20.効率が上がると仕事が増える
シャキーナに促され、本来の目的である知識の伝授に入った。
昨日の原子やらの所は後半の難しいところにかなり苦戦していたので、これ以上の話はまだ難しいと判断し、別の分野へ移る。
今度は生物だ。
「い、異世界にはそんな動物がいるのかい!?いいなぁ。異世界。1度行ってみたいよ」
「そうじゃのぉ。私も、その異世界の動物には興味があるのじゃ。……しかし、植物にそんな力があったとは。侮れぬなぁ」
「い、異世界にはそんな動物がいるのかい!?いいなぁ。異世界。1度行ってみたいよ」
「そうじゃのぉ。私も、その異世界の動物には興味があるのじゃ。……しかし、植物にそんな力があったとは。侮れぬなぁ」
こちらの分野も2人は興味津々。
ただ、生物という分野になってくると、この世界では当てはまらないことが多そうなため、聖夜はかなり注意して内容を伝えた。
ーー呼吸とかはきっとあるよね?その段階から実験とかしてみた方が良いのかも知れないけど。………でも、気体の割合を測る機械とかもないしなぁ。
それから話が終われば、2人は帰って行き、昼食を食べた後に2人からの書類が来るので、それに訂正を加える。
そして、夕食を取り、色々して睡眠。
いつの間にかクッキーが置かれたりとかして、それをネタにしてアイファを恥ずかしがらせる。
そんな流れで何日も過ごしているときだった。
《スキル『伝授』を獲得しました》
「あれ?スキル?」
ベティーたちに政治について教えている最中、新しいスキルを獲得した。
名前から考えて、誰かにモノを教えるときに役立つスキルなのだろう。
ーーこれで、もっと分かりやすい説明が出来るようになるね!!
「ねぇ。伝授って言うスキルを今獲得したんだけど、教え方が上手くなるスキルであってるよね?」
「む?そうじゃな。概ねその認識であっておるよ。私も同じスキルを持っておるが、実感できる効果はそう言うモノだったぞ」
「僕は持ってないから分かんないやぁ!」
確認してみた限り、ノガワの考えていたとおりのスキルらしい。
その日から、ノガワの説明力が上がった。
良いことのように思えるが、
ドサッ!
「今日の書類だよ」
「………嘘、でしょ」
ノガワの目の前には、2倍以上に増えた書類の束が。
ノガワは大きくため息をつき、書類へと向かった。
内容の理解度で言えば格段に上がっているのだが、書類の数が多いので、間違いの数は減っていない。
「まさか、スキルを獲得して仕事が増えるとはぁ」
「お疲れ様だね。ノガワ。おかげでベティーたちの研究がはかどって、魔王軍の強化につながってるよ」
「そうなのぉ?喜ぶ人がいるなら、頑張らなきゃねぇ」
頑張らなきゃとは言うものの、その声には疲れがこもっている。
このペースだと後数週間もしないうちに倒れることは分かっていた。
だが、
ーーそれよりも速く、教える必要のあるモノを全て教えれば良いだけ!!
それから更に何日も経つ。
途中からノガワは体力の衰えなどを感じたので、部屋に運動器具を置いて貰ったりもした。
ーー体力も付けておかないとね!
「……ということで、これで僕の教えられることはだいたいいいおわったかな。コレまで教えた以上の難しいこともまだちょっとあるけど、ここまでのことを深く理解する方が大事でしょ」
化学と生物だけでなく、数学、それから政治や経済までも、ついに全てを伝えきった。
学校で10年以上かけて教えることをこの数週間で終わらせたのだ。
教えるノガワも大変だったが、それを理解するベティーとシャキーナもかなり大変だったはずだ。
「……終わった。ついに終わったんだね。ここからは、僕たちが部下にコレを伝えていかないと」
「……そうじゃな。だが、ベティーは何もせんじゃろ。どうせ、教えるのは私1人に任せて、自分の研究室に引き重るつもりじゃろ?」
「そ、そそそそ、そんなことは、………あるね」
素直に言った。
その様子に、シャキーナとアイファはあきれた顔をしている。
ーー取り敢えず、皆言いたいことは言ったみたいだね。じゃあ、ここで、
「ねぇ。アイファ。それじゃあ、言ってたこと、できるかな?」
「言ってたこと?………ああ。あれかい?本当にやるつもりなのかい?」
「もちろん!」
アイファの確認に、ノガワは大きく頷く。
アイファは困ったような、そしてどこか悲しげな顔をした。
ーーこんな顔はさせたくかったな。でも、仕方ないね。これは、絶対に必要なことなんだから。
「ん?言ってた事って何だい?」
「ノガワ、何かするつもりなのか?」
「ん~。ちょっと、簡易人の所にいてみようと思って」
ノガワは、このまま知識提供者として暮らす予定はなかった。
もっと、より速く、より効率的に、魔王軍へ勝利をもたらすつもりなのだ。
そのためには、
ーー僕が実働隊として出るのが1番手っ取り早い。
「……まあ、魔王様にも許可は取ったから大丈夫さ。ただ、自由に行動できるわけではいないからね?」
「うん。勿論。分かってるよ。僕が3日以内で落とせなければ、村ごと焼いてくれて構わない」
ノガワには、村を三日以内で滅ぼさなければならないという条件付き、近くの村に行くことが許可された。




