74.【番外編:3】第三回定例会 1
エ:皆さん、こんばんは。今回で第三回目となりました「フィオナ王女を守る五星会」定例会、盛大に始めさせていただきます。
ジ、ゴ、ミ:パチパチパチパチ(拍手)
エ:司会は、私、エリアノーラ・マ・ノーストキタが務めさせていただきます。本日は、フィオナ王女様のお話の前に、前回の続きであります王弟バードット殿下の隠し子について報告申し上げます。お手元の資料をご覧下さい。
バードット殿下の隠し子三星王子パドリット様は、現在16歳。高等学校の三年生であります。母親は、ライト子爵家長女リリアナ様。リリアナ様は、当時、高等学校ご卒業後、20歳まで侍女として王宮でお勤めになり、その後結婚される予定で、ご婚約者もいらっしゃいました。ところが19歳でパドリット王子をご出産になられ、婚約は解消、王子は分家に養子、リリアナ様自身は今もご実家のライト子爵家で監禁中。王子を四星と偽ったのは、監禁を解いてもらうため。また、元ご婚約者は、リリアナ様よりも二つ年下。二人は清いままの婚約状態であり、王子が元婚約者の子である可能性は双方が否定。分家に養子に出されているパドリット王子ですが、その魔力は、ライト一族で最も強く、一族は対応に困っている。以上がパドリット王子についてです。
次に、バードット殿下です。
マリアンヌ様のお腹のお子は、双子で、五星らしいと聞いていた。故に、お腹のお子は、マリアンヌ様にとって、ほぼ最後のお子たちとなる。お腹のお子たちが男女関係なく、出産後に認知するつもりでいた。ところが、早産の上に両陛下ともお亡くなりになられ、言い出せなくなった。次の機会は、初等学校を入学する前。その時に認知するつもりでいたが、三星王子と分かり、また、言い出せなくなった。そして、二人の妃に三星王子の存在がバレてしまった。二人とも、王子を認知するべきと最初は言っていたのだか、王家には五星の王子と王女がいらっしゃる。三星王子の存在を言えば、私だけでなく、二人の妃や、四人の姫たちの立場も悪くなってしまうと説得すると、黙った。いくら王子と謂えども、三星では役に立たない上、本当に自分の息子かどうかも疑わしいので捨て置いている。以上がバードット殿下についてです。
ミ:うわさ通りですわね。
ゴ:はい。しかし、実際は、うわさよりももっとよくないみたいですね。
ジ:エリアノーラ、資料にある詳細は、真であるか?
エ:はい。国王陛下。王弟バードット殿下とライト子爵令嬢リリアナ様の証言が異なるため参考程度に載せてあります。証拠はありません。
先ずは、バードット殿下です。
見習い上がりの若い侍女が自分を誘惑した。侍女は、「私が王子を生んであげる」と何度も誘ってきたので関係を持ってしまった。妃が懐妊中に、侍女も妊娠。生まれた王子を四星と偽り認知を迫ってきた。四星なら自分の息子と思い認知するつもりでいたが、実際は三星。自分は騙されていた。確かに関係はあったが、侍女は妊娠直後に実家に戻った。本当に自分の息子かどうか疑問である。故に捨て置くことにした。
次に、リリアナ様です。
見習い上がりの18歳で、無理やりバードット殿下に乙女を奪われた。婚約者は2つ年下の16歳でまだ清い関係であった。乙女を失った自分はもう婚約者と結婚出来ないと思った。そして、「側室にしてやる」と迫られ、断ることも許されず何度か関係を持った。そのうち妊娠したが、「三星の子なら認知できない。三星は王族ではない」と言われ、お腹の子が三星とバレる前に実家に帰った。実家では、恥知らずと罵倒され、監禁。しかし、生まれた子は、間違いなくバードット殿下の子なので、認めて欲しくて四星と偽った。
以上です。
ミ:最低ですわね。許せませんわ。
ジ:しかし、バードットの言うことも本当かも知れぬ。側室になりたくて、侍女の方から誘ってきた可能性もあるのでは。
ミ:はあ~~?何を言ってますの、お兄様。リリアナ様のご婚約者は、伯爵家の嫡男でしたのよ。王宮に侍女として勤めていたのも、子爵家の長女が二つ年下の伯爵家の嫡男の第一夫人になるための箔付けですわ。バードットの嘘に決まってますわ。
ジ:資料にはそのようなこと書いてないが。
ミ:ご婚約者の名誉のために書いてないだけですわ。
エ:お母様のおっしゃる通りです。元ご婚約者の男性は、今、別の女性を第一夫人としてお迎えになられ、お子様もいらっしゃるので、書きませんでした。
ジ:そ、そうか。なら、ミューラの言うことで間違いないとわしも思う。資料は、会が始まる前に読ませてもらった。バードットの処分は、だいたい決めておった。本当はもう少し厳しくしたいところだが、このようになるまで知らずに放っておいたわしにも責任がある。よって、
『王弟バードットは、王族としてあるまじき愚行を犯した罪により、王族としての権利を剥奪の上、実姉ミューラ・マ・ノーストキタの降嫁先であるノーストキタ領に、北の公爵家ノーストキタ当主王姪エリアノーラ・マ・ノーストキタの管理下において生涯幽閉とする。また、バードットの王族権剥奪に伴い、バードットの妃、子の権も全て剥奪の上、同じく王姪エリアノーラ・マ・ノーストキタの管理下に置くものとする。』
以上だ。後でもう少し細かく申し渡す。ミューラとエリアノーラには、迷惑をかけることになるが、許して欲しい。相応の保証はいたす。
ミ、エ:承知しました。国王陛下。
ジ:済まない、エリアノーラ。お前が王都に戻って来てからというもの全てをお前に任せっぱなしだ。何か欲しいものはないか?そうだな、王姪として、国王代理の権利をやろう。四大公爵家第一位の権限より上だぞ。
エ:要りませんわ。そんな権利。あってもなくても同じですわ。
ジ:そ、そうか。それもそうだな。便利と思ったのだが…。
ゴ、ミ、エ:……
ゴ:『国王陛下、褒美になってません。むしろ、逆。国王陛下のお仕事の押し付けです。』
ミ:『本当に褒美と思っているのかしら?便利なのはお兄様にとってだけですわよ。』
エ:『これ以上、都合よく色々押し付けられるのは勘弁して欲しいわ。』




