修練のダンジョン②
そして地下室に降りてきた一行は衝撃の光景を目の当たりにする…
「……何も無いんかいっ!!」
「噓でしょ?めんどくさい行き方してるのにこれ!?」
「でも相当広いですね…」
「我のお尻を痛めた意味よ……」
「言わなかったでやがりますか? 何も無いって」
「「「「≪言ってない!!≫」」」」
地下には広い空間が広がっているだけで、特に何もなかった。
「まぁ後で何か作ればいいか…。」
ここにダンジョンの出入口を作る意味も無いので、一行はまた寝室へと戻っていった。
「もうここに作るけどいいよな?」
「≪構築≫」
寝室まで戻った一行だったが、これ以上探索する気力もなくなったようで、寝室の反対側の壁に入り口を作ることにしたようだ。
「それじゃあ入ってみるのじゃ」
「えー 休みたいよー」
「まあまあ、見るだけ見るだけ」
「ルオネの出番ですね!! | しょうがねぇな」
全員で修練のダンジョンに乗りこ……
「その前に昼食でやがります」
ズコッ×4
~昼食昼食ぅ!!~
貴族の食事って一回は食べてみたいよね。
「それじゃあ今度こそ入るか」
「しょうがないなぁ」
「今度こそルオネ!! | おうよ」
「じゃあ我はお昼寝してくるのじゃ~」
「「「おいおいおいおい!!」」」
ニコルを3人で引きずって、ようやくダンジョンに入っていった。
ダンジョンの中は天神のダンジョンに似ていて洞窟型だが、天神のダンジョンよりも多少広く感じた。
「修練…名前の割には普通だな」
「ほえ~普通のダンジョンってこんな感じなんだぁ」
「天神に似てんな|ですね」
「我は危険だと思ったら助けるからの、頑張るのじゃ」
一行はピクニックのような気持ちで進んでいくが、突然周りを覆いつくすように黒い靄が現れる。 主人公とルオネ(ノエル)はどこかで見たことがあり、滅茶苦茶焦っている。
「おいおいおいおいこれってあれだよね!!??」
「モンスターハウスだよな|ミウさんは引いた方がいいですね」
「そうじゃん!!美羽はニコルの後ろに隠れとけ!!」
「え?え? りょ、了解!!」
「ラフィス!!」
「≪纏い≫」
「≪ルオネも本気でやりなよ?≫」
「任しとけ」
黒い靄がモンスターの形になると、そこには主人公が見たことのあるモンスターが出現した。 食材のダンジョンにいた草食動物たちや、天神のダンジョンにいたゴブリンやオーク、スライムが…
「ツクルは理解したと思うのじゃが、修練はそれを作ったダンジョンマスターが戦ったことのあるモンスターを強化して出すのじゃ。」
「≪…スライムどうしよう…≫」
そう…問題はスライムである。 他は最悪主人公一人でもなんとかなるが、スライムだけはどうしようもない。
「スライムは俺がやる|任せてくださいツクルさん!!」
任せて大丈夫なのか?なんて考えている余裕はなく、主人公は少しでも数を減らすために突っ込んでいった。
減らしても減らしても数が減らない様子に、どうすればいいのだろうかと考えていた主人公とルオネの間を黄色い光線が通る。 その光線は湧き出ているかのごとく現れるモンスターを貫き、その奥で爆発が起きた。
「「≪何!?≫」」
驚いた二人が後ろを振り向くと…
「おお…おぉー……」
手を前に出しながら、もっと驚いているミウがいた。
「ミウよ…お主こういう時は運がいいのぉ?」
どういうことかと三人は聞き返すと…
「無限に湧き出るようにスポナーを設置しとったのじゃが、奇跡的に今ので壊れたの。」
「「≪だから減らなかったんだね(だな)…≫」」
何はともあれこれで数が減ることが分かったため、ミウも加えて残りのモンスターを倒していった。
「そういえばいつの間に兄さんは姉さんになったの!!??」
すべて倒した後にミウは主人公に尋ねる。
「≪女になったわけじゃないんだけどね≫」
「ラフィスと融合するとどうしても」
≪中性的な雰囲気になるんですよね≫
TSとまではいかないわけだな。ちっ
「俺も一個いいか? ルオネはどうやってスライムを倒したんだ?」
スライムは属性付与をしないと倒せなかったはずだが。
「あぁ、簡単な理由だ。 俺の力は絶対的な対生物特攻と耐性だからだ。| 相手が生きているものであれば無敵ですね。」
「「「ずるくね?(ずるくない?)(強すぎるのじゃ)」」」
≪マスターが言えることではないですがね。≫
ラフィスが言う通り、現在の主人公は生きてはいるが、ダンジョンという無機物扱いなので、ルオネの力が効くかは疑問である。
そうして多少疲弊しながらもダンジョンを出た一行の前には、そわそわした様子のシェイルがいた。
「あっ、はぁぁぁぁーーー生きてやがったでやがりますか…。」
「そんなに心配しなくても、死んだところで蘇生するぞ?」
「………だとしても4時間は流石に心配するでやがります」
そう、主人公たちが入ってから出てくるまで4時間経っていた。 戦っていた側からすれば時間なんて考える暇もないだろうが、待っている側からすれば心配にもなる。




