過去と孤独と拒絶
伏線もろもろ見直してて気づいたんですが、この話は鬱展開に入るのでは? ま、まあ鬱展開じゃなくてシリアスってことで。
「なっ……えっ? はっ?……はは~ん、ずばりノエルさんは実はおと」
「男ってことはないわよ? というかあんな胸が大きい男がいるわけないでしょう。 それか何?私に対しての煽り???」
「………何を企んでるんですか?」
主人公は喉をゴクリと鳴らしながらも、流石に話が良すぎると怪しんでいた。
「なによ、満更でもなさそうなんだからそのまま行けば良かったのに まあ……あの子にも色々あるのよ……このまま生きていけば彼氏の一人も作れないだろうから、どうしようかって考えてた時に条件に合いそうなあんたが現れたんだから運命か何かなんて考えてもおかしくないでしょう?」
「……よくわかりませんが、ラインさんとかはどうなんですか?」
そういえばマックスとセラがくっついてるとして、ラインは余ってるのではないかと思うが?(失礼)
「あいつは彼女どころか子供がいるわよ。」
「…!?マジで!?」
あの堅物そうなラインが!?(とても失礼。)
「セラ~!!石鹸が無いです~~~!!」
「ほら、騙されたと思って行ってみなさい」
セラから石鹸を投げ渡された主人公は、とりあえずノエルに石鹸だけでも渡すかとテント内の浴場へと歩いて行った。
「あのぉ~!!セラぁ!!」
「すみませんノエルさん、セラさんから石鹸を預かってます」
「ひゃわっ!? ツクル君!? なんでここへ!?」
「あのですね…さっきオーク肉に飲み込まれてぐっちょぐちょになりまして…お湯を浴びようかと思ってテントに戻ってきたところ、セラさんに石鹼を渡されノエルさんと一緒に入ってこいなんて言われましてですね……あはは、ほんとなんかすみません」
一応本当のことを言っている主人公だが、言い訳にしか聞こえない。
「………あの…条件があります……」
「はい?なんですか?」
ノエルが小声でつぶやいたその言葉は聞こえていなかったらしく、主人公は聞き返した。
「い、一緒に入ってもいいです!! その代わり、何が起こっても私を怖がらないでください!!!グスッ」
トラウマでもあるのか涙声で震えながら言われたその言葉にセラが言ってたことは嘘ではないのかなどと思いながらも…
「あの…流石に会ったばかりなので……」
「入って…来て……下さい…ふぐっ、グスッ」
「入ります!!入りますから!!!バスタブから出ないでくださいね!!!」
……す゛る゛い゛(血涙)
ノエルの方を見ないように全身を洗った主人公は陰部を隠しながらバスタブへと入る。
「あ、あの…ノエルさん…/// タオルで隠したりとかって///」
主人公の前に入っていたのだから、タオルなど身に着けているはずがない。 一応手で隠されてはいるものの、胸部を除けば程よく肉付きがあり、胸部はとても大きく男性からしてみれば至高を体現したような体のためか、いろいろ見えかかっている。
「見てもいいですから「え゛?」……少し昔話をさせてください…」
そういってノエルは自分のことを話し始めた。
まとめると、ノエルの親は神であり、ノエルは文字通りの神子として育てられた。 結果的に極端に優しい性格に育ってしまったノエルは人のことを疑うということをしなかった。 多少はダンジョンが悪意を吸収しているとはいえ現代日本よりは確実に危険なこの世界でそれは致命的で、ある日一人の男に犯されかけられた。
それを重く見た両神は、身に危険が及ぶ。もしくは一定時間以上男性と1対1で共にいる場合に現れる別人格を作り出した。 そしていつしか両神は地上に顕現できなくなり、残ったのはその別人格だけ。
その別人格は神が作った人格だからか、基本的に戦闘をしたがらないノエルとは違い、好戦的で戦闘能力も人格の変更と共に上昇するようになっているらしく、混界の人間が勝てるものではなかった。
男とは友人にもなれず、女とは友人になったとしても危険だといい離れていく……
………ノエルはひとりぼっちへとなっていった………
「今はマックスさんのパーティーに拾ってもらって…私は独りぼっちじゃなくなりました…グスッ」
「グスッ、グスッ…でも私はっ…私だけはっ!!…マックスさんたちの…正式なパーティーメンバーでは無いんです!……いえ…パーティーメンバーであってはいけないんですっ!!…グスッ」
ノエルの心からの慟哭を聞いて主人公はノエルのことを抱きしめる。 こんなんでも主人公なんだからよ…一言気の利いた言葉ぐらいかけてやれよっ!?
「…独りになる気持ちは分かります…それこそ世界から拒絶されるような気持ちも」
「グスッ…えっ?…」
「俺がまだ子供のころ、父親が失踪したんです。 母親は俺を生んだ時に亡くなったらしいので、俺は独りぼっちになりました。 その後は残った資産をめぐって親戚をたらい回しにされて…俺は人という存在を信じられなくなりました。 それでも俺は途中で義理ですが妹と呼び、信じられる人に出会いましたけどね。 だからと言っては何ですが……似ている境遇の俺なら信じることは出来ませんか? 一度だけ…一度だけでいいので救わせてもらえませんか…?」
「グスッ…おねっ…おねがいっ…しますっ!!…助けてっ…くださいっ!!…うぅ…うわぁぁぁぁぁん…………」
主人公の胸の中で泣きつかれて寝かかっているノエルを見ながら、のぼせる前に風呂から上がらないとと考えていると…
「あ゛? ここは…!?テメェ!!??」
人格が切り替わったのかノエルが飛びのき、主人公も少し身構えるが…
「あぁ?…ようやくかよ…」
「どういうことですか…///」
もう一人のノエルが警戒をやめ腕を下ろすと、抑えていた胸部がドプンッと零れ落ち、思わず主人公の顔も赤くなる。
「お?なになに?恥ずかしがってんの?www」
「まあ今は置いとくか、説明の続きだ。 あいつはどうせ親にやられて独りぼっちになったとか思ってんだろうが、実際は違う。 俺という人格を作り出したのはあいつ自身だよ。 むしろ両神は抑えようとしてくれていた。 残念ながら神子としての力が強すぎてできなかったようだがな。 だからノエルが起きたら伝えといてくれ、両神はお前を愛していたと。 それと、信頼できるやつを見つけてよかったな…とな。」
そこまで言うとノエルの体はガクンと倒れ…ギリギリで主人公がキャッチした。
あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
「マックスが助けるはずだったノエルがいつのまにか主人公に助けられていた」
な… 何を言っているのか わからねーと思うが
おれも 何をされたのか わからなかった…
頭がどうにかなりそうだった… 催眠術だとか実は小人が書いただとか
そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
もっと恐ろしいものの片鱗を 味わったぜ…
敢えて文字にするならば…そうだ…"キャラが勝手に動いていた"