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謎を紐解いて  作者: キョンシー
第2章 3人の助手と絞殺死体、消えた犯人
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3人の助手と絞殺死体、消えた犯人 前編

前置きその他諸々が長いです。でも頑張ったんで読んでね!(悲願)

 再出勤するとき、姉さんがおどおどしていたので、声をかけた。

「どうしたんですか?あ、寂しいとか?」

「それもあるんだけど…私、昨日病院に行ったの。そしたらさ、あんまりよろしくない状況だって。」

…言葉を失った。……昨日の違和感はこれだったのか…。

「おとなしくしていれば治っていく傾向にあるって!…だから、ここ1週間は家で、おとなしくするよ。」

「なら良かった…!無茶しないでね!」

 病気かなにかは分からないが、よろしくない状況だからどうなるかと思ったが、姉さんはちゃんと

おとなしくするみたいだ。もう僕に迷惑かけないって決めたのかな…?とりあえず、警察署に向かう。


 10分後、警察署に着いた。やっぱり、0時ということもあって、人が少なく、居ても仮眠をとっている

人がほとんどだった。そして僕の上司である南斉なんざいさんと会話を交わした。

「さて、今日も夜の警邏けいらするかねぇ。」

本来なら、警邏は警邏課という課がするのだが、夜ということもあって、捜査一課の僕らもすることに

なっている。まぁ、夜に殺人とかの事件も起きてしまう可能性もあるし…。というこで、警邏開始。

 警察署からでたPC(パトカー)は南の街のほうへ進んでいく。

「にしても南斉さん…まだちょっと肌寒いですよね。」

「あぁ。もうちょっと暖かくなってもいいよねぇ…あ、そうだ、メールでも伝えたように、今日の

朝から中月さんの助手が来るって言ったけど、全員中月さんより年上なんだよね…。」

「え、それは上司に値するのでは…。」

「いやいや、刑事としての仕事はまだだそうだから、中月さんそういう意味で先輩だよ。あ、あと…

3人いるって言ったけど、そのうち2人はまだいいのよ。でもあともう1人がね…、()()()()とか。」

え?

「元暗殺者って…どういうことですか…。」

「なんかね、もともと暗殺とかしていたらしいけど、自分の意志じゃないらしいのよね。半強制的に

殺してたとか。よくあるじゃん?でも、さすがに嫌だから止めて、今までの技術を警察で活かそう

って。まぁ、女性とは思えないよねー。」

大波乱な気がする。

 と、そこに1本の無線が入った。

『警察署本部から各PC及びPM(警察官)に告ぐ!藍丸町3-4にあるかごめ屋の付近で死体発見との通報!至急

付近にいるPC及びPMは急行せよ!』

「警邏291了解、現場に急行します。」

パトカーは、夜の街に赤色灯の光と、サイレンを轟かせながら現場に向かって行った。

 約5分後に、僕らが乗っているパトカーは着き、しばらくした後に、ほかのパトカーも来た。

既に現場規制は始まっているようだ。

「よっしゃ、被害者の身元確認しろ!」

そう叫ぶのは、捜査一課の玄武義仁げんぶよしひと課長だ。もう来たのね?!

「玄武課長、ご到着が早いようで…。」

「んあ?あぁ、中月…さんか。近くにいたもんでな。」

「もう…、さんはつけなくていいですよ…。年下ですし、普通の刑事ですし…。」

「まぁまぁ、ええやないか。とりあえず、身元が分かったっぽいな。」

 被害者は華村美琴はなむらみことさん20歳。死因は首をロープで絞められたことによる絞殺。

そして身分証明書によると、今日が誕生日で成人したばっかりだそうだ。

「これは…なんか成人したから飲んでたんですかね…?」

「たぶんそうだろうね…、かごめ屋に寄っていたそうだから。」

かごめ屋はこの付近に住んでいる人にとっては行きつけの居酒屋だ。

 この殺害現場は路地裏で外から見えにくいから、殺されやすい場所と言ってもおかしくはない。

「第一発見者が犯人の可能性もあるよなぁ?」と南斉さんは言う。

「まぁ、こんなところですからね…。でも、家が近くで、ここの道を通ったら近いとか…。たとえ

近かろうと、僕は遠回りしてでも人が多いところから帰りますけど。」

「はっはっは、確かに。…にしても気の毒なもんだなぁ。人生これからって時に殺されて。」

「ん~…、どうやらこの看板に取り付けられていたロープで殺害されたっぽいです。…でもロープは

たぶんですが、無理やり引きちぎられたものじゃなくて、劣化して切れたものですね。」

ロープの切れ目のところがだいぶ古くて、触ると繊維が崩れ落ちていく。

「あれ、そういやこの死体…吉川線(被害者が抵抗したときに見られる首のひっかき傷)が見えない

ですね…?なんででしょう…?」

「ほんとだな、もしや絞殺じゃないとか…?」

「もしくは、眠らされて殺されたか、…自らの意志で死ぬことを決意したか…?」

「20歳だぞ?それはないだろ。」

「今はネットが普及している時代ですから、誹謗中傷とか、いじめとかの可能性もあります。」

にしても、被害者が抵抗していないことに驚きだ。こればかりは、死因解剖時に、睡眠薬の成分が

入っていたということを願うしかない。


 朝6時。真夜中に起きた事件を調べていく中で、僕はいったん仮眠をとったつもりが爆睡していた。

「おはよう中月さん。疲労がたまってた?」隣の席の南斉さんが言う。

「たぶん単にうっかり寝ただけです…。うわー…。」

うっかり寝たなんて姉さんに知られたら、姉さん泣くぞ。

 しばらく前回 福水ふくみず邸で起きた事件の資料をまとめつつ、真夜中に起きた事件の詳細を

読んでいたらはや8時。すると、()()()()()はやってきた。

「おはようございます…。えっと、中月さん居られますでしょうか?」男性が問う。

「はい,自分です。」そう言って、外で待っていた2人も連れて、空き部屋に向かった。

「じゃあ、自己紹介からしていきましょうか。」

「はい、この度捜査一課に配属になりました。青海影木あおみえいきです。」

男性である彼は、進んで発言していた。

「青海と同じく捜査一課に配属が決まりました。咲魂早姫さごんさきです。」

咲魂…初めて聞く苗字だな…。

「……月輪希々(つきわきき)です。」

口数が少ない…。この人が元暗殺者だったのかな…。

「僕は捜査一課の刑事の中月遙申です。よろしくお願いしますね!…あ、あと聞いているかどうかは

分かりませんが、僕は皆さんより年下なんで、気軽に接してもらって大丈夫ですよ。」

「いえいえ、俺らにとってはれっきとした先輩なんで。」

 3人をデスクに案内した後、咲魂さんから声をかけられた。

「中月()()…あ。先輩ですね…すみません。」

咲魂さんは平然とさん付けで呼んできた。…いやいいのだが、呼びなれている感じであった。

「いや、全然さん付けで大丈夫ですよ…?」

「ふふっ…、ほんとにこは…お姉さんに似ておられるのですね!」

え?姉さんを知っている…?……もしかして…?

「私ですね、…名前のほうが呼びなれてるので名前のほうで失礼しますね…。小遙さんと同級生

だったんですよ。小遙さんからいろいろ遙申さんのことを伺っていたんです。」

「同級生ですか。」

「ええ。まぁ、小遙さんと同じクラスになったのは、中学3年生のときの1年間だけだったんですが、

凄い人だったって今思い返してます。」

こう…自分のことじゃないのに自分も照れてしまってる。

「……私情失礼いたしました…。えっと、昨夜起きた事件について伺っても?」

謙虚な姿勢だから、こちらまで謙虚になってしまうな。いや、それが普通なんだけど。ってか僕の

ほうが謙虚な姿勢じゃないといけないんだけど。とりあえず、事件の資料を見せた。

 この機会に、3人を現場に連れていこうと思ったので、集めて駐車場に向かった。

「さて、普通にパトカーで行くのもあれだから、覆面パトカーで行きますね。」

「了解です。…死体の通報があったのっていつ頃なんですかね?」と青海さんが問う。

「死体発見は0時半頃で、死亡推定時刻は、死後硬直やかごめ屋にいた人たちからの証言と照らし

合わせると、23時45分から0時20分の間。今、鑑識課が定点カメラとかから、詳しく調べているので

まだ断定はできないですが、そのあたりですね。」

「なるほど…、死因はやっぱり絞殺で?」ここで月輪さんがやっと口にした。

「ですね。ただ、()()()()()()()()()があったとか。」

被害者から、睡眠薬の成分は検出されなかった。が、このロープの跡は手首を拘束して、被害者が

もがくことができないようにしたものであろう。

「こんな残虐な殺し方…、前の私でもしませんでしたよ…。」

その言葉に車内は一瞬凍る。

「残虐な殺し方…。元暗殺者の月輪さんからでもそう思ってしまうのですかっ?」

咲魂さんはフツーに聞いた。…どのみち僕も同じように聞こうと思ってたから、代弁して

くれたから、ちょっと気が楽になったけど…。

「はい、私がいたところでは、対象にも殺す瞬間を見せないのがモットーでして、基本的に不意を

ついて、一瞬で殺害する方法でしたから…。そのほうが痛みを感じさせずに殺せるんで…。ほら、

悲鳴とか上げる可能性もありますし…。」

…悲鳴…?そうだ、悲鳴だ。定点カメラの位置は、比較的死体があったところに近いはずだ。

だから、音を解析すれば、死亡時刻が分かるかもしれない…。

 現場に着いて僕がまずしたことは、鑑識課に連絡して、定点カメラの映像を調べているかの確認

だった。どうやら一足先に調べてくれているみたいだ。

【プルルルル……。】電話が鳴り響いた。…どうやら姉さんからのようだ…。何かあったのか…?

「はい、どうしました?」

『いつ帰ってくるか聞いてなかったからね、聞きたいと思って。』

そっか…姉さんは事件が起きたことは知らないんだ。

「えーっとですね、殺人事件が発生して、それの捜査を行っていまして…、いつ帰れるか…。」

『………。』

「あ、でもキリがいいところで戻りますからね?」

『………。』

「姉さん…?」

『なんでこんな目に遭わなきゃいけないんだろうね?つくづく私たちってツイてないこと多いよね。

…とりあえず、無理しないでね』ピッ そこで通話は切れた。

無理しないでって…姉さんにも同じことが言えるんだよなぁ…。

 捜査に戻った。昨日見たのは死体の位置ぐらいだけだったから気がつかなかったが、路地裏に

建物の屋上に向かう鉄梯子があった。とりあえず、手掛かりがないか上ってみることに。

 どうやら、この建物は4階建てのようだ。…屋上にまぁまぁ新しい土の靴跡を見つけた。横に偶然

あった木の枝で、少し触れてみたが、土がくっついてきた。結構重要な手がかりだと思った。

「なにかあったんすか?」どうやら、後ろに青海さんが着いてきていたようだ。

「あ、ここに梯子あったんで、何か手掛かりがあるかと…。」


 現場を後にし、警察署に戻ってきた。その最中に手に入れた情報は3つ。まず定点カメラの音声を

調べてもらったところ、0時10分ぐらいに悲鳴が僅かに聞こえてたので、そのあたりが死亡時刻だ。

 次に定点カメラの映像。同じく0時10分ごろに、路地裏に入っていく被害者と、その数秒後に

路地裏に入っていく体格がひときわ大きい男性らしき人が映っていた。たぶんこの人が犯人だと

思うんだが、実は定点カメラが路地裏を挟んで設置されており、片方にも、もう一方からも犯人と

思われる人物が出てこなかった。あの路地裏には、扉は無かったはずだから、建物内には入れない。

 最後に僕が上った屋上についてだ。どうやら、向かい合わせの家の住人によると、被害者の死亡

推定時刻あたりに屋上に、人影が見えたとのこと。そして、体格はひときわ大きい…。つまり、

犯人であろう。そうなると、あの建物には()()()()()降りれるところがあったということだ。

 …僕はいったん課長のところに向かった。

「玄武課長、昨日近くにいたとおっしゃっていましたが、どこから現場に?」

「かごめ屋を右手に行って左に曲がったところにある道で通報を受けて向かった。」

「なるほど、分かりました!ありがとうございます!」

 2つ調べることが増えた。…僕の推理通りなら、犯人は、建物の反対から降りていったはずだ。

あそこなら定点カメラがあった。…たぶんこれで犯人は見つけ出すことができる…はずだ。

次回、解決編。

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