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15.友達

 フェリオは、殴られた男の子のところにいって、彼に話かけた。


「今聞いた通り、ぼくもみんなと同じクラスの仲間だよ。ぼく、フェリオって言うんだ。君、名前は?ぼくと友達になってくれないかな?」


「オレ、いや、ぼくはジンクス。本当にいいの?」


不安そうに担任の先生を見上げたジンクスを見て、先生は優しく頷いた。


「よろしくね。」

フェリオが手を差し出すと、ジンクスは、握手をして応えてくれた。


 フェリオは次に呆然と立ったままのアーロンのところに行った。

「君は、ライラック子爵家のアーロン君?だったよね。確か、以前ぼくの誕生日パーティーに来てくれてたよね。」


「はい。父と一緒に行かせて頂きました。とても楽しかったです。殿下に覚えていただいて光栄に思います。」


「そう、よかった。それと、君もさっき聞いた通りぼくたちは同じクラスの仲間なんだ。堅苦しい言い方はしなくていいよ。ぼくはフェリオ。名前で呼んで欲しい。ぼくも君のことを名前で呼んでいいかな?」


 周りの子供たちがフェリオとアーロンに注目してアーロンの返事を待っていた。

アーロンは、クラスメートの視線を浴びて緊張したのか顔が真っ赤になってなかなか応えられない。


「仲良くしようよ、えっと…。」

「アーロンと呼んで下さい。フェリオ王子殿下。」

「アーロン君、『王子』は要らないよ。ここは初等学校で、公式の場所じゃないんだ。ぼくと友達になって欲しいんだ。」

そう言って、フェリオが手を差し出すと、アーロンもフェリオの握手に応じてくれた。

「はい、分かりました、いえ、分かった、フェリオ君。ありがとう。」

「よかった。よろしくね。それとね、ジンクス君をいきなり殴ったのは、ダメだったよ。ぼくが一緒に行ってあげるからジンクスに謝ろう。」

「うん、分かった。」


 フェリオと一緒にジンクスのところに行ったアーロンは、ジンクスに謝罪した。

アーロンとジンクスはお互いに自分が悪かったと言って、お互いの謝罪を受け入れた。


 二人が仲直りしたのを見て、フェリオは

「今度、三人で一緒に遊ぼう。」

と提案した。

すると、二人ともぱぁっと笑顔になって、

「「うん。そうしよう。」」

と言ってくれた。



「ぼくも一緒に遊びたい。」「ぼくも。」「ぼくも。」

それを見ていた同級生たちが、三人のところによって来て、フェリオの周りは子供たちでいっぱいになった。


「はい。みんな、席に戻りなさい。明日からの説明を始めますよ。」


先生の言葉に、子供たちはみんな自分の席に戻った。


 ジンクスは、自分の席を探す途中だったのを思いだし、

『え~っと、オレの席は?』と探そうとしたところにフェリオが呼んでくれた。


「ジンクス君、ここだよ、君の席。ぼくの隣だよ。机に名前が貼ってある。」


「げぇ~~っ、一番前のど真ん中。マジか?オレは、もしかして問題児なのか。」


がっかりして項垂れるジンクスにフェリオは話かけた。

「じゃあ、ぼくも問題児?」


ジンクスは、慌てて

「フェリオ君は、新入生代表で挨拶するほど優秀なのに、問題児のわけがないじゃないか。特別扱いだよ。」


「え~~っ、じゃあ、やっぱりぼくは特別扱いして欲しくないなぁ。」


そう言って笑うフェリオとジンクスのやり取りに、同級生の子供たちも一緒に笑い出した。

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