない田舎だ。
とはいえ、待ち合わせの村に比べるとかなり発展しているらしいが。
「さて、宿を取ったら暇になるよねぇ。観光しても良いけど」
自分の持っているお土産の数々を見てみる。
流石にこれ以上買うと、移動に支障が出るだろう。
ーーうぅん。でも、買い物以外にやることあるかなぁ?………まあ、それも衛兵さんに聞けばいいか。便利だね!衛兵さん!
ノリで衛兵に走り寄りそうになったが、それをぐっとこらえる。
衛兵に尋ねるにしても、まずは宿を取ってからだ。
ーーって、それを聞くにも衛兵さんが良いんじゃない?やっぱり聞いてみようか。
「衛兵さぁん」
ノガワは衛兵に話しかけ、宿の情報をゲットした。
紹介された宿はかなり普通の宿で、今まで泊まってきた宿と比べても立地は普通で、従業員も普通だった。
ーー何だろう。これでいいはずなんだけど。………物足りなく感じちゃう。
ノガワもかなり毒されているようだった。
宿を取ったらまた衛兵に話しかけ、時間の潰せそうな場所を教えて貰う。
幾つか面白そうな所はあったが、1番気になったのは、
ーー図書館!?図書館があるんだね!




