学園祭に向けて
ダンジョンの中で戦闘の授業も挟みつつ、生徒全員のレベルが高水準になってきたある日。 その日は生徒たちが授業中もソワソワしていた。
「何かあったのか?」
授業が終わってから主人公が聞いてみると…
「知らないの先生!? 夏休みが終わったら学園祭だよ学園祭!!」
「「「学園祭??」」」
ミウとニコルも一緒に首を傾げるが、ノエルだけはウンウンと頷いている。
「そういえばそんな時期でしたね。 あっ、私が代わりに説明しておくので、あなたは次の授業に急いでください。 遅れたら怒られちゃいますよ?」
生徒は、はーいと元気に返事をして、ダッシュで去っていった。
「どうせなら学園長も交えて説明しましょうか? 今日の授業も終わったことですし」
「そうだな」
「ほんとここが好きね、あなたたち…」
学園長室に入ると、学園長に呆れた顔で見られた。
「と、言いつつ内心は?」
「嬉し…って何言わせんのよ!?」
ツンデレは一旦置いといて…
「それでは学園祭について説明しましょうか。 魔法学園の学園祭は、毎年夏休みの後に行う魔法国の顔とも言えるお祭りです。 各クラスが出し物をする他、その1年で研究した魔法などの発表をする場でもあり、各国の王族や皇族、貴族も毎年訪れます」
「あぁ、それでここに来たのね。 ついでに裏事情を付け加えるなら、魔法のランクを制定する場でもあるわよ。 禁忌となる魔法を世に出さないための話し合いね。」
事務作業をしながらだったからか、無意識にヤバいことを言ってしまう学園長だった。 流石ポンコツ。
「それ言っていいのか?」
「………私…今何を言ったかしら?」
「禁忌となる魔法がどうこうって!!」
「……忘れてね」
「いや流石に無理があるじゃろ」
まさか学園長に裏事情を話させるためのノエルの策略!? ってのは冗談で…
「ま、まずいことは聞いちゃいましたが、とりあえず学園祭があるんですよ。 とはいえ、私たちにはあまり関係ありませんね。 生徒たちは夏休みも学園に来て準備をするんでしょうが、教師は基本的には手伝ってはいけないので」
「そういうことだから、夏休みの間にあなたたちがやることは生徒会長を守るぐらいなものね。 つまり…神都に戻ってていいわよ。 魔道具も持たせているようだしね」
バレている。 生徒会長に魔道具を持たせているなんて伝えていないのに。 ちょっと主人公も焦り気味だが、特に追及されることはなかった。
そんなこんなで授業もなくなり夏休みに入ったため、主人公一行は“正式に”神都へ帰還した。
「お~~~、懐かしっ!!」
「ほんの数か月しか行ってなかったんですけどね~」
テレポートゲートで神都に戻ってきた主人公とノエルは、神都の街並みを見て懐かしさを覚えた。 それだけ濃厚な日々だったのだろう。
長時間その場に立ち止まっていた2人はハッとして、ひとまずアランの宿屋へと向かった。
「ん? あ、ツクル君にノエルちゃん!! 久しぶり!!」
宿屋にアランはおらず、代わりにSランク受付嬢さんことアリスが接客をしていた。
「アランさんは…?」
「あぁ、なんか依頼でどこかに行ってるらしいのよ。 受付嬢の私にも伝えられない極秘依頼らしいから、いつ戻ってくるなんてのも分からないわ」
「そうなんですね」
とりあえずアランとも会えなかったので、ギルドのゲートを経由して屋敷まで戻っていった。 ん? ギルマスの所はって? 知らんな。
「ただいまぁぁぁぁ!!!!」
「お、兄さんおかえり~」
「意外と早かったの」
行くときは手続きに時間がかかったが、帰るときは一瞬らしい。
「何はともあれ良かったでやがりますね。 長期休暇が取れて」
「あはは、確かに毎日のように授業をするのは意外としんどかったですね」
長期休みも相まって、今までよりも屋敷を使う回数が多くなりそうで嬉しそうなシェイルであった。
「そういうことで兄さん? 明日も休みだよね?」
「ん? そうだけど…どうした美羽?」
昼食を食べたあとに主人公に話しかけた笑顔のミウだったか、鈍感な主人公さんはミウが言いたいことに気づいていないようだ。
「ノエルちゃん。」
「はい。 ミウさん。」
「えっ? 何? あの~降ろしてもらってもぉぉぉぉぉぉ!!??」
ミウに上半身を、ノエルに下半身を抱えられ、主人公はベッドルームに運ばれていった。
「が、頑張りやがってください」
見えなくなった主人公を哀れに思いながらもシェイルは手を合せるが……甘いな。
「シェイル。 お主も行くのじゃ」
珍しくニコルにベッドに移動させられたシェイルであった。
「よし!! 我はお昼寝でもしようかの~ぉ????」
≪神様も甘いですね≫
ニコルは自分は安全だとでも思ったのだろうか。 速攻でラフィスにより転移させられた。 ギャグ&エロ時空をあまり舐めない方がいい。
「それじゃあわたしもまざりにいきますか」
ついにはラフィスも実体化し、プロレスごっこ(意味深)が始まった。
後日、主人公は10キロほど痩せた。




