11.上司を代えて欲しいな
ゴロゴロ。
「「「………」」」
ゴロゴロゴロゴロ。
「「「…………」」」
現在、回転しながら移動中。
ーー思ったより、目がまわる。うぷっ!気持ち悪っ!!
ノガワの目に映る光景はゆらゆらと揺れ、まるで常に地震が起きているようだった。
「オゲエェェェェ」
「オロロロロッ」
因みに、色々と限界に達してしまったクラスメイトも数名。
限界になっていないのは、すでにノガワたちの中だと半数だった。
それを見て笑っているのが、他の補給部隊のメンバー。
そして、
「遅いぞ、ボケナスが!!」
そう言って、限界に達して動けなくなっているクラスメイトを蹴る隊長。
その顔には、いつも以上に嫌らしい笑みが浮かんでいた。
ーーできるだけ目を合わせずに、前に出すぎないくらいの丁度真ん中くらいの位置で転がっていれば、目立たずに行けるはず。
「あっ!」
「あ?」
突然の驚いたような声。
後ろから聞こえた声にノガワが首をかしげた瞬間。
ゴンッ!
「っ!?つぅぅぅぅ~」
「いっったぁぁぁぁぁ!!!?????」
後ろから転がってきたクラスメイトと衝突した。
ノガワは痛みをこらえ、声を出さずに、と目立たないよう頑張っていたのだが、ぶつかってきた方が大声を上げたため、失敗に終わる。
ーーこうなったら!
ノガワは急いで思考を巡らせ、行動に移した。
することは単純。
ただぶつかった相手を置いていき、転がっていくだけだ。
……その後、バッチリその光景を見ていた隊長から蹴られたのは言うまでもない。
ーーうがぁ!僕、不幸すぎる気がするんだけどぉぉx!!!!!
その日の夜、ノガワがやけ食いをしたとかしてないとか。
………。
そして、数日後、
どうにか現地まで荷物を運び、本部まで戻ってきた。
「おい!体力作りのために走り込みするぞ!!」
「「「は、はい」」」
全身に打撲痕のあるノガワたちが返事をする。
その目からは、光が消えかかっていた。
が、ノガワだけは違う。
ーーこの感じ、そろそろ来るかな?
ノガワが予測を立てて、隊長に走ってついて行く。
直後、
「ま、待て!」
「え?……ぐえぇぇ!?」
ノガワは襟首をつかまれ、後ろに引っ張られた。
割と首が絞まって苦しかったりするが、ノガワはそんなことは気にしない。
なぜなら、
「す、すまんが、本部から君たちに呼び出しがあってな。至急集まって欲しいんだ」
「「「呼び出し?」」」
クラスメイトたちは揃って首をかしげた。
だが、ノガワはこれが部署異動のアンケートだと分かっていたので、笑みを浮かべた。
……ただ、その笑みの理由は、部署異動が嬉しいと言うことより、
ーー格好良い感じで登場して、走り込みを止めてくれたいい人を演出するつもりだったんでしょ?でも、そうはさせないよ!格好良いことなんてさせてたまるかぁ!!
割とどうでも良いことだったりする。
「それじゃあ、早速質問だ」
本部へ移動し、個室へ入れられた。
ノガワたちの前に座るのは、軍服を着た中年くらいのおじさん。
ーー渋さのある、ダンディーなおじさまだね。一部から持てそう。
「召喚してきて貰った君たちに負担をかけすぎてはいけないからね。国から、君たちのケアをするように言われてるんだ。今回の内容は、今の部署が辛ければ、部署替えをしても構わないと言うことだ」
「部署、替え?」
「補給部隊から移動できるって事?」
クラスメイトたちが驚きと困惑のこもった声で確認する。
その質問に、ダンディーおじさまはゆっくりと頷いた。
ーー完全に予想通り。……ただ、個人面談的な感じかと思ってたけど、全員で面談を受けるんだ。
「……俺は、部署は替えなくて良いけど、上司を変えて欲しいな」
「上司?上司というのは、隊長のことかね?」
1人の男子が、上司を変えて欲しいと言い出した。
この話は予想外だったようで、ダンディーおじさまも困り顔。
ただ、その困り顔には焦りがない。
「そうだ。あの隊長を買えて欲しい。流石に腐った肉を朝食として出すのはどうかと思うんだ。軍はそれを許してるのか?」
「ふむ。そんなことを彼はしたのか。………だが、それでも隊長を変えることはできないな。彼は、実績がかなりあるし、彼の部下も彼にとてもよく懐いている。ここで補給部隊の大勢を失うわけにはいかないのだよ」
「……ちっ。そうか。なら、部署を替えてくれ」
隊長が変えられないと分かると、すぐに男子生徒は部署替えを希望した。
ここまで来て、ノガワはこの面談が集団で行われた理由を理解した。
ーーそうか。集団なら、1人が決めれば、
「お前らも、あんな奴のとこは嫌だろ?一緒に別の所行こうぜ」
「え?あ、うぅん。……じゃあ、私も」
「わ、私も別のとこに移りたいです」
ーー芋づる式に、他のメンバーも部署異動を決めていく!このペースだと、
次々とクラスメイトたちが部署替えを希望する。
そして、すぐにノガワ1人だけが希望を口にしていない状況となった。
「おい。ノガワも替わった方が良いぞ。腐った肉とかもう食べなくて良くなるし」
「………そうだね。じゃあ、僕も替わろうかな」




