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105/160

105.俺、この冬は運搬だけしてれば安心だとか思ってたのに

「商人への怒りの対策とかは考えてないの?皆がハイリスクを負いたいわけでもないなら、誰かしらは考えてそうな気もするけど」


「ああ。考えてるやつもいるなぁ」


どうやら対策を考えているモノもいるらしい。この対策を知ることが出来れば、後々便利になるはずだ。

 ーー是非とも聞き出したいね。話してくれるかなぁ。

ノガワは期待を抱きつつ、2人の商人を見る。


「へぇ~。どういう対策するの?出来れば邪魔しないように動きたいんだけど」


「具体的な方法は、俺、しらねぇんだよな?お前は知ってるか?」


「軽く知ってはいるが、詳しくはないぞ。……確か、直接市民に売らずに、町の方に売るとか言ってた気もするな。売ったモノを町とか村に~売って貰えば、市民たちの反感が商人に向きにくくなるとか」


1人は知らなかったが、もう1人が知っていた。

素直に教えてくれたので、ノガワとしてはとても幸運である。

 ーー内緒にされたらどうしようかと思ったよ。まあ、商人っぽく値段次第でとか言われても、それはそれで困るけど。


「なるほどねぇ。でも、結局それは市民に売る人が少しでもいたら、破綻しちゃうんじゃない?」


「そうなんだよなぁ。売ってるヤツだけじゃなくて、運んでるヤツも襲撃されかねないし」


「えっ!?運搬も襲撃されるかもしれないってか!?……嘘だろ。俺、この冬は運搬だけしてれば安心だとか思ってたのに、予定が狂っちまうじゃねぇか」


ここまで話してみた感じからすると、商人たちは、商人と市民の間で大きな亀裂が出来るのは間違いないと考えているようだ、市民にとってはゆゆしき事態。商人にとっては稼ぎ時。そして、ノガワにとっては、

 ーー良い火種になってくれそうだねぇ。この火が大きくなるように津溜めようかな。

荒し時とでも言うのだろう。ノガワは、いかにして炎を大きくするか考えていた。


「ふふふっ。大変そうだねぇ。………あっ。もしかして、隣町の火事はそれが関係してたりするの?」


「ん?どういうことだ?火事と冬の商品の値段が上がるのは、別に関係ないだろ?」


ノガワの言葉に、2人の商人たちは首をかしげた。

 ーーここで、火事の犯人を僕たちからそらしておこぅ。

この発言は、ノガワたちの罪がバレないようにするための策でもある。


「ん~。ほら。あそこは村が近くに何個かあるじゃん?だから、そういう所から来る人の中継地点になるでしょ?そういう所が、商人の人たちが狙われやすいと思った人がいたんじゃない?」


「ん?よく分からないな。なんて、わざわざ中継地点を焼く必要があったんだ?襲う側からしたら、襲いやすい場所があった方が、便利じゃないか」


「……いや、もしかして、坊主。あそこ焼いたのは、商人側だって言いたいのか?」


1人はよく分からないような表情をしていたが、もう1人は気付いたようだ。

 ーーかかったね。こうやって自分で考えると、その考えを間違ってるとは考えにくいんだよねぇ。

自分がたどり着いた結論を、人は疑いにくい。この商人は、きっとノガワたちを疑わないだろう。


「はぁ?商人側?なんでそんなことを俺たちが、…………ん?まあ、可能性としてはなくもないのか?犯行に使われる可能性が高いから、他の商人が襲われないように、と考えたヤツがいるかも知れないしな」


「ああ。だが、他の商人のために町を焼くほどの狂った奴がいるか、と言われると少し謎だが」


「どうだろうねぇ?商人の人じゃなくても、どこかの領主様が餓死者を出さないためにやったりとかもあり得るんじゃない?他にも、市民が物資を奪われると余計に商品が高くなると考えたかも知れないし」


ノガワは色々な可能性を言っていく。商人たちは納得したような表情をしていた。

 ーーよし。2人とも目を合わせて記憶を変えられたし、新しい人も来たし、上々の結果だね。

ノガワの周りには、面白い話をしていそうだと商人らしきモノたちが集まってきていた。


「私もちょっとお話に混ぜて貰おうかしらぁ」

「俺も参加させて貰うぜ」

「俺も俺も」


ノガワは今まで話をしていた2人の商人に目を向ける。2人は視線を受けて、頷いた。

 ーー入れても良いよって事だよね。

ノガワはそう判断して、他の商人たちを入れた。また記憶を変えられる犠牲者が増えるようだ。


「今、商人を襲われたくない人が、隣町を焼いたみたいな話をしてたよね?」


「うん。してたよぉ~。それがどうかしたの?」


「いや。本当にそうだったら、そう言う奴らと手を組んで、そいつらに俺たち商人の護衛とかして貰えないかと思ってな。傭兵も戦争に出てるし、護衛を雇えないんだよ」


町を焼いたモノを味方に付けて、身を守って貰いたいと言うことのようだ。

 ーーじゃあ、適当に町の人の記憶を変えて、商人さんたちの味方にしておこうか。

ノガワは、それが簡易人側にとって良い結果にはならないとは理解しつつも、そう考える。


「なるほどねぇ。それ、面白そうじゃん。どうせだったら、給料として商品を渡すってすれば、そう言う人以外のいろんな人も、護衛に応募するんじゃない?」

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