22.で?どう?合格?
「おら。フードを取れ。……って、黒髪か」
ノガワのフードを門番長が脱がせる。
そして、その中に隠れていた髪の色を見て、門番長は顔をしかめる。
それから、疑うような顔でじっとノガワの顔を見てきた。
「……どうしたの?」
見つめ合うこと十数秒。
流石に耐えきれなくなったノガワが、なんなのかと質問をした。
すると、やっと門番長が表情を崩した。
「疑わしい。非常に疑わしいが、なんとも言えないな。幾つか質問に答えて貰おう」
「うぇ~。面倒くさぁ。そこまでするぅ?」
ノガワは唇をとがらせる。
だが、ここで答えなければ、殺されるかも知れない。
ーーまだ足りないなぁ。もう少し時間をかけようか。
「どこから来た?」
「どこから?どこからって言われても困るんだけどなぁ」
ノガワはそう言いながら、笑みを浮かべる。
それで、さらに門番長の視線は鋭くなった。
そして、門番長は何か言おうと口を開いた、その時、
「おま、」「キャアァァァァァァ!!?????」
大絶叫。
門番長の言葉を遮って聞こえたその悲鳴に、ノガワも門番長も顔をしかめた。
それから、門番腸は小さく舌打ちをして、
「お前、ここ大人しくで待っとけよ。………おい!お前ら、コイツを見張っとけ!俺は見に行く!」
「「「はい!!」」」
門番長彼の側に大人しくしていると言い、近くに待機していた数人の兵士にノガワのことを頼んだ。
それから、声がした方に走り去ってしまう。
ーーあぁ。行っちゃった。折角近くにいて、殺そうと思えば殺せたのにぃ。
そう思っては居るが、全く残念には思ってはいない。
「「「…………」」」
「………」
部屋は、静寂に包まれていた。
6名ほどの兵士が、ノガワのことを無言で見つめいるのだ。
門番長が見張っているように指示したので、忠実に従っているのだろう。
それからノガワは全員と見つめ合ってみたが、誰も目をそらしたりはしない。
残念精神力もそこそこにあるようだ。
ーー優秀なんだねぇ。逃げられそうにないかぁ。
タタタタタッ!
ノガワと兵士たちが見つめ合っていると、遠くから足音が聞こえてきた。
そして、その足音が近づいていき、部屋の横を通り過ぎると、
「………えっ!?」
全員その足音を追って、この部屋から出て行ってしまった。
ノガワは呆然としたように、しばらくその椅子に座ったまま動かなかった。
それから一言、
「い、行っちゃった」
そう言って、立ち上がった。
行ってしまったのなら仕方がない。
ノガワにとってはチャンスな訳であるし、ここで動かないという選択肢はない。
「……人の気配はしない。行こう」
ノガワは連れてこられた道を通って、村の外に出る。
薄々感じていたが、焦げ臭い匂いがしており、良くないことが起きている予感がした。
ーー良くないことが起こるのは、僕じゃなくてこの村なんだけどね。
パチパチパチパチッ。
「ああ。やっぱり、燃えてるね」
ノガワは村の様子を見て、少し困ったような顔をした。
村が燃えているのだ。
この村は家がほとんど木造だったので、ほとんどの家が燃えていて、もう何一つ残らないのではないかと思えた。
ノガワはその様子を見ながら、歩いて行く。
目指す先は、リャーファに下ろして貰ったところ。
リャーファがいる保証はないが、ここに居なければ魔王軍に直接帰る必要がある。
ーーでも、魔王軍の所に帰るのは怖いよね。簡易人だ!って言われて、攻撃される可能性もあるし。
ノガワは、リャーファがまだ残っていることを願った。
そして、どうやらその願いは通じたようで、
「やっほぉ!起きてぇぇぇ!!!」
「っ!?………何?」
耳元で叫ぶと、リャーファが飛び跳ねた。
普段見ない慌てように、思わずノガワの口元に笑みが浮かぶ。
その様子を見て、リャーファは唇をとがらせた。
「………仕事もせずに帰ってきたの?無能はいらない」
そう言って、グリュプスに攻撃させようとするリャーファ。
目が真剣なので怖い。
が、今まで見てこなかった表情が見れて、ある意味満足。
「って、ストップ!待って待って!終わった!終わったよぉ!!」
「……ん?何が?」
リャーファが、何を終わらせてきたのかと首をかしげる。
どうやら、村をもう壊滅させたとは思っていないようだ。
ーーそりゃあそうだよね。数時間もしないうちに村が1つ滅びるって、1人で出来ることじゃないよね。
「何がって、村を滅ぼすのだよ。終わったから、確認して」
「……へ?」
リャーファはぽかんとした表情を見せた。
色々今回は表情が見れたが、
ーー素材が良いから、全部可愛い!くっ!魔王軍に来てから、こんなのばっかりだよ!僕も耐性を付けないと!
「……か、確認する。乗って」
「はいはぁい」
ノガワハリャーファの指示に従い、グリュプスに乗る。
すると、グリュプスが大空へ舞い上がった。
遠くに見えるのは、赤く光って、大空へ黒い煙を出す村のあった場所。
「…………燃えてる?村に火を付けたの?」
「うぅん?まあ、大体そんな感じ。……で?どう?合格?」
「……うん。合格」
「やったぁ!」




