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72.話題になると

6の月の中間テストの後、普通ならテスト結果と順位発表でざわざわするのだが、今回は、違う話でざわざわしていた。


少し前に、王族に関する法の改正の決定施行、四大公爵家第一位の権限がイーデアル公爵家からノーストキタ公爵家に、また国の外交代表もエリアノーラ・マ・ノーストキタ公爵様と代わったのだ。

これにより、女性も王位継承権を持つことが出来るようになり、王位継承権第一位の王孫王子フェリオは変わらないが、今まで第二位だった王弟バードットに代わり、第二位は王孫王女フィオナとなった。そして、第三位バードット、第四位以降にはバードットの王女たちとなった。


王都は、今、フィオナ王女殿下とエリアノーラ・マ・ノーストキタ公爵様の話題でもちきりだった。


今まで、フィオナ王女殿下は、フェリオ王子殿下の双子の妹でお体が弱いために母親の実家のイーデアル公爵家本宅で静養中としか発表されていなかったが、今回、新たにフィオナ王女殿下についての情報が公式に発表された。


[王孫王女:フィオナ・マ・アール]

父:エドガー・マ・アール、母:マリアンヌ・マ・アール

第二子 長女 MR五星 九歳 兄(双子):フェリオ・マ・アール

王位継承権第二位

後見人:王妹ミューラ・マ・ノーストキタ


今年1の月、静養先から王宮にご帰還。

来年1の月、王都第一初等学校三年生にご編入学予定。



フェリオの同級生たちは、来年、話題のフィオナ王女殿下が自分たちの学年に編入してくるので、あちらこちらでその話をしていた。


当然、フェリオも色々聞かれる。


「フェリオくん、妹のフィオナ王女殿下は、どんな子?」

「フェリオくん、妹と何を話すの?」

「フェリオくん、妹は、どんな顔?フェリオくんと似てるの?」

「先月の授業参観の時に、ミューラ・マ・ノーストキタ様が視察にいらっしゃってたのは、フィオナ王女殿下が編入するからなの?」

「……」


「え~っと、フィオナとは…あまり話さないかな?何話したらいいのかよく分からないし…。」

「そうだよね。生まれてすぐから別々に暮らしてたら、何話せばいいのかわからないよね。」


「顔は、ぼくに似てるかな。双子だし。」

「ほんと~、フェリオくんの女の子版だったら、絶対かわいいよね。」


「どんな子?やっぱり少し体が弱いから、来年から学校に通うけど、みんなと同じように1日中は、ちょっと、無理かな?午前中だけとか。休みがちになるかも。」

「そうなの?じゃあ、あまり無理しないように、大事にしてあげないといけないね、フェリオくん。」


「……」


…………


午前中、妹のことをさんざん聞かれたフェリオは、少し疲れていた。

午後の移動教室でも、四人の四星たちがフィオナ王女殿下を話題にしていた。


ド:「フェリオくん、漸く妹王女殿下が帰ってきたって発表になったね。」

フ:「ああ、うん。そうみたいだね。」


ソ:「フェリオ様、フィオナ王女殿下は、フェリオ様にそっくりなお顔立ちと聞きましたわ。素晴らしい魔力とも。」

フ:「ああ、うん。そうみたいだね。」


レ:「フェリオ様、どうしました?お疲れなのですか?」

フ:「ああ、うん。少しね。」


ド、ソ、レ:「「「フェリオくん(様)、大丈夫?」」」

フ:「えっ?」


フェリオが顔を上げると、みんな心配そうに自分を見ていた。


フ:「あっ、ごめんね、みんな。朝からずっと同じ質問ばかりされてたから、ちょっと疲れてたんだ。」


ソ:「そうですわよね。申し訳ありません。フェリオ様」

ド:「ごめんね、フェリオくん。」

謝られて、フェリオは、慌てて自分も謝った。

フ:「ううん、ぼくが疲れてみんなに変な態度とっちゃってごめんね。今までのフィオナのことを考えたら仕方ないけど、来年の1の月に編入学したらどうなってしまうのか今から少し不安になってきちゃったよ。」


レ:「編入学してしまえば、大丈夫と思いますわ。みんな、フィオナ王女殿下とお友達になりたいと思いますわ。」


フ:「ありがとう、レリーリアラ。でも、フィオナは体が弱いからみんなと同じように1日中授業を受けれないんだ。午前中少しだけとかになると思う。ちゃんと友達出来るのか一人ぼっちにならないか心配なんだ。」


ド:「心配しないで大丈夫だよ。フェリオくん。三年生になったら、MR別魔法授業の時間が増えるから、フィオナ王女殿下は、オレたちと1日の半分は同じ授業だよ。」


ソ:「そうですわよ。魔法授業以外の普通のクラスでも、五星のフィオナ王女殿下は、おそらく私たち四星のうち誰かと同じクラスになりますわよ。フィオナ王女殿下が一人になることはありませんわ。」


ドルザッグもソフィアもフォローする。


ユ:「ところで、フェリオくん。フィオナ王女殿下は、勉強がどれくらい出来るの?」


フ、ド、レ、ソ:「「「「えっ?」」」」


空気を全く読まないユーンに残りの三人の四星は凍り付く。


ド、レ、ソ:『『『馬鹿、ユーン。今、そんな質問してる時ではない。(わよ。)』』』


フ:「たぶん、ぼくと同じくらいと思うよ。勉強も魔力も。フィオナは学校には行ってないけど、いっぱい家庭教師がいるから。魔法は、ミューラ大叔母上に教わっているしね。」


ユ:「フェリオくんと同じくらい優秀…。ぼくの順位が一つ下がってしまう。」


ド、レ、ソ:『『『フィオナ王女殿下がユーンとだけは同じクラスになりませんように。』』』

ユーン以外の三人の四星たちは心の中で同じことを願った。

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