目覚めると
ふむ、巷では異世界転生者が流行っているのか……この流行乗らねば!(いまさら)
さて、いろいろ下調べして王道もわかった!
よし、これは(またまた)リハビリがてら書いてみよう。
目が覚めると体がうまく動かせなかった。視界もひどく悪く、声も舌が張り付いたようにうまく動かせず喋る事ができなかった。声は聞こえるが何を話しているのか理解できなかった。いったい僕はどうなってしまったのだろうか、不安に胸が押しつぶされそうになる。
「おぎゃあ!おぎゃあ!」
喉から出る声は鳴き声だけ。こんなに大声で泣いたのは何時以来だろうか、悲しみのままに泣き続けていると、僕の両脇を抱える人物がいた。金髪に目鼻立ちの整った女性がしきりに口づけして背中を叩いて、僕をあやしている。
「はいはいはい、どうしたの、お腹が空いたの?」
そう言い胸元を露わにして乳房を押し付ける。混乱のなか僕は少しずつ状況を理解する。僕は赤子として転生し、目の前の女性が母親だと理解した。そしてこの状況から僕の食事はこれになる。生前女性にこのような事をしたことはない。生前の母親ならあるのだろうが、それは僕が物心つく前の話だ。
僕は生前の記憶と思考を持ったままに赤子としてここにいる。そしてしばらくこれが僕の食事になるのだ。いつまでもこのままでは良くないと考えて、とりあえず口にはしてみたが、とてもではないがこれを飲み続けるのは精神的に辛いものがある。
薄くて生臭く、これを何度も飲みたいとは思わない。口から自然と唾液にまみれて溢れる母乳を甲斐甲斐しく拭いて僕に語りかけてくる。
「お腹すいてるんじゃないの?」
そう言うと僕の腰に巻かれた布を外す、一体これはどんな羞恥プレイなのだろうか、生前にもそのような趣味の人たちはいると聞いたことはあるが、少なくとも生前の記憶を持ったままでこれが続くのだ。抵抗することはできず、自分でどうにかすることさえ叶わない。
しかし生まれたところからなら出産からだろうにと、少し思いながらも抵抗できない日々は続くのであった。