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ウィザードオブバージン  作者: チャンドラ
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魔法の始まり

「魔法が初めて確認されたのは平賀工ひらがこうという科学者が魔法の証明したのが始まりとされている」

 マリー先生は淡々と授業を進めている。

 俺は黙々と『魔法の歴史』とい大きく書かれている教科書を平げ、ノートを取っていた。

「この平賀工という科学者はRSFラボの科学者でたくさんの発明品を開発していたのだが、オカルト方面にも興味を持つことになった。幽霊の存在やファブリーズで除霊が有効というのも証明したのは彼だ」


 ほう。それは初めて聞いた。

 平賀工が魔法の存在を証明したというのは俺もおそらくは他の生徒も聞いたことがある。

 それくらい有名な話だ。

 しかし、幽霊の存在も証明していたとは、それは初耳であった。

 俺もそっち方面は詳しくは知らないが、霊媒師という職業も今や当たり前となっている。


「先生。この平賀工という人は具体的にどうやって魔法を証明したのでしょうか?」

 質問したのは月島芽依つきしまめいという緑色の髪とメガネを掛けた生徒だった。

「いい質問だ。月島。平賀工はネット上での三十才を過ぎた童貞は魔法使いになれるという噂を信じ、童貞の知人が魔法を使えるようになるのかという実験を行ったのだ」

「実験ですか?」

 月島は首を傾げた。

「ああ。童貞の知人に古今東西あらゆる魔法の勉強、修行を行わせ、魔法を使えるようにした。そして、学会発表の際に実際にその知人に魔法を使わせたのだ。物体浮遊の魔法のサイコキネシスを」


 ーー平賀工。彼が残した功績は確かに大きい。

 今の便利な電化製品、そして魔法の基盤を作り上げた人物と言っても過言ではないだろう。

 だが、それはいいことばかりではない。

 日本はまだ平和だが魔法使いが戦争の兵器として扱われることもある。

 戦争の数は間違えなく増えた。

 そういう意味では戦争の数を増やした張本人と呼ぶ者もいる。

 ちなみに彼は享年九十三歳だったそうである。

 天寿を全うしたと言っても良い。

 亡くなる直前まで発明品の開発に勤しんでいたらしい。

 本当に変わった性格だと思う。

 まったりと生きていきたい俺には考えられない。

 俺が魔法使いになったらやりたいことは、天候を操る魔法使いとして、適度に農家や野外スポーツの人のために適度に働き、まったりと暮らして生くことである。

 優秀な魔法使いほど、莫大な地位と名声と引き換えに忙しく危険な仕事をしなくてはならないらしい。


「今日の魔法の歴史の授業はこれまでだ」

 一時間目の授業が終了した。

 授業が終わるとすぐに鈴鐘はハリーポッターの本を取り出し、読んだ。

 俺はトイレに行くことにした。

 廊下を歩くと、友達通しで話し合ってる光景が見受けられた。

 ふむ。入学初日だというのに、すでにチラホラとコミュニティが出来上がっているようだった。

 その後は数学や国語といった一般的な授業をし、今日の授業が終了した。

「明日からは魔法実技の授業もあるからな! 覚悟しておくように」

 この学校では魔法実技についていくことができずに学校を去る人が多いと聞く。

 果たしてどんな感じなのだろうか。

 鈴鐘はそそくさと帰り仕度をして、机の側から離れようとした。

「また明日な」

 一応、隣の席の鈴鐘に別れの挨拶をした。

「ええ。せいぜいあなたも実技についていけるように頑張りなさいね」

 そう冷たく言い放ち去っていった。

 さてとーー俺も帰るか。


 コンビニへと立ち寄り、寮に戻った。

 寮は一人一部屋で家具はベッドに机といった最低限のものしか置かれていなかった。

 帰宅したものの、これと行って何もする気が起きない。

 俺は寮にあるロビーに移動した。

 ロビーにはパソコンが数台置かれている。

 午後九時までなら利用することができるとされている。

 しかし、すでにパソコンは上級生と思わしき生徒に全て使われていた。

 やれやれ、しょうがない。

 ちょっと暇つぶしに古本屋にでも行ってくるか。


 外に出て、歩いていたら途中でうちの学校の生徒が何やら揉めているのを目撃した。

「すみません、お金があんまりなくって......」

「はぁ? いいからおとなしく財布を渡せって言ってんだよ」

 三人の生徒が一人の生徒の財布を渡すよう求めていた。

 財布を迫られている生徒には見覚えがある。

 うちのクラスの西宮神にしみやじんだ。

 背が低く、銀髪の男子生徒で自己紹介の時も声が小さく気弱そうな印象を受けた。

 やれやれ、今時カツアゲだろうか。

「スコープ」

 俺はばれないように小さい声で呪文を唱えた。

 手から魔法陣を発せさせ、自分が持っていたスマホに魔法を掛けた。

「いいからよこせ!」

 一人の悪い生徒が神の身体をとりおさえ、もう一人の生徒が財布を取った。

「どうぞ。若松さん」

「おう。なんだ、結構入ってんじゃねぇか」

 主犯っぽい若松とか言うガタイのいいオールバックの髪をした奴が悠々と財布に入っていたお札を数えた。

 三万円だった。高校生には超大金である。

「か、返してください! それは一ヶ月の生活費なんです」

 すると悪びれもせず、若松がこう言った。

「ま。一ヶ月ゼロ円で乗り切ることだな」

 全くもってひどい。一ヶ月ゼロ円生活だって? どっかの番組の企画として提出したら確実にボツになるくらい無茶だろう。

 よし、あいつらを少し懲らしめてやるか。

 ただ、あんまり目立ちたくない。

「デスガイズ」

 魔法陣を自分の顔に当てた。

 スマホのカメラ機能で一応自分の顔を確認した。

 明らかに自分と違う顔のアメリカ人っぽい顔に変わっていた。

 よし、変装完了! 

 ちゃちゃっとヒーローっぽくあいつらをやっつけてやるとしよう......





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