学内戦終了
どうにか主人公の防御を突破しようと生徒会長の攻撃が続いたが、そろそろ主人公も暇になってきたらしい。
「そろそろ俺からも攻撃していいか?」
攻撃が効かないことも証明したことだし、後は勝つだけだな。
「うーん…よっしゃこぉぉぉい!!」
生徒会長はまだ勝ち筋を考えているようで、悩みながらも了承した。
主人公も攻撃するとは言ったがまだ本気を出すわけではないようで、ひとまず“纏い”は使わないで自身の力?のみで戦うらしい。
「ふぅぅぅ…シィッ!!」
「あっっぶなっ!? 思ったよりはやっ!?」
主人公が扱いきれる力だけでも生徒会長より速いようで、生徒会長は主人公の拳を紙一重で回避する。
「ちょっと、待って、反撃、するっ、時間がっ、とりゃあぁぁぁぁ!! はぁ、はぁ…」
「ルイン選手間一髪、ギリギリの回避です!! ツクル選手の連撃に押されに押されましたが、何とか距離を取り直しました!!」
「もう一回っ!! 次は反撃するぞ!!」
反撃に絞っているということは、攻撃をしている時は防御ができないと踏んでいるのだろうか。 そんなに甘くはないが主人公が自分で言うほどのものではないので、黙って攻撃を加える。
「ぉっらぁ!!」
「せいやぁぁぁぁ!!!!」
刹那、交差した拳は主人公の頬にだけ当たり、主人公は後方に吹き飛ぶ。
「クリィィィンヒィィィッット!! 交差した両者の拳はツクル選手のみを貫くことになりました!! やはりどんな攻撃も通らないなんてことはあり得なかったのか!? 相手を攻撃している時だけ防御がゆるま……え?」
実況が思わず停止してしまうほどの光景がモニターには映っていた。
「痛っつ…まさか反射するなんてね…」
いつぞやのアラン戦をなぞったかのように、ルインの手は血だらけになっていた。
「もうネタも尽きたか? 終わらせるぞ?」
対して後方に吹き飛んだはずだった主人公はピンピンしていて、ダメージが入っていないということが伝わってくる。
「ふぅぅ…あんまり対人で使いたくなかったんだけどなぁ…これが効かないなんてことがあったら諦めるか」
そう呟くと、ルインは主人公の方に片手を翳した。
「【全てを飲み込む海よ 我が意に従い 敵を打ち滅ぼせ リトルオーシャン】」
「ごもっ…!? もふへ、ほへ?(まじで、これ?)」
舞台を埋め尽くした水は主人公に向かって集まり、主人公を空中へと押し上げる。 そして主人公を中心に20m四方の水が形作られ、主人公は空中に捕らわれた。
「からの、【全ての水よ 動きを止め 対象を凍てつかせろ 絶対零度】」
空中に20m四方の氷塊が作られ、その場は静まり返った。
「おぉぉぉぉ!! 凄まじい魔法です!! ちょっとさっきのトラウマが……まあいいでしょう。 氷の塊に捕らわれたツクル選手ですが、抜け出すことは可能なのでしょうか!? 魔法で作られた氷は基本的に強度が高いぞ!!!! 流石のツクル選手でも窒息から逃れることはできないのか!?」
「………勝ったか?」
少し時間が経ち、流石に窒息するだろうと予想した生徒会長はボソッとそう呟いたが、その言葉はフラグだった。
ビシッ
ビシビシッ
ゴッッシャァァァァン!!
「≪流石に纏わないと割れなかったね≫」
氷の中からは“纏い”を使って中性的になった主人公が出てきた。
「……それが先生の本気の姿かな? 結構かわいいな」
流石に諦めた様子の生徒会長だったが、主人公の本気?を見ることが出来たためか、あまり悔しそうな様子はない。
「≪一応構えなよ。 もし防御出来たら降参してあげる≫」
「ははは、言ってくれるじゃん。 来いっっっ!!!!」
これが最後の攻防になるのだろうと全員が予想し、体育館は静まり返る。
……トンッ
「ははっ、見えな…かったぜ…。」
ロマンの塊、首トンをくらった生徒会長はその場に倒れ伏した。
「決着ゥゥゥゥ!!!! 勝者はツクル選手!! 一時は負けが確定したかと思われたツクル選手でしたが、本気を出したツクル選手は次元が違ったぁぁぁ!! 生徒会長が反応すらできない速度で回り込み、気絶させました!!!! 激闘を繰り広げた両者に皆さん拍手をお送りしましょう!!!!」
主人公は倒れた生徒会長をお姫様抱っこして退場した。 向かう先は医務室だろうが、観客席にはヒューヒューという声が響き渡った。
「なんで最後に格好つけてるんじゃ」
「それでこそ兄さんだね!! でも羨ましいぃぃ!!」
「後で私たちもやってもらいましょうか」
「流石は師匠だな!! 圧勝だと思ってたぜ!!」
「ちょっと心配してたでしょヴェントは」
「嘘つき。」
「う、うるせぇ!!」
「ほぇぇ、せんせいつよいんだね~ ジャックくんもあんなふうになるんだろうなぁ~」
「え゛?」
「ふふふ、頑張りなよ彼氏君? くふふ」
「ロウおま…流石に荷が重くないか?」
何はともあれ、これにて学内戦!!終了!!




