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42.SIDE:ミューラ・マ・ノーストキタ 1

私は、ミューラ・マ・ノーストキタ。

国王ジャン・マ・アールの異母妹、この国の元王女ですわ。


MR五星の王女は、

国の東西南北四端領を治める四大公爵家の中で、次期当主がMR四星の男性である家に嫁ぐ慣例があり、私は、北のノーストキタ公爵家に嫁がされました。


四星の夫との間に、

五星の長女と四星の長男、次男を授かりました。

長女は、一時異母兄の息子王子の婚約者候補になりましたが、今は別の男性と結婚し、ノーストキタ公爵家を継ぎました。


同じMRなら男性が爵位を継ぎますが、MRが女性の方が上なら女性が爵位を継ぎますの。

長女は、こう言ってはなんですが、ワガママ放題に育ちましたわ。


ノーストキタ公爵家は、王国の北端にあり、領地の半分近くが氷に覆われたとても寒い土地で、作物も海産物もあまり取れず、四大公爵家の中では、一番貧しい公爵家でした。

私がノーストキタに嫁ぐまで、四大公爵家の中でも一番格下、五星の当主も数世代いない状態で、海産物の豊かな東の公爵家四大公爵家筆頭イーデアル家に比べると四分の一の財も、発言力もない家でした。


五星で王女だった私が降嫁したことで、ノーストキタは変わりました。財政は豊かになり、国政に関する仕事が増え、発言力も増しました。

五星の娘が生まれると、一族は歓喜しました。

末は、王妃か一族に久しくいなかった五星当主かと、娘を蝶よ花よと可愛がり育てました。


一族に可愛がられ育った娘は、

「第二王妃なんか絶対嫌。王都の王宮仕事も面倒くさい。ノーストキタの領地仕事が楽そうでいいわ。」

と、エドガー王子殿下がマリアンヌ様と婚約した瞬間に、これ幸いとさっさと別の男性と婚約しました。そして、成人するとすぐ、父親から爵位を譲り受けノーストキタ家の当主となり、領地に引っ込んでしまいました。


「お母様、ノーストキタ家の当主は、私です。お母様の命令は聞きません。お母様こそ、私に構わず、お好きになさって下さい。王都の別邸でも、ノーストキタ領のお父様のご隠居先にご一緒に住まわれても大丈夫ですのでご勝手にどうぞ。」

私が注意しても、全く私の言うことを聞かない娘。

どこで間違えたらこんな娘に育つのかと思うくらい自分勝手な娘は放っておくことにして、王都の別邸で、公爵代理をしている長男と暮らしていました。


ある日、異母兄の国王ジャンからフィオナ王女の魔法の先生の話がきました。弟の長女の時以来の魔法の先生の仕事を私はすぐ受けることにしました。


フィオナ王女は、

体が弱く今までイーデアル公爵家で静養していて、誰も王女と会ったことがない異色の姫君。どんな王女なのか、興味もありました。異母兄からは、フェリオ王子と双子だけあってよく似た顔立ちの五星の王女と聞きました。


そして、ついに初めて会う日になりました。


初めて会ったフィオナ王女は、本当にフェリオ王子にそっくりの姫でした。

体が弱そうには思えなく、とても健康そうな姫に見えました。

私は、彼女の魔力を測ってみたくなり、フィオナ王女に握手を求めました。


にこやかな表情のまま、素直に応じたフィオナ王女の魔力は、私を戦慄させました。

私に限らず、五星の者は、たいてい相手の魔力を測りたがります。同じ五星でもより強い魔力を持つ五星に従う傾向があるように思います。


フィオナ王女の魔力は、今までのどの五星の魔力より強く感じました。

そう、異母兄や、甥のエドガーよりも。


凍えるような恐怖感と一変して暖かい安心感。全く違う感覚の魔力でしたが、共通するのは私はあの子の魔力に敵わないと言うこと。フィオナ王女から感じるとても子供とは思えないほど膨大な魔力量と上質の魔力。

私は、あの子に魅せられました。

あの子の側にいたい。側にいてあの子を守りたいと同時に守られたい、そんな不思議な気持ちになりました。


フィオナ王女が出て行った後、私は兄王を見ました。


「お前の言いたいことは、だいたい見当がつく。場所を変えよう。ついて参れ。」


兄と私は少し狭い会議室に移動しました。

兄は人払いをすると、結界を張りました。やはり、フィオナ王女には何かあると私は確信しました。

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