踏んだり蹴ったり
「ま、まぁ普通に鍵をかけるよりも安全になったので…」
「そ、それもそうだな!!」
どうせもうダンジョン化してしまったのだ。 それならギルドの中ということも気にせずに魔改造してしまおう。
「ゲートどうする? 隠す?」
「見えたまんまでいいんじゃない? 代わりに罠しかけよ、罠!!」
「ちなみに認証の有無で出入りを制限出来たりできますか?」
≪出来ますね≫
「罠どうするのじゃ? ガチャから引くのかの?」
「全員で引くか?」
「「「引きたい!!」」」
~一旦ガチャタイム~
「ラフィス、画面出せるか?」
≪出せますよ≫
ブォンッという効果音と共に画面が現れる。
「意外とごちゃごちゃしてるね」
「もっと分かりやすい物かと思ってました」
画面には全員で作ったダンジョンこと主人公のお部屋のホログラムを中心にその周りを囲む生成可能表示や様々な数値が載っていて、左下の方にはちょこっとガチャの欄があった。
「じゃあ引いてみ」
「ま~ま~任せろ兄さん!!私の幸運力なら一発で良いやつを引ける!!」
うおぉぉぉぉぉという掛け声と共にミウはガチャのボタンをタップする。
「……これは何かな?美羽?」
「………お茶です…。」
選ばれたのは、綾〇でした。
当のミウは部屋の隅に蹲る。
「ダメダメじゃのミウ!!お主の代わりに私が神の力というものを見せてやるのじゃ!!!!」
画面が金色に光り出す!!
「おお!!流石は神様ぱ…わ……ぁ?」
「………。」
≪……。≫
「……………なんじぇ」
「ハイ、次。 ノエル」
出てきたのは“黄金のたわし”だった。 売ったら高そう。
「えっと…引きますね?」
部屋の隅に蹲る二人をちらちらと見ながらノエルはガチャを引く。
「あっ、特に演出もないのでふつ…う…? あれ?」
「エクス…カリバー…だとっ!?」
やはり物欲センサーはあったらしい。
隅の二人がどんどん小さくなっている。
「ほら、隅の二人も戻ってこい。 ガチャなんて普通こんなもんだよ。 次引くぞ、次。」
≪ミウさんはともかく神様はその程度ですか~?≫
煽りよる。
「は~~~!? 私はともかくってなんだ!?ともかくって!!」
「は?誰がその程度じゃと??今に見せてやるのじゃ!!」
単純だなこの2人。
「「ガチャには勝てなかったよ(のじゃ)…」」
これぞ即落ち2コマ。
「どうすんだよこのゴミ…」
ゲートの前にはゴミが積み重なっている。
≪これもDPに還元できるので、問題はありませ…は?≫
「どうかしたんですか?」
≪…最初の黄金のたわしの還元で総DPが10倍以上増えました…????≫
…と、いうことは…
「ふっふっふっふっふっ…我!!逆転大・勝・利!!なのじゃぁぁぁぁ!!」
まさか金の演出は大当たりだったということかっっ!?
だがしかしそうだとするとっ!!!
「シクシクシクシク…どうせ私だけクソ雑魚ですよ~、綾〇だけの女ですよ~だ。」
「す、すまんかったのじゃミウ!! ほれ!我の他のやつもゴミじゃからの?の!?」
「ぷいっ」
「ミウ~~~!!!!」
ミウだけはガチャ運がないということになるな。
ちなみにだが、部屋に仕掛ける罠もノエルがしっかり引いたとだけ言っておく。
~お部屋魔改造タイム~
「「「≪完~成!!≫」」」
無事にテレポートゲートを置くお部屋は完成したようだ? あれ? 主人公は…?
「まだ悶えてるの?兄さん」
「お、おま、お前の…せいだっ…ろうがっ…」
何故か主人公は股間を押さえて悶えている。
何があったかは5分前に遡る。
「んん? なんだろうこの罠」
ミウは罠を設置しながらも、一つよくわからない罠を見つけたようだ。
「どうかしたのか美羽?」
「あっ、兄さん。 いやね、なんかよくわからない罠を見つけたんだよね。 ゴールデンって名前なのに、効果は小さい鉄球を低速で射出するだけってやつ」
“殺傷能力“は低そうである。
「ゴールデン?…まさかな。 まあ当たり所によっては危ないんじゃないか?」
「う~ん、設置してみればわかるかな?」
ミウはボタンをポチッと押すと、主人公の下の床が変化した。
「え゛?」
主人公は逃げようとしたが、その前に股を広げるかの如く左右の足が置いてある方向に床がずれ、鉄球は射出された。
「あっこれやば」
ゆっくりと流れるかのように感じる時間の中で主人公は絶望した。
そして今に至る。
「ふぐっ、ふぐぅ…こひゅーーこひゅーー」
「痛そうにしてるがお主ダメージくらわんじゃろ。 それ幻肢痛みたいなもんじゃろ。」
そういえば主人公は物理的に硬かったな。
「………………。 さ、最初から痛くなんてねぇし? 痛がってるふりだし? スーパー余裕だったし?」
これは恥ずかしい。
主人公も部屋の隅に蹲ったところで帰宅することにしたらしい。
一行は主人公のお部屋を経由して屋敷へと帰宅した。
そして屋敷のゲートを開いて中に進むと…
「痛った…くはないけどなにこれ?壁!?」
主人公は閉じていたクローゼットに顔面をぶつけることになった。
踏んだり蹴ったりである。




