109.大事なのは、成功することじゃない。そこから、どんな価値を見つけ出せるか
「まずは、どうすれば獲得できるのか教えてよ。僕もやってみるから」
「ん~。そうですねぇ~。ではぁ、やってみましょうかぁ~。………と、言いたい所なんですけどぉ~」
この言い方から考えて、何か問題がありそうだ。ノガワは頭をひねって問題点を考える。
ーー何だろう?獲得するのに必要な魔法があるとか?……まあ、それ以外も色々考えられるけど、まずは獲得条件を教えて貰わないと分からないかな。
早々に自分で考えるのは諦め、教えて貰うことにした。
「何か必要なの?」
「はいぃ~。そうなんですぅ~。聖水って言うのが必要でしてぇ~」
聖水。いかにも神聖な感じの名前だ。邪悪なモノを払う効果もあるかも知れない。
ーーん?邪悪ナモノを払うなら、魔族を消失させたり出来ることになるね。ということは、ただの清められた水なのかな?
「じゃあ、その聖水って言うのは、どうやったら手に入るの?」
「ん~。そうですねぇ~。1番簡単な方法はぁ~、教会で貰うことですけどぉ~」
ただ、チャミーはあまり行きたくないと思っているようだ。まあ、顔を知られている可能性もあるし、それも当然だろう。どちらかと言えば、入ることもなく燃やしたいくらいだと思われる。
ーー実際、かなりの数の教会でボヤが起きてるし、こないだは町ごと燃やされてたし。……まあ、どう考えても平和的にはいきそうに無いよねぇ~。………ん~。と、なると、
「聖水って、自分で作れたりしないの?」
「えぇ~?自分で聖水ですかぁ~。出来るとは思いますけどぉ~、なかなか大変だと思いますよぉ~」
「そうなの?何か、特殊な材料とかがいる感じ?」
作れないわけではないようだ。それだけでも、希望はある。
ーー大事なのは、成功することじゃない。そこから、どんな価値を見つけ出せるかだから。
ノガワはどうなっても、その結果を行かせるように色々と考えながら、何が必要か尋ねた。
「特殊な材料は必要ないですねぇ~。ただ、特殊な魔法が必要ですぅ~」
「へぇ~。特殊な魔法ってどんなの?どういう魔法?」
「付与魔法ですねぇ~。教会で一定以上の地位にいる人が使える、神聖な魔法と呼ばれるモノですぅ~」
神聖な付与魔法が必要なようだ。全くイメージは湧かないが。
ーーこう、光り輝いたりするのかな?確かに、そう言うのって限られた人しか使えない印象はあるね。
だが、そうだとしても少し気になることがある。それは、
「チャミーは聖女だったけど、その魔法とか使えないの?」
「…………………あぁ~。そういえば、私聖女でしたぁ~。確かに、使えますねぇ~」
とても大事なことを忘れていたようだ。なかなかのポンコツ具合である。
ーー元聖女とか、凄い大事なことなんだけどなぁ~。魔王軍に売る要素としても、強いアピールポイントのはずなのに。………さては、実績さえ積めば簡単に入れると思ってるの!?
ノガワは、チャミーが魔王軍を侮っているのではないかと感じた。
「いやぁ~。私、講習を受けて、その時に1回作ったきりなんですよねぇ~。忘れてましたぁ~」
「あっ。1回だけなんだ。それは、確かに忘れてても仕方ない、かな?」
仕方ないような、そうでもないような。チャミーは、自分で聖水はある程度の地位にいる人は作れると行ったのだ。ということは聖水の作り方だけでなく、やはり自分が聖女だったことも忘れていた可能性が高い。
ーーと、まあ、そんなことを責めたって仕方ないか。ここで機嫌をわざわざ悪くする必要はないでしょ。そんなに大事なことでも、………いや、まあ、大事ではあるけどね。
「それなら、次の宿で試してみる?試してみるって行っても、すぐに用意できるか分からないけど」:
「だいたい、作るのに掛かる時間は少ないですよぉ~。5分あれば出来ますぅ~。あと、魔力消費量も、私の全てを消費するほどではないので、1回なら問題なく使えそうですぅ~」
1回なら問題ない。つまり、裏を返せば複数回使うことは難しい、ということ。
ーーやっぱり、結構難しい魔法なんだねぇ。……まあ、魔法のことは詳しくないから、自信を持っては言えないけど。
そして、それと共に問題になるのは、
「聖水を1日に1回しか作れないってなると、魔王軍の戦力の底上げにはつながらないかな?」
「あぁ~。そうかも知れないですねぇ~。私が魔法を教えられたら良いんですけどぉ~」
「ん?教えられないの?」
「はいぃ~。獲得条件が魔族の方には難しいことなのでぇ~。具体的に言ってしまうと、教会で一定以上の地位に就けて貰うと言うことですねぇ~」
それは確かに難しいだろう。というか、おそらく無理だ。
ーーうぅん。流石に、そんなに都合良く思ったようにはいかないかぁ~。
となると、1から聖水を作るのはチャミーしか出来ない。だが、それでは効率が悪すぎる。
「うぅん。悩ましいねぇ。もうちょっと条件が楽なら良かったんだけど」
「そうですねぇ~」
その後も、ノガワたちは人と会うまで話をしながら歩いた。
だが、結局確定的な意見が出ることはなく、2人とも難しい顔をして宿を取る。




