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89.エリアノーラとサラ (3回目) 1

サ:「おはようございます。ノーストキタ公爵様。今回もよろしくお願いいたします。」


エ:「おはようございます。サラ教授。私の方こそ本日もよろしくお願いいたします。」


サ:「三週連続三回目ですから、だいぶ緊張しなくなりましたわ。といっても、緊張したのは、初回の最初だけでしたわ。初回は、途中から…ですし。二回目は、真っ赤になったノーストキタ公爵様が、かわいかったですわ。」


エ:「私的には、凄く真面目な話をしてきたつもりですわ。私の失態は、お忘れいただきますと嬉しいですわ。」


サ:「ふふっ。そうですわね。申し訳ありません。しかし、ノーストキタ公爵様は、以前の評価と全く違いますわね。以前は、引きこもりワガママ公爵として有名でしたわ。」


エ:「それは…。まぁ、母親に反発していたというか。劣等感というか。正直、逃げていましたわ。お恥ずかしい話ですわ。」


サ:「ノーストキタ公爵様が劣等感ですか?私には劣等感をお持ちになっていた理由が分かりませんわ。ノーストキタ公爵様は、元王女のミューラ様を母に持つノーストキタ公爵家の五星長女ですわ。正直、自信に溢れワガママに育ったと思っていましたわ。」


エ:「全然違いますわ。私は、物心ついた頃から母に厳しく育てられましたわ。母は、幼い私に次から次にたくさんのことをやらせました。魔力もそう。勉強もそう。魔力、特に魔法ですわね。母に出来ることは全て私も出来て当たり前なのですわ。私が出来ないと、母親はいつも『五星なのに、五星でしょ、五星なら』と、そう言って私を叱り私が出来るようになるまでやらせました。前回も言いましたが、魔力量は、直系の王族が一番多いのですわ。」


サ:「はい。それは、四星以下も同じですわ。」


エ:「私は、王族系の五星の中で、一番魔力量が少ないのですわ。ほとんど母と同じですが少ないことに変わりないですわ。子供の頃の私は、劣等感の塊みたいなものでしたわ。私がどんなに頑張っても、母にとっては、出来て当たり前。褒めてもくれず、逆に出来ないと叱られたのですわ。大きくなった私は、そんな母親に反発して逃げ出したのですわ。そして、エドガー陛下の婚約者候補もそうですわ。」


サ:「婚約者候補のことは、エドガー陛下とマリアンヌ様が時々話してましたわ。」


エ:「そうですか。私は、王族系の五星の魔力に関しまして劣等感を持ってました。エドガー陛下にもです。エドガー陛下の第二妃なんて絶対嫌でしたわ。そして、エドガー陛下も幼い頃からずっとマリアンヌ様でしたので、さっさと婚約して私のことは放っておいて欲しいと思ってましたわ。年の差もありますし、従兄妹同士ですので、親戚感覚があることも嫌でしたわ。私達は、お互いに相手が嫌で仕方なかったのですわ。で、お互いに逃げ出した結果が今ですわ。

母から逃げ出し、従兄から逃げ出し、自領に引きこもりのワガママ公爵ですわ。評判通りですのよ。私は。」


サ:「ノーストキタ公爵様は、王宮に戻られましたわ。ワガママでは、ありませんわ。」


エ:「ありがとうございます。ですが、母がフィオナ王女様を我が領にお招きするまで、公爵でありながらこの国のことに無関心でしたわ。危機的状況になってから漸く気付いた馬鹿と言われても仕方ないのですわ。」


サ:「ノーストキタ公爵様は、フィオナ王女のことを知らなかったのですから、仕方ないですわ。」


エ:「違いますわ。私は、エドガー陛下亡き後再び王位に就いた伯父王を支えなければならなかったのですわ。父から爵位を譲り受けた後、王姪として私が国の外交代表になるべきでした。私がそうしなかったから今イーデアル領海域に他国の船が往来するのですわ。外交代表の魔力で国勢を測りますのよ。五星は。いつまでも、伯父王と母に外交代表を任せていた私の責任ですわ。」


サ:「それは、ノーストキタ公爵様の責任ではありませんわ。」


エ:「ありがとうございます。ですが、他国は、この国の筆頭公爵家イーデアルの次期当主が四星であり、夫人までもが四星であること。エドガー陛下亡き後王位に就いたのが再び伯父であること。そして、国の外交代表がその伯父と私の母であること。国勢が衰えていると判断される十分な理由となりますわ。来年から、外交代表は、私が務めることになりましたわ。少しは、他国の船も減ると思いますが、イーデアル領は、難しいですわ。北限のノーストキタ領は、そんな心配ないのですよ。五星当主なんてノーストキタには必要ありませんわ。母がノーストキタに降嫁したのも少し前の世代が五星飽和状態だったからですわ。ふふっ。今と全く違いますわね。次世代の王族系の五星がフィオナ王女様だけなのと。」


サ:「ノーストキタ公爵様にお話を聞くまで、五星の方々の世界は四星以下と別世界と思ってましたわ。国家の存続に関わることですのに。」


エ:「当面は、私がいますが、心配なのはフィオナ王女様の次世代ですわ。私の希望といたしましては、フェリオ王子様のまま複数の妃をお迎えになり、五星のお子を数人得ていただきたいのですわ。ですが、元々王女様ですので、王女様をお選びになっても仕方ないことですわ。」


サ:「そのことでしたら、私も心配しています。元々王女様ですので、王子様のお体は、外見だけなのではないのかとも思っています。五星の呪詛に関しては、例のないことですので、分かりません。具体的に言えば、元々の女性の体が呪詛で男性の体になった場合の体の機能ですわ。王族の将来に関わる大切なことです。」


エ:「それは…。そうですわね。私も、はっきりとは分かりません。まだ子どもですし、男女の違いもたいした差はないですわ。」


サ:「そうですわよね。後数年しないと分からないですわよね。数年後に調べると言っても、本人に少し言いにくいですし。」


エ:「調べる方法があるのですか?」


サ:「ええ、ありますわ。よろしければ説明致しますわ。」


エ:「いえ、いいですわ。方法があることだけわかれば。ところで、サラ教授は、フィオナ王女様にお会いになられたことは、ありますか?」


サ:「まだありませんわ。エルザから聞いているだけですわ。」


エ:「そうですか。参考になるかどうか分かりませんが、男児と女児の場合では、魔力の量も質も違いますわ。」


サ:「えっ?質ですか?四星とか五星の質ではなく?」


エ:「ええ、その質ではないですわ。個性といいますか、感覚的な違いですので表現が難しいですけど。フィオナ王女様はフェリオ王子様よりも量も質も全て上ですわ。」


サ:「そうですか。フェリオ王子様は、十分優れた魔力量と聞いていましたが、フィオナ王女様はさらに上ですか?同じではないのですね。」


エ:「ええ、フィオナ王女様の方が魔力量も多いですが、質が極上なのですわ。フィオナ王女様の魔力は、蕩けるような上質の魔力なのですわ。母は、初めて会ったその日に王女様の後見人を申し出、西の公爵は、側に置いてくれと懇願するほどですわ。」


サ:「フェリオ王子様とフィオナ王女様では、それほど変わるのですか?」


エ:「ええ、後、体型も違いますわ。男児の時は、鍛えらた筋肉質の厚みのあるがっちりとした体ですが、女児の時は、柔らかい女の子らしい体ですわ。声も違います。身長も少し違いますわね。性格も少し違いますね。後は、そうですわね…王女様の時の方が側にいて安心感がありますわ。同性だからかも知れませんが王女様の近くにいたい気持ちになります。異性のフェリオ王子様の時はただのいとこ甥で特に近くにいたいと思いませんわ。同一人物なのに不思議ですわね。」

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