25.僕のことを半殺しにしても良いよ
「お前がノガワか?」
「そうだよぉ!お姉さんは?」
軍服の女性が訪ねてくるので、肯定しておく。
ついでに、相手の名前も聞いてみた。
軍服の女性は一瞬顔をしかめた後、
「私は、氷山の四天王、ルティアーヤだ。種族はデーモン。以後覚えておくように。そして、この変な格好のコイツは」
「私は、リユーニアなのだ!よろしくなのだ!」
「あうん。よろしくね!ルティアーヤとリユーニア!」
笑顔でそう言うと、軍服の女性、ルティアーヤがまた鋭い視線を向けてきた。
かなり嫌われているらしい。
ーーうぅん。嫌な展開ではあるけど、ちゃんと対策を考えてきたから、大丈夫なはず!!
「それで?どういう要件かな?」
早速本題を切り出す。
本当は雑談でもして部屋の空気を少し明るくする予定だったのだが、このままだと会話が弾まないだろう。
それなら、下手な雑談などせずに、本題へ入った方が向こうもストレスが少ないはず。
「要件は簡単だ。お前が信用できないから、お前を占わせて貰う」
「占う?というと、格好から考えて、リユーニアが占うのかな?」
「そうなのだ!私が、占ってやるのだ!!」
ノガワはあまり占いというモノを信じてはいない。
だが、異世界ともなると、占いも本当に当たるのではないかという思いがこみ上げてくる。、
ーーまあ、当たったら凄いねぇ。位で考えておけば良いかな?
「それでは、早速占うのだ!占うのは、ノガワの心の構成要素なのだ!」
「心の構成要素?…………ねぇ、それ。僕が魔王軍に害がないって分かったら、黙ってて欲しいんだけど」
「………ん~。まあ、分かったのだ」
ノガワは慌てて口止めをした。
ーー心の構成要素をとか言ってたけど、僕の感情を読み取れるって事だよね?恥ずかしいから、他の人には言わないで欲しいなぁ。
そんなノガワの様子を少し不審に思いながらも、リユーニアはノガワに手をかざし、目を閉じた。
そして、
「…………っ!?こ、これは、どういうことなのだ?」
目を見開き、ノガワに詰め寄るリユーニア。
その姿を見て、自分の感情が読み取れてしまったのだろうということを感じ取ったノガワは、口に人差し指を当てた。
リユーニアはそのノガワに顔を驚愕で染めるが、しばらくすると肩を落として、
「分かったのだ。魔王軍への害はなさそうだし、約束だから、言わないのだ」
「ありがとぉ~」
ーー僕の気持ちが恋愛とかで染まってたりしたかな?それは恥ずかしいなぁ。でも、魔王軍の幹部の人たち皆可愛いから、仕方ないんだよぉ~。
ノガワは心の中で言い訳をする。
勿論、それは誰にも聞こえない。
「………リユーニア?本当に信用できるのか?」
「そ、それは大丈夫だと思うのだ。魔王軍に歯向かわないって言う気持ちは本当のようなのだ」
「……そうか」
リユーニアから問題ないと聞かされるが、ルティアーヤの疑うような表情は消えない。
ーー占いやっても信用度は変わらないの!?信用できないから占ったんだよね!?
ノガワは訳が分からないと、頭を抱えた。
「まあいいや。これで、今日は終わりで良いのかな?」
「いや。まだだ。お前の今後の活動場所なども考えるぞ」
帰りたかったが、どうやらそういうわけにもいかないようだ。
ーーこの重苦しい雰囲気の中話をしなきゃ行けないのかぁ。面倒くさいなぁ。
ノガワはそう考え、話を早く終わらせてしまおうと考える。
「ルティアーヤさ。僕のこと邪魔だと思ってるでしょ?なら、僕のことを1回勇者のところに送らない?」
「「「は?」」」
ノガワは笑顔で提案する。
その提案を受け、部屋にいたアイファ、ルティアーヤ、リユーニアの3人全員が、唖然とした表情を浮かべた。
ーーまあ、お前何言ってるんだ!って感じだよねぇ。
「何を言ってるんだ!?」
ルティアーヤが信じられないモノを見る目での側を見ながら言う。
ノガワの想像通りの返答が来た。
ーーさて、頑張れ僕!腕の見せ所だよ!!
「何を言ってるって、そのままの意味だよぉ。邪魔なら、近くには置いておきたくないでしょ?だから、僕を勇者の牽制に使えば良いんじゃないかなぁ?って思って」
「牽制?お前が裏切る可能性もあるから、信用できん!許可するわけないだろ!!」
ルティアーヤは怒鳴る。
だが、ノガワの笑みは崩れなかった。
ーー予想通り。全てが僕の予想宇通りだよ。
「そう?折角勇者が来そうな場所を聞いたんだけどなぁ」
「はぁ?なら、その場所だけ教えろ、半殺しにして動けないようにしないと、連れて行けんわ」
見下すような視線を向けながら、ルティアーヤは言った。
だが、逆にノガワはその言葉に笑みを浮かべた。
ーーいいことを言ってくれたねぇ。
「なら、勇者のところに連れて行くときに僕のことを半殺しにしても良いよ。でも、致命傷は避けてね」
「お、お前、本当に何を言っているんだ!?さっきのは、比喩のようなモノだ!」
ルティアーヤが落ち着きなく言う。
完全にペースを乱され、ノガワの掌の上であることに気付かない。
ーーよし。最後の詰めだね。




