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姉の消失

時刻は午後四時十三分。十一月四日。


大通りから見て、二本目に当たる細い道。

この道は、私のいつもの学校からの帰り道。

人とすれ違うことも、ほんとんどないこの道で、今私の目の前では。

人が死んでいる。


早く警察に電話しないと。

肩に掛けてある、ブランド物のバッグから、電話を探す。



だが体は立ち止まったままだった。


「ハァハァハァハァ」

徐々に息が荒くなってる。

視界が徐々に狭まってくる。

いつも母が言っている、落ち着かないときは、深呼吸をすると落ち着くからって。


深く息を吸い、ゆっくりと体に貯まった空気を体外に吐き出す。

何度か繰り返すと、自然と落ち着いた。

今度こそ警察に電話をしよう。


壱壱零、受話器のマークを押そうとしたその時だったーーー、


『ーーーやめて』


今にも消えそうなか細い声が。

確かに聞こえた、目の前の死体から。


「大丈夫ですか‼?」

私は女に寄り添っていった。

その人は少しだけだ、息をしていた。


『に…げ…ぇ』

女の声に耳を傾けるが、声が小さすぎて何を言っているのが分からない。


『にげ…て』


「逃げて?」

そう女は確かに言った。

けど逃げるって何から、どこに。

私の疑問はすぐ解決された。



「みーつけた」

数十メートル先から、一人の男がこちらに向かってくる。

男の手には、一般的な家庭では、まず目にすることのないような、大きな大きな包丁を左手に握りしめている。


ニタァー、

と不気味な笑みを浮かべる男は、一歩一歩と、こちらにしっかりと歩みを進めてくる。


『はや…にげ…て』


「分かってる‼」

つい大きな声が出てしまった。

逃げないと行けないのは分かってる。

逃げないと生きれない。

でも、ここでこの人を、見殺しにすることは出来ない。

どうすればいい。


『は…やく』

女が私の制服のスカートを引っ張る。

私は目の前の女に背を向けた。

死ぬ寸前の命と、まだ先がある命。

あなたならどちらを選ぶ?



必死に走った。

大通りに出ると、先ず警察に先程のやり取りを、一通り話した。




警察が現場についたのは、九分後。

しかし、そこには死体も血痕も残されていなかった。


その日からだった、私の身の回りで不思議なことが起こるようになったのは。







授業中、風もないのに、窓が震える。

自分の部屋の物が無くなる、又は移動する。

部屋のドアがノックされ、ドアを開けると、なにもいない。


しかし、それは、私だけが体験したわけではない。

私の姉も、同じ様なことを、体験していた。

物が無くなる、ぐしゃぐしゃにされ現れるなど。


姉と話すときは、その話題しか話さなかった。



その数日後だった、姉と、最近休んでいた私の友達が行方不明になったのは。







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