ミミック 1
「ああぁぁああ!!どーしてこうなるんだよぉ――――――!!?」
そんな絶叫を上げている俺――リング・シュレディンガーは全力で王都…【リンゲージ】の“マラッカ草原を疾走していた。
ここは下級ランクの冒険者達がよく薬草などの採取や低ランクの魔物、これは冒険者のランクと同じ格付けなのだが低い順にE、D、C、B、A、sの順で最低ランクEの魔物、“ゴブリン”などの弱いモンスターを狩る為によく新人冒険者がよく狩場に使う場所なのだが…
『グルァァア!』
「こっち来んなや―――!?」
…リングが今追われているモンスターはミミック。ランクBの方でも結構上位に位置するモンスターだ。
はっきり言って、こんな低ランクモンスターしか出ない場所でランクBのモンスターであるミミックが出るなど普通はありえないのだが…
「あぁああああもうこの“スキル”ホントにいらねぇよぉぉおおぉお!!」
そう、リングがもっている“固有スキル”のせいである。
そのスキルの名前は“パンドラの加護”、この世界にある宝箱をリングが開けると、ミミック系…つまりミミックや、パンドラボックスしか出ないという迷惑極まりないスキルである。
リングは必死に逃げるが、王都に近ずくに連れて、体力がなくなっていき、徐々に追いつかれていく。
「――ッ!追いつかれる…なら…!」
逃げ切れないと感づいたリングは剣―――太刀を構える。
そして、体内の魔力を媒介に使用し、『剣技・流水』を発動させる。
リングは太刀をミミックに構える。呼吸を落ち着かせ、不要な思考を断ち切る。
はっきり言って、リングはまだランクDの冒険者、ランクBの魔物であるミミックには到底ステータスでは及ばない。
だが、今までランクDに上がるまでに培ってきた技術を、この太刀に乗せて―――ッ!!
『キシャァァアァ!!』
「ギャァァアァアァア!」
―――駄目でした。
リングの悲痛な叫び声がマラッカ草原に響きわたった。