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32.侍女長の話 1

フィオナが少し落ち込んでいると、

「姫様、少しお話があります。よろしいですか?」

許可を出すと、侍女長エルザは、フィオナ付きの侍女を下がらせた。


二人だけになると、侍女長エルザは、いきなりフィオナに膝間付いた。

「フィオナ姫様、本当のお姿で再びお会い出来て私はとても嬉しく思います。おめでとうございます。」


「どういうこと?」

フィオナは意味が分からなかった。


「私は、姫様のお父上のエドガー国王陛下やお母上のマリアンヌ王妃陛下と同級生でした。伯爵家の三女の私は、高等学校を卒業後、侍女としてお城に就職しました。マリアンヌ様が王妃陛下となられた時、マリアンヌ様専用の侍女となりました。マリアンヌ様が姫様をご出産された時も、お側でお仕えしておりました。」


「じゃあ…」


「はい。私は、姫様の兄上様が死産だったことも、姫様が呪詛で男児のお姿に変えられたことも全て知っているのです。

姫様、国王様より許可をいただいております。私の知る限りをお話することをお許し下さい。」


フィオナは、許可をし、椅子に座ると、エルザを立たせ、エルザも椅子に座らせた。


「兄上様はマリアンヌ様のお腹の中で亡くなられました。朝起きてすぐマリアンヌ様は兄上様の魔力がなくなっていることにお気付きになりました。医師団をお呼びになり、医師団はそのまま出産準備に入りました。兄上様は医師団により取り出され、その後すぐ姫様がお生まれになったのです。予定よりもかなり早くお生まれになられた姫様は、普通ならとても育たないほどお小さかったのですが、生まれた瞬間から凄まじい魔力を放たれておりました。」


「おそらく、己が生きんがための魔力でしょうが、お小さくとも五星の姫様の魔力に敵う医師や看護士はおらず、姫様に近くことが出来ませんでした。そこにサラが遅れて現れ、姫様に産着を着せて別室に連れて行ったのです。」


「サラ?」


「はい。サラ・マ・ヨーデキール、サラ・レリ・ワトソンと言った方がいいでしょうか?フェリオ王子殿下の初等学校の担任のサラです。サラもサラの夫のドジルも私も皆姫様のご両親の同級生です。」


「五星の姫様の放つ魔力が落ち着くまで、姫様のことは、全てサラに任されました。私達は、産後のマリアンヌ様の看病に集中しました。マリアンヌ様は、出血が酷く、たいへん危険な状態でした。

エドガー様が呼ばれました。マリアンヌ様は、エドガー様に姫様のことを託され、気を失われ、そのままお亡くなりになられました。」


「エドガー様は暫くマリアンヌ様のお側におられましたが、処置の関係で、医師団以外の者は部屋から出されました。部屋から出されたエドガー様は、そのまま姫様のいる部屋に向かわれたのです。」


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