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俺は慌てて、二人の間に止めに入った。マリルもリアナも感情的になっている。もし、ここで戦いなんてはじまったら、どっちも無事ではすまないだろう。

もちろん、俺も……。


「二人ともどうしたんだよ。魔法対抗戦は終ったんだ。もう戦っても意味ないだろ?」


「どいて、新人君」とマリルが叫ぶように言うとリアナも「ホーリー、大丈夫だからやらせて」と二人とも戦闘モードに入っている。


二人の表情は険しいままだ。リアナは苛立ちがおさえきれないといった様子でマリルへの不満を口にする。


「きいててイラつくのよね、あなたみたいなタイプ。自分が一番辛いとでも思ってるわけ?」


「そうじゃない。私はただ……」


「お、おい、もうそのへんで……」と言った俺の声は風にかきけされるほど小さかったのだろうか、二人には聴こえていないようだった。

もう完全に修羅場だ。


「気のすむまでやらせりゃええ」


「そうだな…… っておっさん!?」


「えっ!? シルバ様!?」


突然現れたおっさんを見て二人が同時に驚く。


「やることがあると言っておったが、まさか、おなご二人をはべらかしておるとは、お主もなかなかのプレイボーイじゃな。こっちとしては願ったりじゃが」


「そ、そんなんじゃねぇよ。それに、この状況のどこがプレイボーイなんだよ…… でも来てくれて助かった」


おっさんがきた安心からか、体の力がぬけ、その場に座り込む。


「三人ともまだ元気なようじゃから、ワシからのお願いをきいてはくれんか?」


「元気に見えるのは気のせいだ」


遠回しお願いを拒否する。おっさんのお願いなんてろくでもない事に決まってる。


「対抗戦の後からメラの機嫌がえらく悪くての。このままじゃと森いったいを燃やしかねん。心配じゃからお主らで止めてきてくれ」


予感は的中した。嫌どころか、死ぬかもしれない最悪なお願いだ。


「いや…… 無理でしょ」と俺は思ったままを口にした。


「お主らはどうじゃ?」


少しの沈黙のあと、マリルが口を開く。


「私、いきます。できるかわからないけど、メラさんを止めてみます」


「マリル、危険すぎる。メラさんは本当に攻撃してくるんだ。俺なんて腕を……」止めようとするが、いいかけたところで、今後はリアナが声をあげる。


「私もいくわ。教官は炎魔法だから水魔法の私が止めないと……」


「うむ、二人はすでに魔法戦士としての気構えを持っておるの……。それにひきかえ……」


おっさんは髭をさすり、哀れんだ表情で俺をみていた。


「な、なんだよ」


「二人はこう言ってるけど…… お主はどうするんじゃ? 帰るか?」


「わ、わかったよ、俺もいくよ! で? 場所はどこなんだ?」


「あそこじゃ、見えるじゃろ?」とおっさんは俺のすぐ、後ろにある森を指している。


「へ?」


まるで雄叫びのように、炎が音を出し、うねりをあげているのが見えた。まるで爆発でもしているような迫力だ。


「ん? あれを止めるの?」


素朴な疑問をおっさんにぶつけてみる。おっさんが正気かどうかを確かめる質問でもある。


「そうじゃよ」


やはり、正気じゃない。


「もう、二人は行ったぞ。はよいかんか」


おっさんにそう言われ、「くそっ、わかったよ」となんとか立ち上がり、足の震えを利用しながら小走りで火中へと向かう。


ブタ小屋を通りすぎて、足場の悪い道をこえていくとだんだんと熱気が帯びてくる。

正直行きたくはない。

さらに、足を進めていくと炎がさかのぼっているのがよりはっきりと確認できる。


「あそこか……」走って炎に向かうと、マリルとリアナがメラさんを説得している。なぜかはわからないが、メラさんの回りだけが木がなく、燃えた痕跡もない。


「メラさん!なにやってるんですか!」


獲物を見るかのような目付きが自分に向いている。相変わらずの鋭い眼光に足がすくみそうだ。


「なんだ、貴様ら…… そろいもそろって燃やされにきたのか?」


メラさんの怒りは収まっていないようだった。原因は恐らく、あの闇魔法のやつとの一件が原因だろう。


「教官!やめてください。この森には動物たちだっているんですよ」


マリルがそういうと、メラさんはフンっと鼻を鳴らした。


「だからなんだというんだ? そういえば、貴様は対抗戦で降伏していたやつだな。心理操作魔法にかかっていたとはいえ、だらしないやつだ」


「わ、わかってます。でもそれと、今教官がしていることは関係ありません」


「ほう、ではどうする? 私は、降伏させるほどあまくないぞ?」


「もう、逃げません」


「強がっていても、あの時と今でなにも変わっていないように見えるが?」


「…… 私は小さい頃、あなたのような強い魔法士になるのが夢でした。だから、お父さんとお母さんは、そんな私を争いに巻き込まないためにラジタニアに送りだしたんです。魔法士になってこの国を救ってくれって…… でも、争いのなかに家族を置いてきた罪悪感はずっとあって……」


リアナが自分の言ったことを後悔するように、マリルを見つめている。


「それが?」とメラさんが言う。


「わたし、もう迷いません。そして、目標も変わりました。私は、あなたみたいな自分かってな魔法士を倒せる魔法士になる。そして、国を救います」


リアナが水の壁をつくり、四人の周りを囲んだ。


「私は水魔法なんで教官とは相性悪いですよね? これ以上するなら、戦ってでも止めます」


「ほう……、貴様ごときが私と戦うか……」


メラさんが手を水の壁に向けると、一瞬にして水が蒸発し炎の壁ができる。


「この程度の魔法で私と戦うというのか? お前ら全員一瞬で燃やしてやる」


メラさんは嘲笑いながら、リアナを見つめる。


「そ、そんな……」


メラさんの傲慢な態度に苛立ちがつのる。


「いい加減にしろよ……」


「なに?」


「あんた教官だろ? していいこととダメなこともわかんないのかよ?」


「ふんっ、おじいさまに目をかけられてるからと偉そうに……」


「関係ない。俺は自分が正しいと思うことをやってるだけだ。これ以上やるなら俺も戦いますよ」


光を右拳に集中させると、メラさんの表情が変わる。


「面白い……」

いつも読んでいただき、ありがとうございます!

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