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俺?ダンジョン!?  作者: 東歌
帝国動乱編
91/132

帝国の温泉地帯



 「嵐のような人だったね」



 「そうだな」



 「さわがしかった」



 超古代文明研究家のアニーと別れて、3人は次の場所に向かうことにした。 とはいえ、神都をこれ以上眺めてても収穫はなさそうという結論になったのか、他の国に行くことにしたらしい。



 「一応流れで行くと次は帝国なんだが……行けるのか?」



 「まあ行くだけ行ってみようか」



 「へきちだからたぶんだいじょうぶでしょ」











 「意外とサクッと来れたな」



 「先生はSランクを甘く見過ぎなんだよ。 英雄の称号だよ?」



 「あらんさんとどうりつってきくとすごい」



 お約束のSランクのギルドカードでゴリ押した主人公たちは……温泉地帯に来ていた。



 「にしても硫黄の匂いがキツいな」



 「めちゃくちゃくさいね」



 「うう~ん なんか思い出せそうな気がするな~ チラッ ああ~ここまで来てる、ここまで来てるから後は温泉巡りでもできれば何か チラッ 思い出せそうな チラッ 気がするんだけどな~ チラッ」



 「安心しろ、そもそも療養として温泉に入るつもりではあったから。 だからそんなにチラチラ見なくてもいい」



 「先生分かってるぅ~~!!」



 「やったね!!」



 流石に温泉の施設にSランクは関係ないので、普通に硬貨を両替して旅館の一つを確保した。






 「それじゃあ早速温泉に行ってくるね~~~~!!!!」



 部屋に着いて荷物を降ろすと、温泉が楽しみだったのかジャックは大浴場まで走って行った。



 「……着替えの浴衣も持たずにどうすんだ??」



 「じゃっくくんたまにおっちょこちょいだから」



 主人公とサンはゴロゴロしながら帰ってくるジャックを待った。



 「着替え忘れてたぁぁぁぁ!!!!」



 「はいお帰り」



 「で、じゃっくくんのきがえはこれで、いくおんせんはこっち」



 「なんでぇぇぇぇぇぇぇぇ!!??」



 サンにガシッと腕を掴まれて、大浴場とは別の場所にある家族風呂へと運ばれていったジャックであった。



 「あいつ記憶無いんだからサンも手加減してやれよ……ジャックからすれば恥ずかしいだろうが……」


 ≪むしろ恥ずかしさで思い出すのでは?≫


 「んなことあるか? まあなんでもいいか。 一応聞くけど、ラフィス実体化するか? それなら家族風呂に行くけど」


 ≪今は大丈夫です。 さっき設置したダンジョンの方に早速侵入者が現れたようですから。 まあ、マグマで即死したんですけどね≫


 「そっか、それじゃあ大浴場に行ってくるわ。 どうせリポップするから、温泉でゆっくりしている間には騒ぎになってんだろ」



 え? 主人公がいないとダンジョンは設置できないのでは? なんて思った人はラフィスさんを舐め過ぎだ。 ニコルはラフィスを鍵にしてダンジョンの設置や侵食を出来るようにしたのだ。 つまり、設置だけならラフィスが実体化すればできる。 そのため、主人公が旅館を取っている時にラフィスは実体化して、サクッと温泉の元となる火山の火口付近に設置してきたのである。



 「まじでラフィス様様だな」


 ≪それほどでも≫



 まあ確かにラフィスがいなかったら主人公は異世界で生きていけなかったため、正妻よりも正妻していると言っても過言ではない。











 「シクシクシクシク、もうお嫁に行けない」



 「だいじょうぶ。 わたしがもらうから」



 「何言ってんだお前ら」



 主人公が大浴場から上がって部屋に戻ってくると、ジャックがいつぞやの主人公と同じ会話をしていた。 まあこっちは同性じゃないだけまだマシなのだが。



 「あ、おかえりなさい。 だいよくじょうどうだった?」



 「おう、ただいま。 思ったより広かったな。 それに高級旅館だからか人も少ないし、気持ちよく使えた」



 そんな会話を横目にジャックは主人公を嫉妬の目で見つめていた。 そんなに大浴場に入りたかったのだろうか?






 そんなこんなでグデ~っと休んでいると、思い出したかのようにジャックが話し始めた。



 「そういえばさっき外がうるさかったんだけど、何か知ってる?」



 「ん、いわれてみればたしかにうるさかった」



 「いや、俺が知るわけないだろ? さっきまで温泉に入ってたんだから」


 ≪などと供述しており…≫


 「(犯人みたいに言うなよ!?)」



 「まあそりゃそっか」



 これぞ完全犯罪。 バレなければ犯罪ではないのだよ諸君(現実世界ではダメですよ。)



 「一応心配なら聞きに行くか? そのついでに晩飯も持ってきてもらおうか」



 ソワソワしている2人にそう聞くと、すぐに首肯で返された。






 「「「「あ。」」」」



 「「「なんでここに!?」」」



 「私のバイト先に現れるなんてまさかストーカーですかっ!!??」



 それじゃあ聞きに行こうかと部屋から出ると、パタパタと早足で移動している浴衣姿のアニーと目が合った。 さっきまではどちらも神都にいたのに、すぐに別の場所で合うなんてどんな確率だ。






 「ほえ~。 記憶を戻すたびに出ていると…大変ですねぇ~~~」



 「そうそう。 で? そっちは?」



 「よくぞ聞いてくださいました!!!! お金がないです……。」



 「「「あっ……」」」



 世知辛い世の中である。 そう思っていると、アニーの目がギュピーンと光った。 もちろん比喩ではあるが。



 「そういえばここに泊まるということは…ズバリあなた!! お金持ちですね!? それなら是非とも私を愛人に!!」



 「今回はご縁がなかったということで…」



 「どこの会社ですか!? お願いますよ~~お金さえくれればいいですから~~各国の案内でもなんでもしますから~~ねぇぇぇぇ…い゛った゛!? なんで殴ら……」



 駄々を捏ねるアニーの後ろには、旅館の女将さんがいた。



 「………働きな。 首にするよ?」



 「は、はいぃぃぃぃ!!!!」






 「やっぱアホだなあいつ」



 「「うん」」



 せやな。



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