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51.大叔母の魔法指導の時間

去年もそうだったけど、1の月は、トラブルが多いなぁ、と思いながら、フィオナは、ミューラの魔法指導(と言う名前の雑談)を受けていた。


「フィオナちゃん、聞いたわよ。魔力暴走したんですってね。何を言われても、何をされても魔力を乱さないようにする練習がまだまだ必要ですわね。」


「ミューラ様。申し訳ありません。」


「まぁ、仕方ないですわ。五星はたまにあるのよ。ほとんどが心と体と魔力の成長のバランスがとりにくい思春期頃にね。中等学校からは、四星の教員が必ず数人いて、同級生の四星たちと少しずつ魔力を落ち着かせるマニュアルがあるのだけど、初等学校にはないのよ。初等学校の子供が魔力暴走なんて、おそらく初めてよ。」


「ううっ。これから気を付けますわ、ミューラ様。ところで、私は、フィオナはいつ頃から学校に行けそうですか?」


「幻影魔法をマスターしてからね。幻影魔法は、魔力をたくさん消費するから、今の魔力量ではまだ無理よ。九歳のお誕生日を過ぎたら練習しましょうね。フィオナちゃんが学校で魔力切れをおこし女児の制服を着たままフェリオ王子の姿に戻ったら、たいへんだわ。」


「私もそれだけは避けたいです。妹の制服を着たヘンタイ兄フェリオなんて絶対嫌です。」


「そうよね。一回でもそんなことになったら、学校中だけでなく、王都中に広がりそうよ。せっかくフェリオ王子のあのうわさ話も落ち着いてきたのに。」


「うわさ話って何のことでしょうか?」


「あら?本人なのに知らないの?」


「えっ?全く検討も付かないですわ。」


大叔母ミューラは、フェリオの失恋うわさ話を話してくれた。

フィオナは、驚いた。


「全然違いますわ。もちろん、心当たりはありますけど。あの時は…。」


フィオナは、一年生の三学期初日の話をミューラに話した。

ミューラは、馬鹿ウケの大爆笑だった。


「何それ?本当?笑い過ぎてお腹痛いわ。でも、そのおかげで、いいこと?あるわよ。フェリオ王子の婚約者候補の範囲が広がったのよ。」


「どういう意味ですの?」




魔法の先生が大叔母ミューラになってから、フィオナの王宮での魔法の授業は、毎日がほぼ雑談だ。

フィオナも魔法の練習より雑談の方が楽しく、雑談も大叔母も大好きになった。


ミューラに魔法の先生と後見人を任せたあの日、兄王ジャンはちょっとだけ異母妹にフィオナを任せることを不安に思った。ちょっとだけ当たっているのかも知れない。

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