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「よし、お前らよく聞け」とメラさんは声を張り上げ、注目が集まる。


「貴様らにはこれから、魔法戦をしてもらう」


「え!?」


魔法戦と聞き、嫌な予感がとまらない。俺は立ち上がって抗議した。


「ちょっと待ってください。今日きたばかりで魔法戦なんて……」


「黙れ。怖いなら帰っていいぞ」


即答で切り捨てられる。


メラさんは俺を見てニヤリと笑った。もしかしたら、本当に覚悟をもってここに来たのか、試されているのかもしれないと拳を硬く握る。


「わ、わかりました」


ゼファルドが雄叫びをあげ立ち上がる。


「おお!全員俺がぶっ飛ばしてやるよ」


見渡すと他の生徒は各々違う表情をしていた。ゼファルドのように気合いに満ちた表情や不安げな表情、不気味に微笑む者もいる。


「新人君。私たちは友達であり、ライバルになるわけだ。お互い全力をつくそう」


マリルが屈託のない笑顔で手をさし出した。


「あ、ああ」


よく分からない握手を交わし、マリルは満足感に浸っているが、対象的と言っていいほど俺の頭は不安でみちていた。

それもそうだ。まだ魔法なんてなにも使えない。ヘタをするとこれは公開処刑とかわらないではないか。


「なぁ、ひとつ教えてもらっていいか?」


「なんだい、新人君」


「このクラスにいるやつらの名前と魔法を教えてくれないか?」


魔法の属性や特徴がわかれば対策ができるかもしれないと思ってきいた質問をマリルは怪訝そうにはねのける。


「そんなことしてなにになるんだい?」


「え?」


「あらかじめ相手の能力を聞き出そうなんて、スパイのすることだよ。見損なったよ新人君」


「ち、違うよ。俺は来たばかりだから全員どんなやつかも知らないんだ」


「それはこれから知ればいい」


「そんな……」


「なんてね。ちょっと意地悪してしまったかな?」


マリルは下をぺろっとだして、いたずらな笑みを浮かべた。


「…………」


「実は私もよく知らないんだ。ここにいるみんながどういう魔法使いでどういう性格なのか。ただ一つ確かなのは、私たちは魔法士を目指していてるってことだよ」


「ちょっと気になったんだけど、魔法士と魔導師はなにがちがうんだ?」


「え!?全然ちがうよ。魔法士は言っちゃえばただの魔法使い。つまり一人前に魔法が使えますよって証かな。魔導師はその魔法士を指導したり、魔法を使って国を救ったりしてるから、魔法に特化したエリートじゃなきゃなれないよ」


「やっぱ、F素材じゃなれっこないよな……」


「Fなんて無理だよ。C素材の私でも無理なのに。最低でもAはないと」


マリルは笑ってそう話す。冗談と受け取っているようだ。


「だよな…。おっさんはきっと間違ったんだな。俺に魔法士になれってことだったのか」


「親戚の人も応援してくれてるんだね。期待に答えるためにも頑張らないと。話しがそれたけどみんながみんな魔法士になれるわけじゃないから、必死なのだよ」


なるほど、と納得する。

ここは学校といっても普通の学校とは違い、独特の緊張感があるのはそういうことか。普通の学校のように和気あいあいというわけにはいかないのかもしれない。


「そうだったんだ、なんか色々きいてごめん」


「謝るの禁止!これからわかっていけばいいのさ。焦るな新人君」


確かに不安がっても仕方がない。ここにいるやつらの魔法をしったところで今の俺になにもできないのだから。


「そうだね。なんかスッキリしたよ。感覚的には開き直ったにちかいけど」


マリルと話しこんでいると、メラさんに注意される。


「おい、そこ。私語とは余裕だな。戦闘が終わった後でも仲良くしていられるといいな」


「す、すみません」


マリルと二人で頭をさげた。


ふん、と鼻息をならし、グラウンドに集合するよう、生徒に呼び掛け教室を出ていった。


「じゃ行こっか」とマリルが俺に声をかける。

ああ、と立ち上がると、岩のようにごつごつしたものが突如目の前を防いだ。


「おい、お前人間だろ?」


ゼファルドだ。さっきの挨拶の時も、ゼファルドはひたすら俺を睨んでいた。質問から察するに人間であることが気に入らないのだろう。


だが俺はハッキリと答えた。いずれバレることだごまかしても仕方がない。


「そうだよ。人間だよ」


「やっぱりな、どうりでくせぇと思ったぜ。なんで人間なんかがこんなとこに来たのかしらねぇが、お前はこのあとの戦いで俺がぶっ潰してやるよ」


「ずいぶんと物騒だな。なんでそんなに人間が嫌いなんだ?」


ゼファルドの顔つきがかわる


「お前、それ本気で言ってんのか?」


ゼファルドの体がみるみると黒く変色していく。


「え? あ、ああ」


マリルが慌てた様子で俺とゼファルドの間に入る。


「もう、やめてよ。ゼファルド君も早くグラウンドにいかないとおくれちゃうよ」


「まぁ、いい。この後じっくりいたぶってやるよ」


ゼファルドはそういって、教室を出ていく。


「なんなんだよ。いったい」


俺も教室を出ようとすると、マリルが腕をつかむ。


「待って!」


「なに? どうしたの?」


「新人君、さっき人間っていってたけど……」


「ああ、そうだよ」


「魔法使いはね、昔人間に滅ぼされかけてるから、よく思ってない人も多いの…… これからは、あまり言わない方がいいと思う」


「魔法士が人間に? なんで?」


「詳しくはわからないんだけど……、とにかく人間だって言うのは禁止にします」


「わ、わかったよ……」


正直、納得はいかなかったが、こっちの世界の事をなにもしらない今はそうした方がよさそうだ。


「わかってくれてよかった! それじゃ、グラウンドにいって戦いだ!」


「楽しそうに言う言葉なのか?それ」


マリルに手をひかれ、校舎の裏にあるグラウンドに向かう。




読んでいただき、ありがとうございます!

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