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俺?ダンジョン!?  作者: 東歌
冒険者編
27/132

アランの屋敷



 アランとモノエル、それに主人公一行が転移した先はギルドのギルマスの部屋だった。



 「そういえばギルマス、ギルドで家って紹介できますか?」



 もともと家を買うために外に出たため、どうせならこのタイミングで主人公は尋ねてみたらしい。



 「……ああ!出入口のためかな? 確かにアランの宿屋に作るわけにもいかないからね。」



 「それならツクル、俺の屋敷やろうか? 家具も何もないが、一応掃除だけして放置してるやつなんだが…。」



 アランは宿屋に住んでいるようなものだし、屋敷を持ってはいるが使っていない。 そのまま放置しているぐらいなら主人公に有効活用してもらいたいということらしい。



 「貰えるならありがたくいただきます」


 「ありがとうございますアランさん」


 「助かるよ!おじさん!!「お、おじさ!?」」


 「サンキューなのじゃ」



 「じゃ、じゃあ今から行くか」



 ギルマスに挨拶だけしてアランと主人公一行はアランの屋敷へと出発した。







 アランの屋敷は神都にないらしく、一行はテレポートゲートまで来た。



 「兄さん、なにこれ?」



 「これか?テレポートゲートだな」



 「Oh...ファンタジーだぁ」



 どこかで見たやりとりを後ろに転移が始まった。







 光が収まったころに一行は別の場所にいた。 周りは村レベルの建物が建っていて、そのまた周りには盗賊対策だろうか、小さめの壁が建てられている。



 「あれ…?ここって」



 「ツクルは一回来たことがあるよな。」



 そこはいつぞやの食材のダンジョンに行く際にアランが間違えて転移した村だった。



 「もしかしてアランさんの屋敷ってあれですか?」



 ノエルが指さした先には村の中で一つだけ目立っている中世風の屋敷があった。



 「でかっ!?」



 「ほ~中々大きいのぉ」



 「早く来ないと置いてくぞ~」



 一行は屋敷の前まで歩いて行った。






 「アラン様、珍しいですね」



 屋敷の前に着いた瞬間、門の前に小さなメイドが現れた。



 「…取り繕わなくていいぞ。「黙りやがれでございます。」…」


 「こいつはこの家を任せているシルキーのシェイル」



 「シェイルでございます。よろしくしやがれでございます」



 「「かわいい~!!」」



 ミウとノエルがかわいくカーテシーをしたシェイルに突撃する。



 「ちょ、はな、離しやがれでございます!! アラン!!助けやがれですぅぅぅぅ!!」






 「だ、誰かは知りませんが、助かりやがったでございます。」



 主人公の後ろに隠れたシェイルはミウとノエルを見てビクビクしている。



 「あっどうも、ツクルと言います。 アランさんにこの屋敷をもらう?らしいんですが…?」



 主人公の言葉にシェイルの目からは涙が零れ落ちる。



 「よ、ようやくこの屋敷も使われるようになりやがるんですね!! 家具も買わずに掃除だけさせやがるクズ野郎に比べれば幼児趣味の変態の方がまだマシでやがりますっ!!」



 シルキーとして家を使われないのは相当屈辱だったらしい。 もう主人公も出入口のためだけの家だなんて言えない雰囲気である。



 「早く入るでやがりますよっ!!!」



 ウッキウキの様子で主人公を押しながらシェイルは家に入っていった。








 「ほんとに何も無いんですね~」



 「すっからかんじゃの」



 「言われてるでやがりますよクソアラン」



 「ははは、すまんすまん!! ま、この感じならうまくやっていけそうだな? 俺は宿屋に戻っとくぞ。 いつまでもアリスに任せてられないし……ここからは俺は見ない方がいいだろ?」



 「そうじゃな。 助かったのじゃアラン。」



 そうしてアランは主人公たちを残して宿屋に戻っていった。








 「まずは家具を買いやがりますか!?」



 アランが出ていった後にシェイルは主人公に聞く。



 「その前に言いかの? お主は誰かのダンジョンモンスターだったりするかの?」



 「…? 私は野良でやがりますが…?」



 何を聞きたいのかわからない様子でシェイルは首をかしげている。



 「それなら強制的にやっても良さそうじゃな。 ラフィス!」



 ≪失礼しますねシェイルさん≫



 「だ、誰でやがりますか!?」



 「≪侵食≫」



 主人公の手を床に置かせて言ったその言葉で、屋敷は黒く侵食されていく。



 「ちょっ、えっ?待ちやがってくださ…ん゛お゛っ、同期解除をさせ…んっ///っく///あっ///あぁぁぁぁぁっっ!!」



 「兄さんは見ちゃダメ。」



 直ぐにミウは主人公の目を隠した。 なお、聞こえてくる声だけで主人公は真っ赤になっている模様。



 「ふぅっ///ふっ/// せめて先に言いやがれ…です…///」



 屋敷を侵食し終わったと同時にシェイルはパタリと倒れた。









 「はっっっっ!? ここは……ベッド?…家具…が…ありやがります!?」



 ベッドで眼を覚ましたシェイルは屋敷と同期しなおしてすぐに先ほどとは見違えるような様子に驚く。



 ≪すみませんが、寝ている間に簡易的に作らせていただきました。 それにシェイルさんもついでにマスターのダンジョンに同期させましたが、気にしないでください。≫



 「いや、そもそも誰でやがりますか!!?? それに勝手に同期させられても気になりやがりますが!?」



 ≪それもそうですね。 私はラフィスと申します。 マスターのオペレーターをやらせていただいております≫



 「これはどうもご丁寧に……じゃないでやがりますよ!?」



 ≪忙しない方ですね、それなら情報の同期をしますか。 我慢してくださいね≫



 「え?……あだだだだだ!!頭!あたみゃが!!割れるでやがり…あだだだだだ!!」



 快楽で悶えたと思えば痛みで悶えたりして大変そうだな。









 「ひどい目にあいやがったです……」



 ようやく収まったのかシェイルは涙目で頭を抑える。



 ≪理解しましたか?≫



 「…結局守るものが一つ増えただけでやがりますね…それだけで恥ずかしい目にあわされたこっちのことも考えて欲しいでやがります///」



 屋敷を使われるようになった代償がそれとは中々に不憫だな。



 ≪それじゃあ転移させますよ。 マスター達は食堂にいるので。≫



 「待ちやがれです!! パンツぐらい変えさせやがれです!!」



 ≪しょうがないですね≫



 「誰のせいでやがりますか!!」



 屋敷をダンジョンに変えたからか、転移させることもできるようだ。


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