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18.格差が凄すぎる

「ここは手洗いも備え付きだから安心しな」


「う、うわぁ。格差が凄すぎる。しかも、手洗い以外にも本とかお茶のセットとかあるじゃん」


ノガワはほほを引きつらせた。

先ほどまでの暗い部屋と比べ、あまりにもモノが多すぎる。

いや、先ほどまでの部屋にも度がなさ過ぎたと言うべきなのかも知れないが。


「それじゃあ、私は仕事があるから出て行くけど、もし何か用事があるなら、そこのベルを鳴らしな。メイドとか誰かしらが来ると思うから」


「あ。うん。分かった」


ノガワが返事をすると、アイファは部屋から出て行った。

ノガワはしばらく閉じた扉を呆然と眺めていたが、数秒してからゆったりと動き出す。

その目指す先は、


「お菓子!お菓子がある!」


テーブル。

の上にあるクッキーだった。

ノガワは1つつまみ、口に放り込む。


「ん~。おいしい」


毒とか考えずに口に入れたノガワ。

危機感が足りないように思えるが、魔王城に来てから何も食べていないので、お腹が減っていたのだ。

ノガワも1枚クッキーを食べてみて、毒がないことをきちんと確認した後、


「ラウス。出ておいで。食べ物だよ」


「チュゥ」


ノガワが呼びかけると、ノガワの胸元の辺りがもぞもぞと動き出し、首元の所からラウスが顔を出した。

それから、辺りを見渡し、ノガワの手の中にクッキーを見つけると、すぐに駆け寄り、食べ出した。

ラウスもノガワと同じくあまり食べていなかったので、お腹が減っていたようだ。


「ほらほら。沢山あるから、落ち着いて食べな」


ノガワは一瞬にしてクッキーを食べきったラウスに苦笑いしつつも、もう1枚クッキーを取って手の上に置く。

今度はノガワの言葉に従い、ゆっくりと囓り始めた。

 ーーはぁ。今日は、いろんな事があったなぁ。まあ、ほとんど僕のせいと言えば僕のせいなんだけどね。


数十分後。

コンコンッ!

トイレのノックではない。

異世界だから、文化だって違うのだ。


「今いいかい?」


返事をする間もなくガチャリと扉が開いた。

入ってきたのはアイファ。

まだ30分程度しか立っていないのだが、何かあったようだ。


「どうしたの?」


「ベティーたちが今回聞いたことをまとめてみたから、間違ってるところがあったら訂正して欲しいんだとさ」


そう言って、アイファはノガワにペンと色々書き込まれた分厚い紙束を置く。

おそらく全部読まないと行けないのだろう。

ペラッとめくってみると、裏にもびっしと書いてある。


「……よし。やるかぁ」


ノガワは紙と向き合い、格闘した。

間違っている場所に矢印などでどういう風に間違っていて、実際はどうなのかを丁寧に書いていく。

本当なら訂正なんてしなくても良いのではないかと思うかも知れないが、実際はそうでもない。

 ーーあの2人がどういう風なところに重点を置いて話を聞いてるかよく分かるよ。こういう所が分かれば、表面的だけど性格が見えてくるんだよねぇ。


それから約2時間後。


「……ふぅ。終わりぃ~」


「おお。お疲れ」


向かい側の椅子に座り、書類の束を見ていたアイファに紙の束を手渡す。

ノガワに軽く労いの言葉をかけながら、アイファは書類を受け取った。

そして、大量に書かれている訂正に苦笑いする。


「細かく書いてあるねぇ。大変だっただろうに。……あっ。あと、一応ペンは返して貰えるかい?凶器にはなり得ないんだけど、壁とか掘られると困るから」


「あぁ。はい」


ノガワは大人しくペンを手渡した。

ただ、心の中ではかなりの驚きがあった。

 ーーいや、凶器になり得ないってどういう事?そんなんじゃ肌も傷つけられない!みたいな?しかも、回収する理由が壁を掘るって、他にもそういうのに使えそうなモノはありそうな気が、……って、小さくてとがってて金属製のモノがない!?


「じゃあ、夕食を持ってくるから、大人しくしてな」


「そうするぅ~。……あっ。夕食は少し多めにして貰って良い?」


「ん?あんた、以外と大食いなのかい?私の作ったクッキーも全部食べちまったみたいだし」


アイファはノガワが大食いと言うことで納得して去って行った。

ノガワはそれを呆然としながら見送った。

 ーーえ、えぇぇぇ!!????あのクッキー、アイファが作ったの!?凄っ!四天王なのに料理も出来るの!?


数分後、トレーに料理を載せてアイファが戻ってきた。

部屋中に、良い匂いが漂う。

それと共に、


ぐぅぅぅぅ。

と、ノガワのお腹が鳴った。

2人は揃ってノガワの腹に目線を向けた後、見つめ合って笑った。


「おいしそぉ!!」


「そうだろぉ?あと、悪いけど、捕虜にはナイフやらが出せなくてねぇ。悪いんだけど、手で食べられるものにしてあるから、勘弁して」


「ははっ。別に良いよぉ。別に手で食べることに抵抗はないし」


「そうかい?じゃあ、後で回収に来るから、ゆっくり食べな」


「はぁい!……あっ!あと、クッキー美味しかったよ」


去って行くアイファに、ノガワはクッキーの感想を言う。

ピクリと身体を動かしたが、何も言わずに扉を閉められた。

ただ、耳が赤ったのは確かだ。


 ーーかっわいい~。本当に褒められてないねぇ~。

ノガワはそんな様子を見てニヤニヤ。

割と性格が悪い。


「さて、それじゃあご飯を食べようかな。ラウスも出ておいで」


隠れて貰っていたラウスが胸元から出てくる。

ノガワは自分の分とラウスの分を分け、自分の食事を楽しんだ。

 ーーん~。おいしぃ。簡易人のところの料理とは比べものにならないよ!!

腐ったネズミを出すところと比べられても困るというモノだろう。

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