真実と救い
長い時間お風呂にいたからかセラも大丈夫か確認しに来たようで、キャッチされたまま主人公に抱きついて離さないノエルを見て、
「はぁ…解決したようでよかったわ。 マックスには私から伝えておくからこのダンジョンから帰ったらノエルはあんたのパーティーメンバーにしなさい。 それとはいこれ、ノエルの部屋の鍵。 どうせなら明日の朝まで一緒に寝てきな。」
捲し立てられた主人公は言い返すことなく、ありがとうございます。と一言だけ伝えて着替えをして、させてからノエルの部屋へと入っていった。 夜は何もなかったとだけ伝えておこう。
朝、主人公が目を覚ました時にはノエルは起きていなかったが、悪夢でも見ているのかずっと怯えた顔でごめんなさい…ごめんなさい…と繰り返していた。
「……大丈夫です…大丈夫。 もう一人じゃありませんよ…」
主人公がノエルを抱きしめながらそう言うと、静かに寝息を立てていった。
「……ふわぁ ツクル君だぁ…ギュー」
寝ぼけているノエルとてもかわいい。
「おはようございますノエルさん そろそろ起きますか?」
「そうですねぇ…にへへ…へ? ツ…ツクル…君!?」
眼が覚めたのかぽわぽわしている様子から一転、怯えたように震えだす。
「大丈夫ですよ~、大丈夫。 俺はいなくなりませんからね~」
もう一度抱きしめながら背中をポンポンと叩く。
「あ…あの…もう一人の私は…?」
落ち着いてからノエルはそう質問する
「……辛い話になりますが聞いてください」
主人公は抱きしめる力を強くしながらもう一人のノエルから聞いた話を繰り返す。
「……………ノエルさんの両神はノエルさんのことを愛していたと…最後にもう一人のノエルさんは信頼できる人を見つけられてよかったなとも言っていました。」
「そう…だったん…ですね…私のせい…だったんですね……あはは…ツクル君もごめんなさい…こんな私に……」
「…泣いてもいいんです。 あなたは悪くない…好きなだけ…泣いてください」
主人公は自分の胸にノエルの顔を押し付けると、ずっとノエルの背中をポンポンと叩いていた。
「…ふぐっ…ごめっ…ごめんなさいっ…うぅっ…うぐぅぅぅぅ……」
「…もう大丈夫です。 ありがとうございますツクル君…」
泣きはらした赤い眼をしながらもノエルは満面の笑みを見せる。
「…俺があなたを幸せにしますから…」
「?もう一回言ってもらっていいですか?」
主人公がボソッと呟いた言葉が聞こえなかったのか、聞き返す。
「俺があなたを幸せにしますから。 これからの人生を俺といてくれませんか?」
「………私なんかでいいんですか?」
「私なんか…なんて言わないでください。 ノエルさんだからいいんです」
「…私も…幸せになっても…いいんでしょうか…?……もう辛い思いを…しなくても…いいんでしょうかっ…」
「いいんです…もう幸せになりましょう…一緒に幸せになりましょう…?」
「よろしくっ…おねがい…しますっ…グスッ」
抱きしめあった二人は顔を見合わせ…ゆっくりとキスを……
≪ちょっと待ってもらっていいですか?≫
…ラフィス…タイミングよ…
「な、なんですか?この声は?」
「え?聞こえるんですか!?」
≪聞こえるようにしているだけです。 それにしてもマスター、人の事情だけ聞いて自分のことを話さないのはどうかと思いますが?≫
「ツクル君の事情…?」
「…それもそうだな。」
そういいツクルも自分の境遇を話し出した。自分が異世界の住人だったということや、神様にダンジョンマスターとして転生させてもらったこと。 今はなぜかダンジョンになってしまっていることまで全て。
「今、俺がダンジョンだってのはアランさんにも言っていないことなんです。 その上で聞きます。 嘘つきな俺なんかでいいんですか?もっといい人が…」
「ふふっ、そんなの黙っていてもいいのに…そんな正直で優しいツクルさんだからいいんです。 俺なんか…なんて言わないでください。」
主人公がノエルへ言った言葉をそのまま返される。
「そう…ですか。 これからよろしくお願いします。」
「こちらこそよろしくお願いします。」
二人は幸せなキスをしてチャンチャン。…とでも思っていたのか!?
「そういえばラフィスさんもツクルさんと結婚するんですか?私は大歓迎ですよ!!」
ハーレム許可宣言…だと…? 異世界人はバケモノか!?
「え゛? いいい、いや、ラ、ラフィスは相棒みたいなも、ものだし…そ、それにオペレーターとして俺の中にいるんだから!結婚なんてできないよな!?」
≪出来ますよ?≫
「………何をだ」
≪実体化も結婚も。 それに私を除いてもあと2人は増えますよね?≫
「ふふっ、賑やかになりそうで良かったです」
「え?実体化?え?結婚??ええ?二人って???えぇ???」
混乱している主人公をよそにラフィスとノエルは楽しそうに話していた。