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俺?ダンジョン!?  作者: 東歌
魔法学院編
51/132

2年の部 本戦第2試合



 「あー、あー。 実況は変わりまして放送部部長レリックがお送り致します。 生徒会長のアホな実況が良かったという方には申し訳ありません。」



 アホじゃないが!? そんな叫び声が響いた気がしたが気のせいだ。



 「やっぱり生徒会長が実況やるのはおかしいよな。」



 「そういえば本人も実況はもらったとか言ってましたね」



 ようやく通常の学内戦に戻ったというわけだな。






 「それでは魔法学園2年の部、本戦第2試合を始めていきます。」


 「右コーナーはアルマ選手。 2年の女生徒の中で1、2を争う強さを持っているという噂があるようです。 主な戦闘方法はバフやデバフを掛けつつ行う接近戦とのことです。」




 観客に大きく手を振りながらアルマが入場した。 元気いっぱい短髪ボーイッシュ運動部女子は大好物で…ナニモイッテナイヨ




 「対して左コーナーはカノン選手。 自分の魔法に振り回されて逆に話題になっていた彼女ですが、噂の新任の先生によって著しく実力を上げたらしいとのことです。 戦闘方法は彼女特有の輪唱魔法。 詳しい効果は知りませんが、音による錯乱や音そのもので攻撃できるようです」


 カノンを教えたのはツクルではないが、面倒なのでまとめて噂の新任の先生とするらしい。




 カノンはこのような大会に出たことがないからか滅茶苦茶緊張しているらしく、ガッチガチになりながら入場する。



 「あはは、そんなに緊張しなくても。 リラックスだよリラックス!!」



 陰キャにも優しい…これはまさしく真の陽キャ。



 「あ、ありがと。」



 多少気がほぐれるカノンだったが、その囁き声がアルマに刺さる。



 「ひゃわっ!? エ、エッチなのはダメだよ!!」



 顔真っ赤にしちゃって~ とてもいいと思います。




 「第2試合開始!!」




 「戦闘の時は普通の声だから大丈…夫っ!!」



 カノンは予選のように声の強さを変えて攻撃しようとするが、アルマは気にもしないで接近してくる。



 「な、なんでっ!?」



 多少は近接戦の対策もしていたのか、カノンはアルマの攻撃を防いで距離を取る。



 「う~ん距離取られちゃったか。 自分の攻撃が効かなかったら動揺すると思ったのにな。」



 「ど、どういうこと…。」



 「カノンさんには申し訳ないけど、今の私に話しかけても返事できないよ。 耳にデバフかけて聞こえないようになってるからね!!」



 なるほどな。 しっかりと予選のカノンの戦闘を見ていたんだろう。 それに加えて実況からの説明もあったからか、最初から対策していたようだ。



 「なるほど。 それなら…ラ~ラララ~♪」



 「苦し紛れに何か歌っても聞こえないんだよっ!!」



 アルマはもう一度突撃するが、カノンはアルマの拳を完璧に受け止め、逆に胸に蹴りを放つ。



 「【自己強化 戦歌】」



 アルマもその蹴りをもう片方の手で受け止めつつ、後方に跳ぶ。



 「自分自身に歌でバフでも掛けたのかな? やるじゃん。 でもさ、私と接触したね?」



 「……体が重い。」



 アルマは接触と同時にカノンにデバフを掛けていた。




 「観客の皆さんは魔法学園にしては地味な戦いが繰り広げられているかと思うでしょうが、中々高度な戦いを繰り広げております。 カノン選手の音による攻撃をアルマ選手は自分自身の耳にデバフを掛けることで無視して、近接戦を仕掛ける。 それに対してカノン選手は相手ではなく自身にバフを掛けることで一時的に耳が聞こえないアルマ選手を不意打ち。 それすらも対応したアルマ選手は、接触した瞬間カノン選手にデバフを掛けるという具合になっております。」




 実況からの詳細を聞いて湧き上がる観客だったが、その時主人公一行は神妙な顔つきをしていた。



 「相当不利だな…。」



 「まずいの。」



 「どういうこと?」



 「カノンちゃんにはツクルさんも手伝ってもらって近接戦を仕込みましたが、それでも一応対応できるぐらいです。 ツクルさんの速さに慣らしたとはいえ、相手は最初から近接戦がメイン。 戦闘の幅が違います。」



 何にしろ出せる手札が少なければ、長期戦は不利になる。 このままだと不利になっていくのは明らかだ。



 そして主人公たちが予想した通りに、カノンは何度か接近戦をした後にボロボロになっていた。



 「くっ、うぐっ。」



 「もう諦めてもいいんじゃない? 腕、上がらないでしょ?」



 一回では大したことのないデバフでも接近戦ごとに積み重なり、カノンは倒れる一歩手前にまで陥っていた。



 「……これで無理なら。 あ゛あ゛ぁぁぁぁぁ!!!!」



 「あ…? え? なんで私が…地面に?」



 カノンが最後の力を振り絞り叫ぶと、何故かアルマが地面に倒れる。



 「…音に鈍感になっているだけで、耳自体が保護されているわけじゃない。 それなら…あ……ぁ………(もう…声が出ない)」




 「第二試合決着!! 勝者、カノン選手!! 押してたはずのアルマ選手でしたが、どうやらカノン選手に平衡感覚を潰されたようです。 カノン選手は控室で…た、担架!! 医療班!!」



 勝利したカノンだったが、パタリとその場で倒れた。 勝利の一言を聞くまで根性で耐えていたのだろう。



 両者に向けた盛大な拍手がその場を包み込んだ。


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