表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

102/160

102.でも、もう人間の勝利とか、どうでもいいんですよねぇ~

「な、何なんですかぁ~。あなたたちぃ~」


女性は困惑しつつも、迫ってくる町のモノたちへモーニングスターを当てていく。

だが、町のモノたちはそれに怯えることなく、まっすぐに彼女へと向かっていく。まるで何かに取り付かれているかのように。まるで誰かに、洗脳でもされたかのように。

…………まあ、洗脳に近くて、より強烈なモノは行われているいるのだが、


「大丈夫?お兄さんたちは、逃げるの?」


そうして女性が町のモノたちに苦戦している間、ノガワは更に町のモノたちに話しかけ、記憶の改変を行っていく。改変を受けた町のモノは、他のモノたちと同じように、女性めがけてゆっくりと動き出していく。

 ーーお姉さんの体力が尽きるのが早いか、それとも町の人たちがいなくなるのが早いか。


「そんなに、私のことが憎いんですかぁ~?でも、先にいけないことをしたのはあなたたちなんですよぉ~。私はあなたたちの恨みより、もっと強い恨みを持ってるんですからねぇ~」


女性は、町のモノたちにそんなことを言い出した。それを聞いて、ノガワは笑みを浮かべる。

そして、更に町の住人たちの記憶を変えていった。

 ーーもう10人近い町の人が頭を潰されて動かなくなっちゃってるなぁ。かわいそうにぃ。


ノガワは町の人たちを哀れみながらも、作業を続けていく。

そうしていると、数分後。ついに、


「……あっ!?きゃぁぁ!??」


先ほどまでのゆったりした声から、慌てたような声に変化する。慌てたような声と言うか、悲鳴なのだが。

 ーーついにやったねぇ。

町のモノが、女性へと到達したのだ。大柄の男性が、女性に触れている。


「えっ!?あっ!きゃぁ!」


それからは、すぐに他の町のモノたちも女性へとたどり着き、女性は地面に押さえつけられた。

モーニングスターも、すでに奪われていて、もう抵抗できそうにはない。

ノガワはそれを確認すると、記憶改変の作業を終了し、女性へと近づいていく。


「ふふふっ。ねぇ。お姉さん。僕の質問に幾つか答えて貰える?答えの内容次第では、無傷で解放してあげても良いよ」


「な、何ですかぁ~?まあ、解放して貰えるなら、答えられるモノなら答えますけどぉ~」


ノガワの提案に、すぐに乗ってきた。

 ーーまだやりたいことはあるって感じかな?

ノガワは女性の様子を笑顔で見ながら、質問を開始する。


「まずは、名前と職業を教えて貰えるかな?」


「わ、私はチャミーですよぉ~。今はぁ~、………無職、ですねぇ~」


ノガワは、効いた情報を記憶しておく。記憶力上昇のスキルのおかげで、憶えるのも楽だ。

 ーー3日に1回は、スキルがあって良かったなぁ。って思えるね。

そう思いつつも、チャミーの発言を少し考えて、首をかしげた。


「ん?無職?聖職者さんじゃないんだ」


チャミーは、自分は無職であると言った。聖職者らしきローブを着ているのに。

 ーーん~。でも、よく考えてみると、僕に聖地の観光案内の本くれたお姉さんも、別に聖職者って訳でもなさそうだった気がするね。って考えると、白いローブを着てるからって聖職者って訳でもないのかぁ。

そうノガワは納得しかけたが、


「ちょっと前までは、そうでしたよぉ~。でも、今は違いますけどねぇ~」


「ふぅん。………なんで、やめちゃったの?」


「……………」


沈黙が帰ってくる。

チャミーは笑みを貼り付けて誤魔化しているモノの、あまり言いたくなさそうだ。

 ーー気持ちは分かるんだけど、僕としては言ってもらわないといけないんだよねぇ。チャミーが利用できるかどうかは、それを聞かないと分からないんだから。


「じゃあ、チャミーはどうしてこの町を焼いたの?恨みでもあったの?」


「恨みはありましたよぉ~。でも、この町だからっていう理由でもないですけどぉ~」


詳しい理由をぼかしてきた。ここもあまり話したくはないようだ。

 ーー話したくないところが多いねぇ~。どうやったら、チャミーに口を割って貰えるかな?

この様子だと必要な情報は聞けそうにないので、ノガワは少し質問の仕方を考える。


「ふぅ~ん。この町に直接恨みがないなら、どうして教会を恨んでるの?」


「………あれぇ~?教会を恨んでるって言いましたっけぇ~」


「いや。言ってないねぇ。でも、僕たちが初めて会ったときは、その前に、お姉さん教会に火を付けてたのかなって思って」


ノガワは笑みを浮かべて説明をする。

 ーーそこまでバレてるなら話しても良いかと思うか、それとも、絶対に言わないと意思を強く持つか。

ノガワはチャミーがどう動くかと、期待と警戒の両方を込めた目線を向ける。


「そういえばそうでしたねぇ~教会で火事を起こすなんて、毎日やってたので忘れてましたぁ~」


「そうなんだぁ。………で?なんで、教会を焼いてたのかな?もし神の怒りを買うようなことがあれば、人間は魔族に負けちゃうかも知れないよ」


「そうですねぇ~。………でも、もう人間の勝利とか、どうでもいいんですよねぇ~」


チャミーは、少し馬鹿にしたような顔をしながら言う。

そんなことを気にしているのは、自分より格が低い証拠だとでも思っているのかも知れない。

 ーーでも、簡易人側が負けても良いと思ってるのは、良いポイントだねぇ。


「ふぅ~ん。じゃあさぁ。こんなことを1人でせずに、魔王軍にでも入れば良かったんじゃない?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ