天神のダンジョン④
「ただいま戻りました~」
「戻りました~」
6層を攻略し終えた主人公とノエルは5層に戻ってきた。 6層の攻略と同時にルオネは黙ったため、マックス達の前で出るつもりはないらしい。
「おう、おかえり」
「おかえり~~~」
「お…か…えり……」
「「マックスさーーーん!?」」
テントではいつも通りのラインと、何故か肌がテカテカしているセラとカサカサして死にかけているマックスが二人を出迎える。
「アランさんは最後に一周行ってるが、先に飯食い始めるか?」
「戻るのっていつですか?」
「多分あと10分ぐらいね」
「それなら待っときますか」
10分後、
「よっしゃぁぁぁぁ!!!終わったぁぁぁぁ!!」
と大声が響き渡る。
「マックスゥゥゥゥ!!拾うのてつだぇぇぇぇっ!!??し、死んでる……」
テントに高速で入ってきたアランがカサカサのマックスに驚いている。
「あ、手伝いますよ」
「…お、ツクルおかえりぃ!!助かるわ!!」
セラを見た後に察したのか、マックスのことはスルーしてアランはウキウキした様子で主人公とドロップアイテムを回収しに行った。
「はいアランさん、回鍋肉です。」
「サンキュー」
「おぉ!うまそ~~!!」
ようやくマックスも回復したようだ。
~昼食タイム~
回鍋肉うまうま
「いや~すまんな~時間かかっちまって」
依頼が多すぎて時間がかかったことを謝るアランだったが…
「逆に良かったわよ。ノエルの件も解決したしねぇ?」
「そうだな」
「ほんと助かったぜ!ツクル!!俺じゃあどうしようもなかったからな!!」
「…でも良かったんですか?ヒーラー枠のノエルをパーティーから外すなんて…」
それが一番の疑問である。パーティー構成的に前衛2に後衛2だからバランスも悪くは無かったはずだが…
「はっっっ!!ツクルはA-ランクをなめ過ぎだぜ!?」
「そうよ?特化はしてないとは言え私も回復魔法を使えるしね。」
「そうだな、戦闘は何も問題ないだろう。 だがノエル、偶には顔を見せにこい。短期間とはいえ俺たちの正式なパーティーメンバーだったんだからな。」
「み、皆さん…これまで…ありがとうございしました!!……グスンッ」
うんうん、ノエルも認められて完璧なハッピーエンドだな!!
「いやいやいやいや、まだダンジョンは終わってないからな!?」
アランが感動的な雰囲気を現実に戻す。
「も~、わかってますよアランさん!!」
「やっぱりアランはアランね」
「そうだな」
「「そうですね~」」
「……俺か!?俺が悪いのか!?」
アランが悪い。
空気の読めないアランに呆れながらも一行はダンジョン攻略を再開した。 主人公とノエルが攻略した6層から今から攻略する7層まではオークが出現する階層だったようで、ドロップアイテムは一応集めつつも、7層のボス戦まで直行していった。
「そういえば6層はボスまで攻略したのね。 ツクル君のことだからノエルに気を使ってボスまで行かないと思っていたけど。」
「確かに!!なんでだ!?」
このカップル中々痛いところをついてくる。
「優しいノエルのことだ、戦闘を任せっきりじゃいけないと思ってもう一人の自分にでも手伝ってもらったんじゃないか?」
「ふぇっ!? ま、ま、まさか…そんなわけ…ねぇ、ツクルさん?」
「うぇっ、俺に振る!? そ、そんなの近づかれる前に俺が全部倒す自信があったからに決まってるじゃないですか!!」
こいつらは初心か。
「「当たっていたみたいだな」」
「「分かりやすいな!!(分かりやすいわね)」」
もうちょっと隠すということを覚えて欲しいものだ。
ちなみに7層のボスは4・6層と代わり映えしないためか、アランが速攻で片づけた。
そして8層。アランが言うにはここから14階層までが鬼門となってくるらしい。
「この階層から14層まではスライムが出てくる。」
アランがものすごい神妙な顔つきで言うが、スライムである。 そう、現代日本では雑魚キャラランキングの首位争いを毎回繰り広げているあのスライムである。
「……スライムが…ですか?」
いまいち強さが分からない主人公はそう聞き返すが、
「分かってないだろうから説明してやろう、俺は物理特化だ。」
「…でしょうね。」
「普通のスライムならまだ問題はないが、天神のダンジョンのボススライムは物理においては完全耐性を持っている。1ダメージすらも入らん。」
この世界の強いスライムは物理に対しては無敵らしい。しかも…
「ついでのように魔法に対してもある程度耐性を持ってるのよね」
「つまり俺たちのパーティーはセラしかまともにダメージを与えられん!!!」
そういいながらも属性付与を行えば多少のダメージは与えられるため、ボス戦もなんとかなる…
はずだった




