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107.王都イーデアル邸 2

レリーリアラにウソを言って何でもないと答えたが、その後、なんとなく気まずい空気になった。


「申し訳ありません、フィオナ王女様。先日、初めて王女様とお会いした時と逆ですわね。私、王女様が私を心配してくださったのに、何でもないと答えましたわ。」


「ええ、そうだったわね。あの時は初対面なのにそんなことを言った私が悪いのよ。」


「いえ、王女様。あの時、王女様は私の目元をきれいに治してくれましたわ。私は、理由もお礼も言わないままでしたわ。なのに、今日、王女様にそんなことを言うなんて、申し訳ありません。」


「別にいいのよ。」


「あの時は、何でもないと言いましたが、実は悩み事があって、泣いてしまい夜眠れなかったのですわ。自分では治したつもりでしたが、王女様だけでなく、あの後ミューラ様にも同じ事を言われてしまいましたわ。」


「そう。ミューラ大叔母様が…。」


「はい。しかも、ミューラ様には、私の悩み事の原因まで当てられてしまいましたわ。」


「そう。ミューラ大叔母様はレリーリアラが原因を言わなくてもそれが分かったのね。私とは全然違いますわね。」


フィオナは悲しくなった。レリーリアラは、小さい頃からよく知る同い年のいとこだ。なのに自分は彼女が何を悩んでいたのか全く分からない。今も分からない。ミューラ様は、話したこともないのに悩み事が分かった。自分は、子供の頃から知っていると思っていたのに本当は彼女のことを何も知らないのだ。

今日、イーデアル公爵家で過ごして、レリーリアラを羨ましく思った。優しく弟妹と遊ぶレリーリアラが眩しく見えた。でも、彼女は夜泣きあかすくらい悩んでいることがある。自分は彼女と友達になってくれと言いながら、彼女を分かろうとしていないのだ。

フィオナは下を向いて、レリーリアラをまともに見れなくなった。


「え~っと、ミューラ様の言うアドバイスは私にとって目から鱗と申しますか、私の常識から外れたアドバイスをしていただきましたわ。」


「へっ?」

フィオナは、驚いて顔を上げた。何それ?


「ミューラ様は、私に、悩む必要ない。嫌なら断れと。思う通りにしたらいいと言いましたわ。もちろん、私は、そんなことは出来ないと答えましたわ。そうしたら、ミューラ様は…。」


「ミューラ大叔母様は、何て言ったの?」


「よくわからない意味不明の、謎のアドバイスをしてくれましたわ。」


「えっ?」


「謎ですわ。謎。未だに謎のままですわ。その後、フェリオ王子様がいらして、『女は少し秘密を持っている方が魅力が増すのよ』とか言って出て行かれましたわ。全く意味不明でしたわ。」


ああ、あの時、確かにミューラ様は、フェリオとレリーリアラにそう言っていた。フェリオは何のことかさっぱり分からなかったけど、レリーリアラも意味不明だったんだ。


「それは、本当に意味不明ですわね。」


「はい。私は、ミューラ様がそうアドバイスしてくれた後もずっと悩んでましたわ。そんなことを言ってはいけないと思ってました。

ですが、後日、フィオナ王女様とお話した時ですわ。庭園で五星の国のトップの方々にお会いした時の事をフィオナ王女様は、覚えていらっしゃいますか?」


「ええ、別にあの方々はいつも通りあんな感じですわ。特別変わったことはなかったと思うけど。まぁ、少し騒がしかったかしら。ごめんなさいね。」


「私は、あの後、悩むことを止めましたわ。あの方々を見ていたら、何だか悩んでいる自分が馬鹿馬鹿しく感じましたのよ。この国のトップの五星の大人の人たちなのにとても子供っぽく自由にしているように見えました。まだ初等学校の公爵家の子供が悩やんでいても仕方ないって。ミューラ様の言う通り嫌なら無理しなくていいのではないかと思いましたのよ。

それに、嫌々我慢するより、自分がそうしたいと決めた事をする方がいいのではないかと。もし、それで後悔したとしてもですわ。自分の道は人に言われて決めるのではなく、自分自身で決めたいと思ったのですわ。

私は、祖父と父に自分の気持ちを正直に伝えましたわ。そうしたら、祖父も父も私を理解してくれましたわ。ですから、王女様も、もし、何か悩んでいることがあるのでしたら…。えっ?」


フィオナは、レリーリアラの話の途中にもかかわらず、思わず彼女を抱き締めてしまった。当然、レリーリアラはびっくりした。


「ごめんなさい。本当にそうよね。悩んでいても仕方ないわよね。そうね、私も、人に言われて決めるのではなく、自分で自分の進む道を決めるわ。」

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