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俺?ダンジョン!?  作者: 東歌
帝国動乱編
67/132

重要人物



 ゴトゴトゴトゴト



 「………。」



 ゴトゴトゴトゴト



 「………。」



 ゴトゴトゴト、ガゴンッ



 「ふぎゃっ!?」



 「もごっ!? もごもごもっごご」



 「んひぃっ!? 胸で口動かさないでよ兄さん!!」



 お分かりの通り、移動中だ。 馬車のせいで偶にラッキースケベはあるものの、変わりがない農村風景で暇である。



 「はぁ…なんで我らは馬車で移動しとるんじゃ……」



 「しょうがないじゃないですかぁ!! 王国のテレポートゲートが使えないんですからぁ!! というか座っているだけましだと思っていてくださぁい!!!!」



 運転席で馬車を操作しているノエルがそう叫ぶ。



 「それじゃあまたガチャでも……」



 「やめて。「酔う(のじゃ)。」」



 食い気味で答えられるように、一度は暇つぶしでガチャでも引こうと思っていたのだ。 ただし、二人が致命的に馬車酔いに弱くなければの話だ。 普通に乗っているだけでもキツイらしい。



 「この馬車だけだったら無視して屋敷に戻るんじゃがの……」



 一定の距離はあるが、前後にも同じように王国に行く冒険者の馬車があり、屋敷に戻るといざという時に怪しまれるのである。



 「もう少ししたら!! 馬を休ませるところまで行くので!! 我慢してください!!」



 「は~い」



 そういうわけでまたまた無言タイムが始まった。











 「「「ふぅ…」」」



 馬車は整備された泉のようなところで止まり、ここで一旦馬を休憩させるようだ。



 「馬車ってこんなに辛い物なんだね~」



 「まあ使ったことなんてなかったからな」



 「クッションが無かったらお尻が割れるところじゃったの…」



 まるでもう乗らないかのような反応だが、残念ながらまだ中間地点である。


 そうしてボケ~っと待っていると、ノエルの叫び声が聞こえてきた。



 「そ、そんなことさせるわけないじゃないですか!!」



 珍しく怒っているようだが、ノエルの前にはガタイの良い男の冒険者たちがおり、多勢に無勢だ。



 「兄さん。」



 「ツクル。」



 「おう。 分かってる」



 それを見て主人公が助けに行くが、それは悪手だったと数秒後分かる。






 「おいおいお前ら、俺の嫁に何してんだ?」



 主人公はノエルの前に割り込みそう言うが、その瞬間相手は主人公の腕をガシッと掴んでくる。



 「よぉイイケツした兄ちゃん」



 「ん?」



 「自分から来てくれるなんてイイヤツじゃあねぇか」



 「んん??」



 「ギャハハハ!!せっかく嫁に助けてもらってたのになぁ!!」



 「んんんんん????」



 「そ、そんな!! ツクルさんにピーーーなんてさせるわけが…」



 「ははーん、なるほどね……ギャァァァァァァ!!」



 「「「なっ!? 待ちやがれぇぇぇぇぇ」」」



 ノエルを助けるはずが、自分が逃げる羽目になった主人公であった。











 「はぁっ!! はぁっ!! ま、撒いたか…」



 木が生い茂っている森の方に逃げてきた主人公だが、ある意味幸運とも不運ともとれる事態がここから起こっていく。



 「………!! ………!!!!」



 一旦落ち着き、戻ろうかと考えていた主人公の耳に誰かの怒声が聞こえてくる。



 「(ラフィス。) ≪纏い≫」



 静かに木の上に移動した主人公は声の聞こえた方に移動し、耳を澄ませると…



 「前進だと言っている!! 王国の助けをし、我らが帝国の妨げをする者どもは滅ぼさねばならんのだ!!」



 「だ、だがっ!!」



 「口答えをするなぁぁぁぁ!!」



 下官らしき男が上官に頬を叩かれ、バシィィィンという音がその場に響き渡るが、立ち止まっている兵士達からの声一つあがらず、主人公は困惑していた。 しかし彼らの目を見ると、叩かれた下官らしき男以外の目は赤く染まっていて、催眠にでもかかっているのだろうということが想像できた。



 「その男は捨て置け!! 進軍だ!!」



 返答も無しにザッザッザッという足音だけを残し、馬車がある泉の方へと彼らは進む。 その肩には銃らしきものが抱えられていた。


 残された下官らしき男は…



 「くそっ…あの女さえいなければ…」



 「≪あの女とは誰?≫」



 そう呟く下官らしき男の首に後ろから手を沿え、主人公はそう聞く。



 「………半年前だ…突然城に現れた女によって…皇帝及びその側近が操られた。 俺には何故か催眠が効かなかったのだろう。 その女によって前線に追いやられた俺はどうにかして催眠を解除できないかと考えていたんだがな…ここまでだな。 だが、できれば…できればでいい。 あの女…女だけは殺してくれ!!」



 本当に下官か怪しくなってきたその男はそう言うと、持っていた手榴弾のピンを抜き……



 「カハッ……」



 「≪重要人物をみすみす死なせるわけがないでしょ≫」



 その男を縄で縛った主人公はついでに帰り道にいた帝国軍も捕まえ、泉へと戻っていった。











 「悪いけど手伝ってくれない?」



 泉へと戻ってきた主人公は、抱えている男を降ろしながら驚いている冒険者たちにそう言う。



 「どうしたんですかその男の人?」



 「こいつか? おそらく帝国が操られた原因を知っている重要人物」



 ノエルに聞かれて答えた主人公に、その場にいた全員が驚愕した。



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