33.因みに、全部演技だったり
ガヤガヤ。
ーーん?何だろう?
ノガワは外が騒がしくなっていて、目を覚ました。
「どうしたんだろう?」
何が起きているのかと不思議に思い、窓から外の様子を見てみようとする。
が、路地にある宿のため、あまりよく分からない。
ノガワは土産などの所持品を全て取り、フロントへ向かった。
「何があったの!?」
フロントへ着くと、ノガワはすぐに事情を尋ねた。
フロントにはすでにかなりの人数が集まっており、
「ああ。何でも、どっかの衛兵たちが、今の国王に納得できないから反逆するって言って、王都のあちこちに火を付けてまわってるんだって」
「えぇ!?そうなの!?………ここは大丈夫?」
この宿は安全なのかと尋ねる。
出来れば除いて欲しかったが、残念なことに首を横に振られてしまった。
ノガワは絶望したような、暗い表情になる。
「ま、まあまあ。そんな顔をしないでよ。反逆者たちは少人数だから、殺される可能性は低いはずよ」
「そうなの………でも」
「大丈夫よ!きっとすぐに消火されて、反逆者たちも捕まるわ!………ただ、安全のために、一旦逃げるだけよ」
暗い顔で居続けるノガワに、対応してくれた女性は励ましの声をかけてくれる。
ただ、そう言う女性の身体も細かく震えている。
恐怖の中でもノガワのことを心配させまいとしてくれる女性に心を打たれ、ノガワも無理をして笑みを作った。
「うん。なら、大丈夫だね!きっと……」
きっと生き残れる。
そんな思いを込めて、ノガワは言葉を発した。
………因みに、全部演技だったりするが、そんなことはどうでもいい。
「ほら!今よ!さっさと逃げなさい!!」
「「「うわああぁぁぁ!!!!!!!」」」
宿の女将がタイミングを見計らって扉を開け、そこから一斉に客が逃げていく。
女将はそれを確認すると、残っているモノがいないか確認のため、それぞれの部屋の確認に行った。
ノガワと女性は顔を見合わせ、
「それじゃあ、私たちも行こうか」
「うん!お姉さん!また生きて会おうね!!」
2人が一斉にかけだした。
前を走っている客の背を追い、路地を抜けていく。
今まで治安が悪いと言うことで通ってこなかった道も、途中で何度か通ることになり、恐怖を感じた。
だが、ノガワたちは生き残るため、必死に走った。
今は、この王都を出ることが何よりも優先されるのだ。
治安の悪さなど気にしてはいられない。
「………はぁはぁ。大丈夫?」
「………はぁはぁはぁ。大丈夫だよ!」
ノガワのことを気遣い、女性が何度か振り返りながら走っている。
ノガワはその姿に少しだけ罪悪感を抱いたが、拳をにぎってその思いを押しとどめた。
ーーこの罪も背負って、僕は生きていかなきゃ行けない。これは、必要なことなんだから。
「あっ!出口が見えてきたよ!!」
「っ!本当だ!あそこまで行けば!!」
希望の光が見えた気がした。
だが、次の瞬間にその光は闇へと吸い込まれる。
その闇は、
ビチャビチャビチャッ!
「ひっ!?うそっ!??」
「………そ、そんな。こんな所にいるなんて」
出口の門の前。
そこは、真っ赤に染まっていた。
そして、その中で1人ポツンとたたずんでいるのが、
「あれが、反逆者の兵士」
「ど、どうしよう。このままじゃ」
2人は慌てたように辺りを見る。
だが、逃げ場など、いままで自分たちが走ってきた道くらいしかなかった。
戻ったとして、逃げ切れる保証はあるだろうか?
いや、あるわけがない。
「………ねぇ」
「………何?」
女性は、ノガワを見つめてきた。
ノガワは、その様子を不審に思いながらも、見つめ返す。
しばらく見つめていると、ノガワはあることに気がついた。
ーーん?肩が不自然に上がってる。………後ろに何か隠してるね。
ノガワは、これから起こるだろう事態を悟った。
そして、その予想通り、
「ここで死ぬのよ!!あなたもねぇ!!」
「っ!?」
女性は、後ろに隠していたナイフを振り上げ、ノガワに突き刺そうとしてくる。
ノガワは避けることは出来ないと判断し、それ以外で生き残ることの出来る行動を取ることに。
それは、
ドンッ!
「きゃぁ!?」
ノガワは、全力で地面を蹴り、女性に体当たりをした。
女性はそれでバランスが崩れ、後ろによろける。
ノガワはその隙を逃さず、後ろを向いて走った。
《スキル『体当たり』を獲得しました》
新しいスキルを手に入れたようだが、今はそんなことを気にしている余裕はない。
ノガワは全力で走り、女性から離れるように逃げる。
女性もすぐにおってきたが、距離はかなり離せているので、次の曲がり角で、
「まちなさぁぁぁい!!!!!!」
「…………ふぅ。行った、かな?」
物陰に隠れて、やり過ごすことが出来た。
ノガワは女性の走って行った方向とはまた逆の方向。
つまり、反逆者のいるモンの方へと歩いて行く。
「ここは誰1人として通さない!!」
叫ぶ兵士。
だが、ノガワは歩みを止めず、ゆっくりと門へと近づいていった。
そして、門に近づいたところで、足に力を込め、
「はああああぁぁぁぁ!!!!!!」
かけだした。




