王国の農業体験(できない)
「まあそりゃあ時期が時期だからね。 農業もやってないよね」
「あたりまえ」
「一応魔道具を使った温度管理をしている場所はあるにはあるんですが、その場合は人手が足りているでしょうね!!」
「それじゃあ王都にでも行くか? 王国のギルドに顔を出すついでに」
温泉を満喫した後に3人+1人で来たのは王国の農業地帯。 なんだかんだでお金がない時の気持ちがわかる主人公はアニーを案内役として連れて来たようだ。 実際超古代文明を調べるという名目で各国を回っているアニーは案内役としては役立っていた。 とはいえ時期も冬に差し掛かった頃、農業なんてやってなかったのはご愛嬌だろう。
「よくぞお越しくださいました無貌の英雄殿。 この度は何の御用で?」
王都にあるギルドに来たのはいいものの、無貌の英雄だと即バレした主人公は王都のギルドマスターの部屋まで通された。
「特に理由は無いんだが、敢えて言うなら俺の生徒の記憶を戻しにって所だな。 魔法学園の生徒なんだが、戦争で頭に攻撃を受けてな」
「あぁ、なるほど。 それなら引き留めるわけにもいきませんね」
「…何かあったのか?」
ギルドマスターの残念そうなその顔を不思議に思ったのか、そう聞いてみると…
「あぁいえ、時間が取れるならば2つほどお願いがあっただけですので。 記憶喪失とあってはそちらの方を優先させてくだされば」
「一応話すだけ話してくれるか?」
そこまで言ったなら最後まで話せという気持ちで主人公は問いかける。
「一つは神都と魔法国のギルドに設置して下さった訓練室?というものを王都のギルドにも設置して欲しいというお願いです。 あれによって2国のダンジョン内での冒険者の死亡率が激減したと耳にしたので。 もう一つはダンジョンで採掘される鉱石の採掘依頼を受けてくれないかというものです。 こちらは戦争後の復興のためですね」
「………前者は今やろう。 後者は流石に無理だな。 短期ならいいが、長期間王国に縛られるのは駄目だ」
「本当ですか!? 訓練室の設置だけでも助かります!!!!」
そんなわけでサクッと訓練室をギルドの訓練場の傍に作ってから、主人公は3人が待っている宿に急いだ。
≪それにしてもギルドマスターにも普通の人がいるんですね≫
「……(確かに。 神都といい魔法国といい我が強い2人だからな)」
ホモと漢女並みに個性が強いやつが何人もいてたまるか。
「ただいま………????」
「「おかえり~」」
「おかえりなさ~い!!」
宿屋に着いた主人公の目には、真剣にオセロをしているサンとジャックの後ろに逆立ちをしているアニーという理解が出来ない光景が映っていた。
「何してんの?」
「「オセロとかいうゲームだって」」
「そうなんです!! 超古代文明には遊びが発展する余裕もあったようで、ボードゲームを始めとしたゲームがたくさんあるんです!! それらのゲームは形を変えて現在の戦盤といったボードゲームに活用されているんですよ!!」
「聞きたいのはなんで逆立ちしているのかなんだが……」
現代日本に生きていた主人公はゲーム自体は理解できるのだ。 問題なのはそっちではない。
「ふっ…罰ゲームですよ…。 圧勝できると思って挑んだらぼろ負けしました…初心者の2人に……」
「……ご愁傷様です。 それはそれとして、罰ゲームならその見えている胸は放置していいわけだな?」
アニーの服は重力に負けて捲れていた。 眼福ではあるのだが、恥ずかしくないのだろうか?
「………? ………///// うびゃぁぁぁぁぁぁ!?!?!?」
気付いていないだけだった。
「さかだちやめちゃだめだよ?」
「後生です!! 後生ですから!! おっぱいは隠させてぇぇぇぇ!!!! 露出趣味なんてないんですぅぅぅぅ!!!!」
とりあえずサンとジャックの一戦が終わるまでは放置されたアニーだった。
「……/// もうお嫁に行けません///」
「このくだり何回やるんだ?」
このくだり何回やるんだろうな。 こっちが教えて欲しい。
そんなわけでラッキースケベなどが有りながらも、主人公は存分に楽しんで、王都の夜は更けていった。
「はい。 はい。 そうですね。 次は商業国に行くと言っていましたから、会えますよ息子さんに。 ははは、今の内に殺しておけって無理に決まってるじゃないですか。 無貌の英雄は文字通り英雄と呼ばれるだけありますよ。 とはいえ英雄も人間ですから、少しだけなら時間を稼ぐこともできますので、息子さんを殺すならご自分の手でやってくださいね? はい。 それでは失礼します」
全員が寝静まった頃にそんな会話があったことも知らずに、翌日主人公達3人は商業国へと足を進めることとなった。
「ま、依頼ですし、息子さんを連れていくことだけ約束すればそれでいいよねっ!! どうしよっかな~ほんとに愛人枠に立候補しちゃおうかな~ おっぱいも見られちゃったし…///」
敵なのにどこか敵っぽくないアニーさんだった。




