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104.イーデアル親子 2

「ノーストキタ公爵様は、弟から引き継いだ公爵の仕事だけでなくミューラ様が持ち込む仕事を全てお一人でこなしておられる。私が持っていた四大公爵家第一位の権限もそうだが、国王陛下までがご自分の代理にノーストキタ公爵様をお使いになられる。あの方は、公爵であり、王姪であり、成人五星一番の魔力量をお持ちだ。ミューラ様だけでなく、国王陛下までがノーストキタ公爵様をまるでご自分の娘のように仕事を押し付けておられるのだ。ノーストキタ公爵様が、フィオナ王女様に泣きついたのも仕方ない。今や、ノーストキタ公爵様がいなければ、国が成り立たないほどだ。お気の毒な話だ。」


「ノーストキタ公爵様がフィオナ王女様の前では泣き虫で子どもっぽいと言うのは。」


「ノーストキタ公爵様とて、ご自身のお立場を心得ておられる。フィオナ王女様が成人するまでに、国王陛下に万が一のことがあれば、この国を支え守らなければならないのは、ノーストキタ公爵様だ。そして、フィオナ王女様が王位を継承した後もそうだ。フィオナ王女様をお支えするのはノーストキタ公爵様だ。ノーストキタ公爵様は、今、国政の全てを学んでおられるのだ。まぁ、実際は仕事の押し付けだが、文句を言わずに受け入れておられる。フィオナ王女様だけがノーストキタ公爵様より強い魔力をお持ちだから、フィオナ王女様に逃げたくなったのだろう。我らと一緒にいる時のノーストキタ公爵様は、評判通りの人格の方だぞ。それこそ、国王陛下や、ミューラ様、西のウエスターナル公爵なんかよりよっぽど大人らしい適切な対応の出来る方だ。」


「はい。ノーストキタ公爵様が王都にお戻りになられてからは、王宮全体がピリリと引き締まりました。私は、今までノーストキタ公爵様は、五星でありながら公爵の仕事を全て弟に任せ自領引きこもりるわがままな公爵様だと思っておりました。しかし、実際のノーストキタ公爵様は、物事を適切に判断し、素早い対応と対策の出来る方です。内容を全て把握し、整理整頓をし、短い時間で明確に指示をし、さらには気配りも出来る素晴らしい方だと思いました。何故あのようにお出来になる方が自領で引きこもっていたのか不思議です。」


「おそらく、ミューラ様のせいだろう。ノーストキタ公爵様がおっしゃったわけではないが、おおよその想像は出来る。幼少の頃よりミューラ様が無理難題を押し付けてこられたと思われる。幼いノーストキタ公爵様に次から次へと色々やらせ、出来て当たり前。出来ないと五星のくせにこんなことも出来ないのかとお怒りになり、出来るまでやらせたのだろう。やってもやっても出来て当たり前。逃げ出したくなる気持ちも分かる。今のノーストキタ公爵とあの仕事量を見れば分かるだろう。引きこもりのわがままな方が、突然あのように出来るようになるわけがない。幼少の頃より培われた対応力があるからこそだ。ミューラ様は、厳しく育てたのに大きくなって馬鹿になったと言っておられたが、やり過ぎていたのを分かっておられない。今も昔もノーストキタ公爵様は、ミューラ様に関してはお気の毒だと私は勝手に思っている。

だが、反面、ミューラ様が言うには、ノーストキタ一族が、ノーストキタ公爵様を甘やかせてお育てになったらしいぞ。ノーストキタ公爵様は感情豊かな方だ。お気遣いもお出来になられるのは一族の優しさに触れてお育ちになったからであろう。

ノーストキタ一族は、四大公爵家の中でも一番貧しくて一番格下であった。お父上の前ノーストキタ公爵様は、口数の少ない大人しい方だ。あのミューラ様の子育てに口出ししたとは思えない。これも私の想像ではあるが、ノーストキタ公爵様は、幼少の頃、ミューラ様が厳しくお育てになられると一族にお逃げになった。だが、一族はミューラ様の子育てに対して意見を言えなかった。なので、優しくノーストキタ公爵様をお諭しになり、ミューラ様の元に戻した。そして、再びミューラ様は厳しくお育てになり、ノーストキタ公爵様は逃げ出す、一族は諭し戻す…を繰り返していたのではないだろうか。だが、ノーストキタ公爵様は五星だ。成長期頃母親に反発し始めると五星同士の争いにノーストキタ一族は手が出せなくなった。その結果がノーストキタ公爵様の引きこもりに繋がった、と私は想像している。」


「…父上、父上のお話を聞いていますと、私もそう思いました。おそらくそれで間違いないでしょう。」


「うむ。レリーリアラの件も、最初にレリーリアラと約束したのはミューラ様だ。そして、ノーストキタ公爵様に丸投げだ。事、ミューラ様に関しては、ほぼ我々の思う通りと思うが、ノーストキタ公爵様は、我々が思うことと違う事をおっしゃる可能性もある。とりあえず、今は、フィオナ王女様を我が家にお招きする準備をするのだ。」


「はい、分かりました、父上。」


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