68.【番外編:2】第二回定例会 1
エ:皆さん、こんばんは。本日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。只今より、『フィオナ王女を守る五星の会』第二回定例会を始めます。私、エリアノーラ・マ・ノーストキタ、今回も司会進行を務めさせて頂きます。よろしくお願いいたします。
ジ、ゴ、ミ:パチパチパチパチ(拍手)
エ:さっそくですが、始めさせて頂きます。先ずは、国王陛下に、フィオナ王女様の魔力に触れた感想を発表して頂きます。
ジ:うむ。前回の定例会後、ミューラと一緒にフィオナの魔力に触れてみた。フィオナの魔力は、前回のエリアノーラの報告通りの素晴らしい魔力だと思った。王子だろうが、王女だろうが性別に関係なく、あの子の魔力は、この国の王になるにふさわしいと感じた。以上である。
ゴ、ミ、エ:パチパチパチパチ(拍手)
エ:ありがとうございました。国王陛下の感想からも、五星は皆フィオナ王女様の魔力を同じように感じると言えます。ここで一つ私から疑問に思うことがあります。今さらとは思いますが、私は、母から聞いただけですので、国王陛下とイーデアル公爵様にお聞きしたいことがあります。私は、母からフィオナ王女様の兄王子様は、母親のマリアンヌ様のお腹の中で亡くなられ、そのためフィオナ王女様は予定より2ヶ月近く早くお生まれになったとお聞きしました。間違いはございませんか?
ジ:その通りだ。産まれた時、フィオナは、普通の赤ん坊の半分くらいの大きさしかなかった。だが、いくら五星とは言え、とても生まれたばかりの赤ん坊とは思えないほど凄まじい魔力を放っておった。それは、大人の四星が近付けぬほどであった。唯一フィオナに近付くことができたのは、サラ・マ・ヨーデキール教授だ。サラ教授は、エドガーとマリアンヌの同級生で、医学博士だ。双子が無事に生まれるために研究してくれておった。しかし、研究のため、城におらず、出産には立ち会えなかった。サラ教授が城に着いたのは、出産直後。サラ教授は、産まれたばかりのフィオナを別室に連れてきてくれた。わしらがフィオナのいる別室に行ったのとほとんど同じ時間だった。
エ:四星の中でサラ教授のみフィオナ王女様に近付くことができた理由は、後にして、その時のフィオナ王女様のご様子を教えてください。
ジ:恐ろしく不快な魔力を放っておった。サラ教授は、わしらにフィオナの様子を説明してくれた。フィオナは、本来ならまだまだ母親のお腹の中にいるはずであったが、無理やり外に出されてしまった状況であると。生きるために、自分の身を守るために必死で魔力を放っているのだと。フィオナは、不快な魔力を放ちながら声にならない声で泣き、呼吸するのがやっとであった。
ゴ:国王陛下のおっしゃる通りです。確かに生まれたばかりのフィオナ王女様の放つ魔力は、不快と感じる魔力でした。しかし、国王陛下と私は、サラ教授からそのように説明を聞きましたので、私自身は、必死で生きようと魔力を放つフィオナ王女様を可哀想に思いました。
ジ:わしもだ。生まれたばかりの小さいフィオナを可哀想に思っておった。そこにいきなりエドガーが入ってきて、そのままフィオナを自分の部屋に連れて行きおった。エドガーは、誰も近付くな、来るなと叫びながら部屋に閉じ籠った。当時、わしは既に退位し、国王はエドガーだった。護衛たちは、エドガーに従いわしらはなかなかエドガーの部屋に入れなかった。漸くエドガーの部屋に入った時は、エドガーがフィオナに呪詛をかけた後だった。
ゴ:王女様は、産着を着ていましたので、私は、最初は状況が全く分かりませんでした。エドガー陛下は、国王陛下と私に謝罪され、自分の代わりにこの子を守って欲しいとおっしゃって亡くなられました。
ジ:わしは、未だに何故エドガーがそんなことをしたのか分からんのだ。エドガーは、王子と王妃を失い混乱しておったとは思う。だが、フィオナに呪詛をかけておきながら、王位継承権のある男児にして、守って欲しいとは意味が分からない。恨んでるなら、何故守って欲しいのだ?矛盾しておる。
エドガーたちは、双子が男児でも女児でもいいように四つの名前を用意しておった。生まれてくる双子が、男女どっちでもよかった証拠だ。更には、マリアンヌに、フィオナを守ると約束したと言っておった。
ならば、何故、フィオナにそんなことをしたのか、何故フィオナを王女のまま王位継承できるようにしなかったのか。王族に男児がいないのならば、女児が王位を継承したらいいではないか。フィオナをわざわざ男児に変えなくてもいいではないか。
ミ:国王陛下、確かに公式では王族の王子はフェリオ王子だけですが、たぶん、いますわよ。王族の王子がもう一人。




