15.人間が正義!魔族は絶対悪!
「教えて欲しい?」
ノガワは、イタズラっぽい笑みを浮かべた。
姉の方のアイファがジトッとした視線を向けてきたので、アイファとしばらく見つめ合う。
しばらく見つめ合うと、アイファは笑みを浮かべ、
「別に殺しても良いんだよ?」
「はいはい!喋るよ!喋るとも!……まったくもぉ。せっかちだなぁ」
「なんか言った?」
「……いや。何も言ってないけど」
ノガワは圧力に負けた。
自分の命が掛かっていると、交渉する気もなくなる。
ーーこれが、脅迫というやつなのかな?
そんなどうでも良いことを考えながら、ノガワは口を開いた。
「本音を言うとねぇ。僕、別ににんげ、じゃなくて、簡易人とかどうでも良いんだよねぇ。どちらかと言えば、僕のことを召喚してきて恨んでるくらいかな?だから、簡易人より魔族の方がどちらかと言えば協力したいというか」
「……はぇ~」
ノガワの本音を聞いて、妹のリャーファの方が驚いたような声を上げた。
ただ、ノガワはそんな反応より、
ーー簡易人って言い慣れないなぁ。まだ人間って言いそうになる。
という方が気になった。
「珍しいね。あんたみたいなのは。異世界人って言えば、魔族絶対悪って感じのイメージだったけど」
アイファは興味深そうに言う。
ーーよし!掴みはOK。後は、僕自身の希少価値を高めれば、生き残れる!
ノガワは自分を生かすことのメリットをさりげなく伝えることに。
「その認識は間違ってないね。僕以外の子たちは、人間が正義!魔族は絶対悪!って感じだったよ。でも、同じ異世界人同士の仲間意識があるから、普通の人間よりは僕たちの方を優先するんじゃないかな?それこそ、僕がどこかに幽閉されてるって聞いたら、勇者になった子辺りが探しに来そう」
「……ふぅん」
今のノガワの発言がどうメリットを使っているのか。
それは、勇者になった子が探しに来るというところがポイントだ。
つまり、自分を餌にして、勇者を殺したり出来るかも知れませんよぉ。
といっているわけだ。
クラスメイトでも容赦なく売りさばく。
それが、見た目と恰好はかわいい系なのに、中身は割と鬼畜で友達想いなノガワ君なのだ。
……え?勇者は友達じゃないのかって?何を言っているかよく分かりません。
「なんか、訳分かんないけど、普通じゃない子だって事は分かったよ。とりあえず、来な。色々と話し合うよ」
「りょうかぁい!」
ノガワはアイファの後についていき、城の中へと入っていった。
リャーファとは一旦ここで別れる。
城の中は入り口の辺りがとても豪華だった。
だが、中の方へ入るにつれて質素になっていく。
「入り口が1番豪華だっただろう?」
「そうだね。入り口の辺りが1番光り物が多かった気がする」
「この辺りになっていると、入るヤツはほとんどいないのさ。特別に入場できるときがあっても、入れるのは入り口とかホールぐらいまでだしね。それ以上は私たち幹部とかしか使わないし、豪華にする必要がないのさ」
「ふぅん」
どうやら、魔王に財宝を集める趣味はないらしい。
ノガワのイメージでは、こういう金持ちみたいなモノたちは骨董品やらなんやらをコレクションしたり壁に掛けておくイメージだったのだが、そのイメージは打ち砕かれてしまった。
ーー僕の認識が間違ってるのか、それとも、魔王が珍しい部類なのか。
そんなことを考えながら歩いていると、
「着いたよ。この部屋に入りな」
「はぁい」
ノガワは間延びした声で返事をして、部屋に入る。
部屋は薄暗く、上に火のついたろうそくののっているテーブルと、椅子が2つ合った。
ノガワは部屋の中央まで歩き、アイファに振り向く。
「で?こんなトコまで連れていかないと出来ないことがあるの?」
「……いやぁ。ちょっと確認しただけさ」
そう言いながら、ノガワに背中を向け扉を閉めるアイファ。
ーー確認をしたって言ってたけど、まだしてる最中だね。これは、僕に敵意があるかどうかを調べてるって事か。
ノガワはアイファの行動から、その目的を推測した。
「じゃあ、座りな。少し話をしよう」
ノガワは指示に従い、椅子に座る。
アイファはゆったりとした歩きで椅子に座った。
その途中でペンを落として拾ったりしたが、おそらくコレも演技。
「まず、あんたはこの魔王軍で何をしたいんだい?」
「何をって言われると困るけど、簡易人側を敗北させたい、かな?」
ノガワは少し考えてから応えた。
ノガワが魔王軍に入って何をしたいかなんて、そんなにハッキリしたビジョンを持っていたわけではないので聞かれても困るのだ。
とりあえず個人的な目的ではなく、魔王軍全体の目的を答えておく。
「……ああ。私の質問が悪かったね。私が聞きたかったのは、アンタがマオウ軍に入って、どんな部門で活躍したいのかって話さ」
「あぁ。なるほど。………うぅん。何処の部門、か」
ノガワは顎に手を当てて考えた。
簡易人の軍にいるときは補給部隊をやっていたが、だからといってそこまで力持ちなわけでもないし、補給部隊がしたいわけでもない。
どちらかといえば、
「前線に出るわけではない実働部隊をやりたいかな」




