30,この世界だと、水不足って
モグモグ。
「……魔物の肉ねぇ。味は悪くないかな。でも、なんの魔物の肉なのか言わなかったのは、わざとだったのかな?」
ノガワは体力回復のため、魔物の肉の串焼きを買い、食べながら歩いていた。
サービスで水も貰ったので、水分補給もバッチリだ。
ーー魔物の肉、なんのニクなのかなぁ?……お腹、壊さないと良いんだけど。
「あぁ。そうだ。忘れてた。ラウス。出ておいで」
「チュゥ」
ノガワが小声で声をかけると、胸元からラウスがひょこりと子を出した
ノガワは串から1つ肉を取り、そのラウスの口に、持って行く。
すると、ラウスはぱくりとそれをまるのみしてしまった。
「大丈夫かな?喉に詰まらないと良いんだけど」
ラウスの様子を見て、ノガワは少し心配になる。
が、そうは思いながらも肉をあげる手は止まらない。
ーーうぅ。このペースだと、すぐになくなりそうだなぁ。2本くらい買っておけば良かったかな?
「………はい。取り敢えず一旦コレで終わり。ちょっと少なかったかも知れないけど、夜まで我慢してねぇ」
「チュッ!」
ラウスは、分かった!とでも言うようにひと鳴きして、胸元から首を引っ込めた。
ーーふぅ。ラウスの餌のためにも、できるだけ早く行かないとなぁ。……おう。いつの間にか体力が戻ってきてる気がする。これなら、走っても大丈夫そう!
そう思ったノガワは、足に力を込めて、地面を蹴った。
…………。
……………。
今度は数十分後。
「はぁはぁはぁはぁ。………思ったより、早く着いたなぁ」
ノガワは、街を2つほど超えて、目的地の1つ前の街に来ていた。
ただ、流石にここまで来ると体力がきれてくる。
ーーこの国に来たばっかりの時に走ったのは根性で乗り切ったけど、今回はあんまり根性を使ってない気がするなぁ。……というか、明らかに体力もその回復量も増えてる気がする。何でだろう?
体力を増加させるスキルがあるという話も聞いたが、スキルは取っていない。
ということは、何か別の理由があるはずだ。
ノガワは歩きながら考えてみる。
ーーん~。なんだろう。………うぅん。僕のレベルが上がった?いや、そんなことは無いと思うんだけど………分かんないなぁ。よし!また今度考えよう!
ノガワは潔く考えることを放棄した。
決して面倒になったわけではない。
「あっ。ここでは何を売ってるの?」
「おう!ここは、魔物肉のフライを売ってるぞ!どうだい?1個買ったら、もう1個おまけで付けてやるぞ」
「本当?じゃあ、1個貰おうかな」
「おう。毎度あり!はい。おまけも」
ノガワは、近くにあった店で買い物をする。
また何の魔物の肉か分からない料理を買う。
ここでも水はサービスで貰えた。
ーーこの世界だと、水不足って言うのはないみたいだね。水魔法って言うのもあるわけだし、出すのは簡単なのかな?
「ん~。これはこれで、歯ごたえがあってなかなか」
美味しい。
と言うほどでもないが、決してマズくはない。
ノガワはその揚げ物をラウスにちぎってあげつつも、また歩いた。
………しばらく歩いていると、違和感に気付く。
ーーやっぱりおかしい。もう僕の体力が戻ってる。補給部隊にいたときとかも、ここまではなかったはずなのに。
ノガワはそう思って原因を考える。
だが、やはり分からない。
ーーまあ、いいか。とでベティー辺りに聞いてみよう。今は、急がないと。
ノガワは頭を振って考えることを買え、王都への道を走る。
そこまで行けたら、今日の目的はほとんど終了だ。
………。
数十分後。
無事にノガワは王都へ到着した。
「やっぱり大きいなぁ~。流石王都だね」
ノガワは王都の中心にそびえる王城を見上げながら、そんな声を漏らした。
だが、すぐに、
ーーい、いやいや。魔王城の方が凄いんだからね!大きさでも勝ってるし、見た目とか雰囲気でも魔王城の方がすごいもんね!
と、また変に対抗意識を燃やしてバカなことを考えていた。
「さて、どこかに………いた」
ノガワは周りを見回し、目的の人物を探す。
すると、すぐに発見できた。
ノガワはその人物のところへ歩いて行く。
「すいませぇん。衛兵さんですかぁ?」
「ん?ああ。そうだよ。何か用かな?……っ!?」
衛兵がノガワの声で振り返り、肩をピクリと動かした。
その視線はノガワの黒い髪へと向けられている。
ーーこの反応にも何にも感じなくなってきたなぁ。……あぁ。でも、異世界人だってバレたらマズいよね。どうかそこまで頭が回リマセンように。
ノガワはバレないようにと願いながら衛兵を見つめる。
衛兵も疑うような目でじっとノガワを見つめる。
が、すぐに笑みを浮かべた。
「うん。まあ、いいや。要件は何?」
「えぇっと、さっき王都に来たばかりでぇ、宿屋を探してるんだけど」
ゆったりした口調でノガワは言う。
衛兵はそのはなしをノガワの瞳を見つめながら、優しい仕草で聞いてくれる。
ノガワのしゃべり方のせいで、10秒近く見つめ合っている。
ノガワの話が終わると、衛兵は顔を上げ、通りの向こうを指さし、
「王都の宿屋は値段の格差が激しくてね。この大通りの辺りは基本的に高いんだ。お金には余裕があるのかな?」
「うぅん。あんまり余裕はないかも。結構買い食いしちゃったから」




