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怒り

「絶対に嫌じゃ!!!」

 なぜ朝っぱらからこうも大声を出しているのか。

 事の起こりは三日前。桜羅の事件が終わりかけのとき、伯父上が神託でわかった「勇者」を伝えに来た。


「勇者は…乙家 長女 乙音…お前だとよ」


 妾は全然良いのだが、周りの大人…両親や親戚、村の人々が反対しているのじゃ。なぜかと言うと、妾は今度「藍家 長男 藍夜」…つまり藍夜兄に嫁ぐことが決まっている。そんな妾がもしも死んでしまったら…?

 跡継ぎが生まれず、ここが潰れることになる。

 それが嫌なのはわかるが…でも、伯父上のときは男の跡継ぎがいなかったため、乙家から藍家へ伯父上が婿養子として入ったらしい。少し違うが、同じように別の娘を嫁がせれば良いのでは?と思うのだが…。どうにも他の血が混ざると神聖な力が消えるらしく、本家である藍家と分家である乙家、朱家しゅけでしか交わることができないらしい。

 朱家には男子が一人、女子が二人おる。だからその女子のうちの一人を…と思うが、どちらももう乙武や藍武に嫁ぐことが決まっているため、今更変えるというのもいろいろ面倒くさいらしい。藍音姉も朱家の男子に嫁ぐことも決まっていると言うし…。


 そんなこんなで今朝から伯父上と話し合いをしておるのじゃ!伯父上も妾も全く考えを曲げず、かれこれ二時間。乙武か藍武を代理にするかしないか。代理などできるのか?とおもったのだが、儀式をすればできるらしい。

 妾は…家内が…神を通じて妾を勇者と伝えてくれたのだからやりたい。そんな気持ちを理解できなくもないとは言ってくれるが、やっぱり反対してくるのじゃ。そして、最終手段として厄介な人物を連れてこられた。


「もしも死んでしまったら大変だろ?沢山の人々に迷惑がかかる。なあ?じい様」


 じい様…妾の祖父である。正直妾はこの人が嫌いじゃ。


『女子が剣術?女子だというのに…はしたない。どうせ女子が男子に勝てるわけがない。恥を晒すだけだ。今すぐやめなさい。』

『女子ならば茶道や華道を嗜みなさい』

『なんだその言葉使いは…あの年寄りのが移ったのか?今すぐ藍音と同じにしなさい』

『婆や…?あぁ。あの年寄りのことか。もう死んださ。お前の言葉使いが治らないからな』


 妾の世話係だった婆や。学問のことを教えてくれたり、茶華道を教えてくれたり、茶を淹れてくれた。菓子を作ってくれた。

―大好きだった。

 優しくて、妾のことを理解してくれて。

 最後に妾にかけてくれた言葉は…

『乙音様、今度婆やに茶を淹れてくれないかの?一度、乙音様の淹れた茶が飲んでみたいんじゃ』

 飲ませてあげられなかった…死んでしまった…から…。いや、死んでしまったのではない。目の前にいるこの人…じい様が殺したのだ。ただ、妾に言葉使いが移ったというだけで。


「まだ剣術などやっていたのか。さっさとやめてしまえ」


 今年で七十歳だというのに…まだそんなことを言う元気があるのか。


「何度言われても妾は…」

「女子が男子に勝てるわけがない。家の恥になるだけだ。やめろ」

 今までよりも威圧が強くなる。だったら…

「では、妾と乙武、藍武が勝負する。それで判断してくだされ」

「よかろう」

じい様はまだ勝てないと思っているのか妾を鼻で笑った。



「一本勝負だ。では…はじめっ」

 

木刀が激しくぶつかる音がした。相手は乙武。審判はじい様だから乙武は絶対に手加減できない。勝てるか勝てないかはわからないが…負けるわけにはいかぬ。

 藍家の武道場には木刀がぶつかる音と、妾達の足音だけが響いている。何か、少しでも隙があれば…そう考えていると、木刀を避けた乙武が少しよろめいた。

 隙があった…!

「…そこまでっ」

 乙武に当たる寸前の木刀。驚いた様子のじい様。

 藍武に勝てれば説得できる。そんな確信が持てた。

 じい様がニヤリと笑っているのも知らずに…。


「はじめっ」

 やはり藍武は強い。乙武と違い、無駄な動きが一切無い。

 だが、今まで妾は何度も藍武に勝てている。きっと今回も勝てる。‪

 少し藍武に隙ができた…勝てる!そう思った瞬間だった。

 ふいに何かにつまずいた。足元には固く、白いものが転がっている。これは…

「そこまでだ」

 じい様が歩いてくる。…まさかっ!

「どうやら、注意力と運が足りないようだ。私が()()()()落としてしまった物が足元に転がってしまうなんて…なぁ?」

 嫌な笑顔で見下ろしてくるじい様。

「こ、れは…誰の…」


「ん?あぁ…この骨か。それはお前の大好きだったあの年寄りのだ。形見にでもなるだろうし、お前にやるよ」

 婆…やの…?

 なんで…持っている…なぜ…

 去っていくじい様の後ろ姿を見ているうちに怒りが増幅してしまって、妾はじい様を木刀で殴ってしまった。その後数日間、妾は部屋に閉じこもり、ずっと婆やのことを考えていた。

どうも。胡桃野子りすです。

三ヶ月以上更新が怠っており、申し訳ございませんでした!

ずっと話はできていたんです!本当ですよ!

ただ、打ち込みに時間がかかっていただけです!

やっと投稿できた話が少し暗めになってしまいましたが…しばらくはこの暗さが続くかも知れません…。


10月30日、すなわちハロウィンの日にですね。

ハロウィンの番外編を投稿します!

番外編は明るい話になっておりますので…


それと、最近キャラ設定の練り直しをしています!なので、そのうち今までの話が少し変わっていたり…ということもあると思います!

現に今回、キャラ設定の練り直し中に作りました設定を少し混ぜてありますので!

今後、少しずつ修正加えていきますよ!


それでは、長くなりましたが!

それでは!また!!!

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