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俺?ダンジョン!?  作者: 東歌
魔法学院編
54/132

2年の部 準決勝第1試合




 「予定していた準々決勝のジャック選手対カノン選手試合ですが、カノン選手の棄権により急遽変更となりました。 対戦相手は変わり準決勝第1試合!!」


 「右コーナーはジャック選手!! 某生徒会長のせいで印象の薄い彼ですが、その分自分の手札を晒していません。 相性が悪いように見えるこの対戦をどのように捌いていくのか楽しみです」




 緊張した様子のジャックがゆっくりと入場した。




 「左コーナーはサン選手!! 彼女こそが2年最強!! 男子なんてなんのそのという様子を前の試合では見せつけてくれました。 今回の試合も一瞬で勝利を掴むのか。 今から楽しみでなりません」




 堂々とした態度で入場する彼女だったが…残念なことに身長は低い。 背伸びしている子供の様に微笑ましく見える。



 「われ!! さいきょぉー!!」



 子供さに拍車をかけるようにブイッとピースするサンだった。



 「…こんなのでも強いんだよな…」



 「こんなの!? チビか!? チビっていいたいのか!?」



 「………。」



 「なんかいえぇぇぇぇーーー!!!!」




 「準決勝第1試合開始っ!!」




 彼女が2年で最強だと言われている所以…それは無尽蔵の魔力量。 通常なら魔力を気にして上級魔法などは最後の一押しに使われる。 しかし彼女の場合ならどんな魔法をどれだけ使おうとも彼女の魔力が切れることはない。 簡単に言えば、絶対に破られない防御魔法を張りながら攻撃魔法を相手が倒れるまで打ち続けるだけで勝てる。



 「チビなんてゆうやつはゆるさんぞーー!! おりゃぁぁぁ!!!!」



 サンはとりあえず無詠唱で放てる中級魔法を打ち続ける。 あと、誰もチビなんて言ってない。



 「言ってねぇぇぇぇ!!!!」



 ジャックも死ぬ気で避けまくるが…勝ち目は薄そうだな…



 「そろそろっ!! 止まってもっ!! 良いんじゃないかなっ!?」



 意味はないと察しながらも槍で魔法を打ち返し、魔法同士の爆発で疑似的な煙幕を張る。



 「おぉぉぉーすごいよけるな!! ちょっとたのしくなってきた!!」



 煙幕が有るうちにワンチャン近付けるかと思ったジャックだったが、一瞬の内に風魔法で晴らされた。




 「えー、ある意味代わり映えの無い映像に実況も困惑しております。 サン選手も上級魔法の詠唱中に近づかれるわけにもいかないため牽制を続けていると言いたいところですが、避け続けるジャック選手の反応を楽しんでいるだけのようです。 まあジャック選手には悪いですが小さい子が楽しんでいるのを見るのはこちらも楽し…………」


 「実況は変わりまして放送部副部長のリンダがお送りします。 部長は後で処しておきますので、引き続き学内戦をお楽しみください。」


 部長…いいやつ…だったよ…。




 実況の方に変化があったと同時に試合の方にも動きがあった。



 「じゃあそろそろおわらせちゅあ…」



 「ちゅあ? …まだまだこれからだ!! 終わらせちゅあってたまるかよ!!」



 魔法で勝てないからって精神攻撃…狡いな。



 「う、うるさいぃぃぃ!! かんだだけじゃん!!」


 「もうおこっちゃったもんね!! くらえぇぇぇぇ!!」



 攻撃の手を強めたことで、サンの防御が一瞬甘くなった。 その隙をついて、ジャックはサンの防御壁に接近する。



 「こんなズルい戦い方をしたくはないが…こうでもしないと一矢報えないだろ。」



 「いったぁぁぁぁい!!」



 「ははは…冗談だろ?」



 サンの防御魔法を貫通し、長槍の攻撃が腹部に突き刺さったかのように見えたのも束の間。 サンはピンピンした様子で攻撃魔法の数を増やした。 おそらくインパクトの瞬間に後ろに跳びつつ、反射的に腹部に防御魔法でもかけたのだろう。



 「流石に…もう無理だな。」



 ジャックは諦めたのかその場で立ち尽くし、サンの攻撃魔法の嵐に身をさらした。




 「ジャック選手がサン選手の防御魔法を貫通するという健闘を見せるも、槍での突きをサン選手はものともしていません。 ジャック選手は諦めてしまったのか、サン選手の魔法を体で受けてしまいました。 準決勝第1試合、けっちゃ…」


 決着が着くかと思われたその時、魔法の嵐の中から余裕を失った表情のジャックが姿を現した。




 「決勝は諦めるしかないな。 だが、この試合は勝たせてもらう。」


 「【纏魔装身】」



 それはジャックがロウやフロンと練習を重ねてようやく完成させた技。 ヴェントが真似しようとして最後まで完成しなかった魔力操作の極致。 自分の魔力を相手の魔力に似せることで、相手の魔法を自分に纏うことが可能になるという魔法使いにとっては最悪の技だった。



 「この技は使っている間は集中し続けなければいけないし、使った後に自分の魔力が操作できなくなる。 だから決勝でしか使う気はなかったんだがな…負けるぐらいなら使ってもいいだろう。」



 無意識にジャックの目は充血し、鼻血も流れ出てくる。 それだけサンの魔法が強く、纏うのに集中力をかなり使っているのが分かる。



 「ち、ちかづくな!! ……な、なんでわたしのまほうが!!」



 「これで…終わりだっ!!」



 最後にジャックの拳がサンに突き刺さり、サンが気絶した。 と同時にジャックの魔法も解除され、二人でその場に倒れ伏すことになった。




 「今度こそ準決勝第1試合決着!! 勝者はジャック選手!! と言いたいところですが、判定によると引き分けのようです!! まさかの大波乱が起こっております。 準決勝の第1試合が引き分けに終わってしまうと、次の試合が決勝になってしまうのですが…まあそこらへんは学園長に任せるとしましょう。」




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