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俺?ダンジョン!?  作者: 東歌
冒険者編
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模擬戦



 「そ、それで すぐにできる改善策とは?」



 一応簡単に説明すると、ステータスに振り回されて満足に動けないのをすぐに改善できる方法をアランは知っているらしいということである。



 「方法は2つだな。 1つは帰ってからになるが、簡単に解決できる。その代わりに一時的に弱くなる。もう1つは相当大変だろうが今すぐできる。 どっちがいい?」



 ≪おそらく後者を選ぶでしょうが、詳細を聞いてください≫


 「一応詳しく教えてもらってもいいですか?」



 「おう、帰ってからの方は呪いの装備を付けることだな。 体力を上げる代わりに攻撃力を下げる装備を付けて体を動かしたり模擬戦をすりゃあ力の加減を覚えられるだろうよ。  まぁ問題は呪いの装備を付けたところで変化するステータスが微々たる場合もあるから、その場合は問答無用でもう1つの方法を実践するしかなくなるな。」



 仮に主人公の攻撃力が10000だと仮定すると、数値でマイナスする装備(-100など)だと付けても9900になりあまり変化がなくなる。  もしくは割合でマイナスする装備(-50%)だと攻撃力は5000になるが、それに慣れたとして果たして装備を戻したときに加減できるのか?という問題も生まれる。  それならやる意味ないだろと思ったそこの君、正解〇



 「それなら最初から2つ目の方法を選んだ方が良さそうですね。」



 「そうなるよなぁ…じゃあ今からやるか?俺との模擬戦」



 「うぇっ???」



 先ほどのアランも言っていたが、結局ステータスを下げたところでやるのは体を動かすこと(体操とか?)や模擬戦なら、主人公の攻撃に耐えられるステータスがあるやつが模擬戦の相手をすればいいという発想である。  え?体操の方はって?ダンジョンをボッコボコにしたいんか?








 「ちょっと待ってろ」



 そういいつつアランは背中のバッグから防具を取り出した。 その防具はまるで騎士の甲冑のようだったが、その色は漆黒で、身長が3メートル近くあるアラン専用の装備だからだろうか威圧感が半端ない。 騎士とはいいつつ武器は使わないのか、漆黒の大盾のみを装備している。



「じゃあ、始めるか」



 「おぉぉぉぉ!武器は無いんですか!!??」



 やっぱこいつアホだろ。 今から戦うと言われているにも関わらず、アランの恰好が滅茶苦茶かっこいいと思ったのか目を輝かせながら武器を催促しだした。



 「はぁー…ほれ、これだ」



 主人公の反応に呆れながらもアランは武器をバッグから取り出す。 その武器は槍とハンマーを併せたような形で、防具と同じく色は漆黒だが、ぼんやりと青黒く発光している。 (グ〇ブルのドラブンハ〇マーの持ち手が長くなったような感じ)  模擬戦に使うつもりは無いのかハンマーの部分を斜めに地面に軽く振り下ろし、めり込ませる。



 「か、かっけぇぇぇぇぇ」



 「今度こそ始めるか」


 「とりあえず防御に徹するから最初は軽めで殴ってこい」


 見えづらいからか兜だけは外してそういう。



 「了解です!」



 全力で攻撃した時にモンスターの頭が吹き飛んだのがトラウマになっているのか知らないが、主人公はあまり力を入れずにただぶつけるようにして大盾に拳を当てる。




 ガッキィィィン




 軽く拳を当てただけのはずなのに響いたのは金属同士がぶつかり合うような音で、主人公は大口を開けて驚いている。 対してアランは想定内なようで、涼しい顔で次を要求してくる。



 「多分問題ないだろうから、次は振りかぶって殴っていいぞ。」



 と言いつつまた盾を構える。



 「おっらぁ!」




 ドゴッッ     ズズズッ




 振りかぶった拳が今度は鈍い音を上げて防がれる。 防いだアランも想像以上に一撃が重かったのか、踏ん張った足が地面を引きずる。


 「ふ、ふむ。 余裕だったな」



 「えぇ...」



 先ほどと同じく涼しい顔をしているアラン。 ただし今回に限っては主人公が困惑した反応をしている。  


なぜなら…アランは盾を下ろして手をフルフルと振っていた。 涼しい顔をしているようだが、よく見ると目を見開き、脂汗を搔いているように見える。  籠手がずっとカシャカシャと鳴っているのも含め、とても騎士には見えない。



 「よ、よし、ここからは俺も攻撃するから、避けるか防ぐかしてくれ。 当たっても問題ないぐらいの力ではやるが、すべてくらってたら模擬戦にならんからな」



 「りょ、了解です」






 了承した主人公と盾を下ろしたアランは少し離れて向き合う。ちゃんとした模擬戦はここからのようで、アランからは殺気のような威圧感を感じる。  異世界で初めて味わった強者からの殺気に主人公の鼓動は早まり、額には汗が滲み、恐怖に手や足が震えだす。


 唐突に走り出したアランはほとんど力を入れていないようで、主人公にも見える速度で近づいてくる。 それでも相当速く、震えている主人公が対処できることはなかった。

 「ほい、一発。 ……?」 ガキッ 

 「おぉっわっ」

 軽く押しだされるようにして腹を殴られた主人公はその衝撃で浮き上がり、4メートル近く吹き飛び地面を滑る。 その間にもアランは突撃してくるだろうと予測した主人公はすぐに起き上がり、構えるが、アランは思案した様子で同じ位置に立ち尽くしていた。

 「ど、どうしたんですか?」

 「うーーーーん…ちょっと試すか。 大怪我おったらエリクサー使ってやるから勘弁な」

 「は?え?」

 主人公の押し出したときの感触がおかしかったようで、悩んだ末にアランは一瞬で主人公の傍まで近づき、顔面に向かってそのままの勢いで拳を振り切った。

 「おぶぇっっっっ」

 もちろん主人公が避けられるはずもなく、振り切られた拳は顔面に突き刺さり、体を縦に回転させながら吹き飛ぶ。

 「っっ痛ってぇなぁ!!」

と叫んだのはアランの方で、殴った所の籠手は砕け、そこから見える拳は骨が剥き出しになり、血に染まっている。 それにも関わらず、アランの方は痛がりながらも嬉しそうに笑みを浮かべていた。


個人的に横書きで文の行間が少ないものは読みづらいと思っているので開けていましたが、戦闘シーンは場面の切り替わりが激しいので行間を開けずに書いてます。読みにくかったらごめんね。



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