40.思わぬ…広がり 2
色々あった一年間だったが、フェリオは無事初等学校の一年生を終了した。
初等学校の一年間、フェリオは全ての試験で学年トップを維持し、友達(男児のみ)もたくさん出来た。
サラ先生とは、結局、三学期の最後まで個人的に話をする機会はなかった。
一年生終了式の日の夕食の時、フェリオの祖父母は、フェリオの初等学校での生活を褒めてくれた。
「フェリオ、そなたの成績は優秀であったと聞いておる。よく頑張ったな。」
「ええ、フェリオは、成績だけでなく、クラスメートの中心となって運動や、お楽しみ会や、色々な行事で活躍したらしいですわ。サラ先生が褒めて下さいましたわ。」
「うむ、サラ・マ・ヨーデキール教授には感謝しかない。初等学校の教師だけでなく、高等学校などでもアドバイザーとして、あちらこちらで呼び出され、頼りにされておる。この国になくてはならない人物だ。」
「ええ、気遣いも出来る素晴らしい方ですわ。」
…
「フェリオ?どうしたのだ?元気がないようだが。何か学校で問題でもあったのか?」
「いえ、お祖父様、大丈夫です。何もありません。一年間楽しかったです。二年生になっても頑張ります。」
サラ先生の話題になったせいで、フェリオはなんとなくサラ先生のことを考えてしまっていた。
サラ先生に個人的に話をするのはやはり少し難しいが感謝の気持ちを伝えたい。
出来れば、また、サラ先生に担任になってもらいたい。
「はぁ~」
フェリオは、自分では気付いてないが、ため息をついていた。
『おい。フェリオが全く何も話さないでため息をついている。元気がない。失恋したからなのか?』
『おそらく、その影響だと思いますわ。可哀想に。』
こそこそ話す祖父母。祖父がフェリオを慰めることになった。
「フェリオ、何だ、え~、あれだ。あれ。」
「はい?如何いたしましたか?お祖父様。」
「新学期だ。新学期、二年生になれば、新しいクラスになり、新しい出会いもあると思うぞ。気持ちを新たにすることも大事だ。」
「はい?まぁ、そうは思いますが。なかなか難しいです。」
フェリオは、まだサラ先生のことを考えていた。
祖父母は、失恋の影響だと勘違いする。
「いえ、フェリオ。私も、気持ちを新たにすることは、大切だと思いますわ。過去を引き摺っていても、仕方ないですわ。大切なのは、これからの未来ですわよ。」
「未来ですか?お祖母様。」
「そうですわ。あなたは、五星なのですから、五星としての生き方をしないといけませんわ。(だから、残念だけど、三星以下のお相手の女児は諦めるしかないのですわよ)未来のあなた(の相手)が大切なのですわ。」
「そうだぞ。フェリオ。残念ではあるが五星は(相手は四星以上という)制限がある。自分の気持ちだけでは、どうすることも出来ない運命なのだ。(三星以下を好きになっても諦めるしかないのだ)だが、五星だからこその出会いだってあるのだ。わしたちがお前の力になる。(四星以上のいい女性を探してやるから)わしらに任せよ。」
「(MRの話?まぁ、仕方ないことと言えば、そうだよね。そのおかげでサラ先生とも出会えたのだから)はい。お祖父様、お祖母様、ありがとうございます。(これからも)よろしくお願いいたします。」
「うむ。(将来の相手探しならわしが決めてやるから)よいのだ。だが、そなたは、(婚約相手が決まるまでの)初等学校の間、自由に、思う通りに行動してよいのだぞ。五星とて(たとえまたMRが三星以下の者を好きになったとしても)色々な人に出会うことは大切だからな。」
「はい。お祖父様。初等学校は楽しかったです。ぼくは、二年生になっても、たくさんのことを学びたいと思います。」
「そうか。頑張りなさい。明日からのことだか、明日の朝、わしのところに来なさい。新しい魔法の先生を紹介しよう。」
「はい。お祖父様。ありがとうございます。」
楽しい夕食の時間が過ぎていった。
祖父母は夕食後、フェリオの将来の相手について話し合い、
正妃である第一王妃、第二王妃については、伯爵家以上四星以上としたが、それ以外の妃については、フェリオが選んだ四星以上の女性なら誰でも反対しないで認めることにした。
本人が全く知らないところで、フェリオの将来の相手は、これ以上ないほど拡大した。




