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俺?ダンジョン!?  作者: 東歌
冒険者編
10/132

主人公vsアラン



「おいおいおいおい!!殴って逆にダメージをくらうなんざ何百年ぶりだぁ!!??」

 手を開閉させながらアランは吹き飛ばした主人公の方を向きながら満面の笑みでそう吼える。


 主人公の方も顔面を殴られ吹き飛ばされたが、もちろんダメージは無く、これまでの優しかったアランの様子とは一変した様子に戦々恐々としている。 ただし、ダメージは無かったとはいえ、激しく縦回転したからか軽くめまいのような状態に陥っている。

 「な、何が起き…頭が…≪警戒してください≫ は?」



 「【権能:闘神】」

 そう言葉を発したアランの姿に変化が生じる。これまで纏っていた漆黒の鎧はアランに取り込まれ、代わりに鎧と同じ形をした青白いオーラを身に纏っている。地面にあったはずの武器や大盾も消え去り、両手には白を基調として金の装飾が施された装備が現れる。


「安心しろよ、本気は出さねぇ。 ただ…遊ぶだけだ!!」


 その勢いに気圧された主人公は後ずさろうとする…が、下がろうとした足は動かず、そのまま同じ位置で立ち尽くすこととなった。

 ≪防御をっ!早く!≫「はっ!!?  ぐぁっっ」

 オペレーターの焦った声と共に交差させた腕にアランのハンマーが衝突する。 その衝撃で吹き飛んだ主人公は何もないはずの所で背を打ち付ける。 何故かダメージをくらわないはずの腕がビリビリと痺れ、脳は初めての“死の恐怖”に侵される。


 「ははははは!!!ヤバいなお前の防御力!?権能の分しかダメージ入らないなんてことあるか!!? あぁ、気になってるだろうから一応説明すると、この見えない空間(10m四方ぐらい?)から出ることは出来ねぇし、この中なら逃げるという選択も取れねぇ。 ……そういやツクルは武器も無かったな。それは不公平か、ほれっ、これやるよ。」


 どこからともなく投げ渡された漆黒の籠手は、先ほどアランが装備していた籠手とは違い、掌の部分から全体にかけて赤い雷のような模様が刻まれている。


 「そいつは不壊の効果が付いた籠手だから基本的に壊れん。魔力を流せば他の効果も出るんだが、それは後でいいだろ。」


 「あ、りがとうっ、ございます!」


死の恐怖に怯えながらもお礼はするなんてなんていい子!?もうチューしちゃうよチュー え?戦闘に戻れって? わかったよもう、仕方ないにゃぁ。  

 あぁ、そうだ、その前に気になってるだろうから説明しようか、アランの言った権能分のダメージってのは神同士の戦闘時の最低保証の事を指すよ。 例えば最速の神と最硬の神が戦うとすると、最速の神は速さだけに特化していて攻撃力が低いから、最硬の神に攻撃を与えたとしても1ダメージも入らない。 最硬の神は速さがないから最速の神に攻撃を当てられない。 そうすると決着が付かなくなるから権能同士の強さの比較で攻撃を与えた時に最低限入れられるダメージってのを計算するんだ。 今回の場合だと、主人公の体を作った邪神と闘神アランの比較だね。 ちなみに入ったダメージは…あぁ?ネタバレになるって?ごめんね~言えなくて





 仕切り直し。 脱力しながら立っているアランに対し、もらった籠手を装備してボクシングのような構えをとる主人公。 今回は流石にオペレーターも手伝わないと危険だと感じたのか、”奥の手”を使うらしい。


 ≪マスターの反応速度だと足りないので、手伝います≫ 

(どうするんだ?  こうします。マスターの思考に私を重ね、マスターの脳からの信号が発せられる前に私が直に体に信号を送って疑似的に体を動かします。ただし、あくまで補助なので、マスター自身が考えなければ動きません。 副次効果として、”私の反応速度”が脳に使われるので時間の流れが遅く見えますが、後で覚悟してください。  え?どういう  来ますよ!)


 「少しは抵抗してみろよ?サンドバッグじゃつまんねぇからなっ!!」


 主人公が何も出来ずに殴られた時と同じスピードだったが、今の反応速度が上がっている主人公から見れば止まっているとはいかないにしろ、ゆっくりに見えるレベルのスピードだった。 その様子に何とかなると感じた主人公は、アランの右手から振り下ろされるハンマーを右手の裏拳で受け流し、左手で空いた胴を殴りつけようと…

 「ごぅっ」

 アランはそのままハンマーを振り下ろすのではなく、腕力のみで右側に振り切る形に切り替え、防御した主人公を吹き飛ばす。

 

(なに考えてるんですか!?反応速度が上がったからって攻撃の重さは変わりませんよ!?  …そりゃそうか それなら…こういうのって…  やるだけやってみますけど、出来なくても文句言わないでくださいね!)


 吹き飛ばされてすぐに起き上がった主人公はもう一度同じ構えを取る。

「それじゃあ、頑張ってみますか(頑張りましょうか)」



 力でゴリ押したものの、反応はされていたことに驚いたアランは、吹き飛ばされた主人公が先ほどとはまた違う様子に笑みを浮かべてる。


 「次はどう対応する!?」


 まったく同じように突撃したアランはハンマーを振り下ろす。 振り下ろしながらも主人公は防御する様子がなく、諦めたのかと残念に思っていた。



 原理は途中まで消力シャオリーと同じ。体の力を完全に抜くことで、威力を吸収する。 しかし、主人公は幸か不幸かダメージをくらわない。それなら、“敢えて途中で力を入れる”ことで生じる力を、体を回転させることで攻撃に転じることができるかもしれない。

 考えるだけなら簡単だが、主人公は武道の経験が毛ほども無い。 しかし、今回に限ってはオペレーターが意識を重ねていて、考えれば後の精密動作は任せられる。結果…



全身の力を抜いていた主人公だが、ハンマーが右半身に当たったと同時に力を込め、衝撃と同じ向きに体を回転させる。 体の回転と共に多少の威力は減衰するだろうが、すべての衝撃が受け流されるわけでは無い。 そしてアランに向かって空中で2転3転した主人公は勢いそのままに右の裏拳でアランの頬を殴る。


 ガギィィン   ビシッ


 アランの纏ったオーラは主人公の攻撃を受け止めるが、その衝撃は抑えきれずに体が浮く。と同時にアランの顔に纏われたオーラに罅が入る。 そしてまさか一撃もらうと思っていなかったアランの顔には驚愕の表情が浮かんでいる。 その反応が嬉しかったのか主人公は、



 「よっしゃあ一発入れましたよアランさ…あれ?(タイムアップです)……」



 ガッツポーズをしたかったのか、腕を上げようとする…が腕が上がらない。 しかも目の前が赤く染まっていく。 言葉を発することさえもできなくなった主人公は糸が切れたかのように地面に沈んでいった。




 ここまで書いといてあれなんだが、この見えない空間、逃げられないだけで避けられはするぞ?


戦闘シーンが終わったのでまた改行多め、細かい描写少な目に戻ります。

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