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83.レリーリアラの憂鬱 2(&パニるフィオナ)

『あっ、やってしまったわ。今日、初めてフィオナ王女殿下にお会いするのに。』


夜、再び、自分の立場を悲観して泣いてしまったレリーリアラの目は、腫れぼったく、クマまで出来ていた。魔法で冷してなんとか誤魔化したが、少し気になる。


『仕方ないわ。初対面だから大丈夫よね?』

そう思い、王宮に行った。


フェリオが出迎えてくれて、部屋に通された。

「ちょっと待ってて。フィオナを連れてくるから。」

そう言って、出て行ったままなかなか戻って来ない。


「お待たせ、遅くなってごめんね、レリーリアラ。妹のフィオナだよ。じゃあ、後は、よろしくね。」

フェリオは、何故かフィオナとミューラを連れて三人で現れ、そう言った。


「えっ?」

ミューラが来ると思わなかったレリーリアラは、固まった。


ミューラが口を開く。

「レリーリアラ・マ・イーデアル様ですわね。初めましてでいいかしら?パーティーでお見かけした程度ならありますけど。ミューラ・マ・ノーストキタですわ。ごめんなさいね。今、フィオナ王女様の魔法の練習中だったのよ。私は、もう行きますわ。さっ、フェリオ王子様、行きましょう。では、ごゆっくりどうぞ。失礼しますわ。」


「はい。ありがとうございます。ミューラ・マ・ノーストキタ様。」

ミューラとフェリオは、それだけ言うとすぐに出て行って、レリーリアラはいきなりフィオナと二人だけになった。


「レリーリアラ様。フィオナ・マ・アールと申しますわ。いつも兄からレリーリアラ様のお話は聞いてますわ。私たち従姉妹になりますのよね。お会い出来て嬉しく思いますわ。」


『超かわいい美少女。フェリオ王子様にそっくり。双子みたい。って双子だったわ。お祖父様の第一夫人のシーランお祖母様によく似ているわ。二人ともマリアンヌ伯母様に似ているのね。』

双子だとは知っていたが、こんなにフェリオに似ていると思っていなかったレリーリアラは、フィオナの顔を見て驚いていた。


「レリーリアラ様?」


「あっ、はい。失礼いたしました。私、レリーリアラ・マ・イーデアルと申します。レリーリアラとお呼び下さい。フィオナ王女殿下。私も、ずっとお会いしたいと思っていましたわ。イーデアル領の本宅にいらっしゃったのですわよね?」


「ええ、まぁ、そうですわね。ええっと。(まずいわ。早速ボロが出そう。冷や汗が…。)」


「イーデアル領の本宅のフィオナ王女殿下のいらっしゃった三階フロアー全て立ち入り禁止でしたわ。フィオナ王女殿下は、どうされていたのですか?」


「(…うっ、知らないわ。行ったことないし。あなたからの情報だけよ。イーデアルのお祖父様とは今ほとんど会わないし。確認だけでもするべきだったわ。どうしょう…)ごめんなさい。静養中のことは、色々とありまして、今は詳しく言えないの。そのうちお話できると思いますわ。」

本当のことが言えないフィオナは、適当に答えた。


「いえ、私こそ申し訳ありません。そうですわよね。色々ありますわよね。」


「私、同じ年頃の子と話したこともないの(フェリオの姿だったらあるけど)。王宮に来ていただけて嬉しいわ。(無難にこんな感じかしら?)レリーリアラ(しまった。『様』を付けて呼ぶのが正解か付けないのが正解か分からないわ。友達になったら『様』は要らない。下の者は付けるけど。じゃあ、従姉妹は?って聞いてないわ。女の子って難しいわ。)様。(とりあえず付けてっと。)」


『…今の間は、何かしら?』

レリーリアラは不思議に思った。が、同じ年頃の子と話したことないって言っていたので、きっとそう言うことだろうと察し、

「レリーリアラとお呼び下さい。フィオナ王女殿下。『様』は要りませんわ。」

と言った。


「(レリーリアラが驚いた顔をしている。絶対変に思われたわ。もう無理。限界よ。女の子、無理。ギブアップよ。ミューラ様助けて。えっ?早い?後、30分頑張れって?無理ですわ。何て言って話すのが正解か分からないわ。えっ?正解なんてないって、答えになってませんわ。ううっ。従妹のレリーリアラ相手にこんなに苦戦するなんて。前途多難よ。)では、私もフィオナで。」


レリーリアラは、驚いた。おもいっきり間が開いてからの一言。何か考えていたみたいだったが、イーデアルで静養中、ほとんど人と話したことなかったのだろうと勝手に察し、

「はい。フィオナ王女殿下。初等学校ではそう呼ばせていただきますわ。ですが、ここは王宮ですので、今はフィオナ王女様とお呼びいたしますわね。フェリオ王子様も、そうお呼びしてますわ。」


「(そうよね。言われてみれば、確かにそうよ。まずいわ。混乱してきたわ。もういいわ。開き直りよ。困った時は、笑って誤魔化せよ。昔からそう言うわ。笑って誤魔化せあっはっはっ、よ。)そうですわね。では、学校に行った時は、そう呼んでください。まだ先ですけど。(ニコッ…ってこんな感じかしら?)」


「予定では、来年の1の月ですわよね。(かわいい笑顔。本当、シーランお祖母様によく似ているわ。)」


「ええ、ですがしばらくは午前中、半分くらいはお休みする予定ですわ。(魔力と集中力が持たないわ。幻影魔法中の。今は精神的に限界よ。助けて、ミューラ様。)」


「そうですか。今、お体は、大丈夫ですか?」


「ええ、ありがとうございます。(あれ?レリーリアラ、目どうしたのかしら?腫れぼったいし、クマ出来てる?聞いてみようかしら。)ところで、レリーリアラ。昨日、何かありましたの?」


「えっ?特に何もありませんでしたわ。」


「目が、その、なんていうか、泣いた後みたいな?眠れなかったみたいな?そんな感じがしましたの。」


「あっ、申し訳ありません。(バレたわ。いつもよりほんの少し腫れぼったいだけなのに)何でもないですわ。」

レリーリアラは、俯いて、黙ってしまった。


「(ううっ、もしかして女性にデリカシーがない質問だったのかしら?どうしょう。根本的に男として育った感覚が抜けないわ。レリーリアラ、俯いたまま私を見なくなってしまったわ。どうすればいいのかしら?治せばいいのかしら?)レリーリアラ、もし、嫌でなければ、手を貸してもらえるかしら?そのまま、手を出すだけでいいの。」


「はい。フィオナ王女様。」

レリーリアラが手を差し出すと、フィオナは、レリーリアラの手を握り、魔力を送り始めた。レリーリアラは、四星なので、ゆっくりゆっくり優しく優しく丁寧に癒すように心がける。


『凄い魔力。五星の方の魔力って以前フェリオ王子様の魔力で気を失った時以来だわ。お祖父様の魔力には触れたことないし。暖かくて、安心する。癒されるわ。ずっとこの魔力を感じていたいわ。』

フィオナの魔力に癒されていたレリーリアラだったが、あまりの心地よさと、寝不足で、このまま寝てしまいそうになり、さすがにそれはまずいと思い顔をあげた。

目の前には、心配そうにレリーリアラの手を握るフィオナの顔があった。


「ごめんなさい。私、あなたを傷つけるつもりはなかったの。」


「いえ、フィオナ王女様。私、昨日、少し考え事をして眠れなくて。ですが、もう大丈夫ですわ。ありがとうございます。」


「心配事ですか?私でよければ…って、私、また…。ごめんなさい。初対面ですのに。(お節介だと思われるわよね。フェリオの癖が抜けないわ。レリーリアラとフィオナは初対面よ。踏み込んだら駄目よ。あっ、手を握ったままだったわ。)」

フィオナは、パッと手を離した。


「いえ、フィオナ王女様。私、とても嬉しかったですわ。王女様の魔力、暖かくて、優しくて…ありがとうございます。」


「本当?よかったわ。(ニコッ。)」


『何この笑顔。可愛過ぎますわ。王女様の魔力も笑顔も全部癒されます~~。』


レリーリアラがそう思っていたら、ノックの音がして、ミューラが戻ってきた。


「お話中、ごめんなさいね。そろそろ、フィオナ王女様は、お勉強のお時間なので、失礼しますわね。もう少ししたら、フェリオ王子様が来ますわ。」


「はい。ミューラ・マ・ノーストキタ様。フィオナ王女様、またお会いしたいと思いますわ。ありがとうございました。」

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