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依頼

早朝。

宿屋を出て、目撃情報の多い山へ向かう。

今までは戦うとなれば対魔物の依頼だったから煮るなり焼くなりしようがなんの問題も無かったが、今回は超人と言えども人間。「傷一つつけない」というのも依頼に入っているからむやみに手を出すことも許されない。そうなると、頭を使うことになる。

そう、つまり…


「ねぇ、リアちゃん!チョコ食べる?あ、もしかして甘い物嫌い?それなら…」


しつこく話しかけるチャラ男のアンとそれを眉一つ動かさず、無視し続けるリアの二人を中心にすることになる。リアは勿論、アホっぽいアンも意外に頭はいいのだ。それこそ村で一二を争う頭の良さ。

ただ、この二人がしっかりと話し合ってくれるかが不安で仕方が無い。

その理由はリアのシスコンだ。少し前に、何故そこまでアンを無視するのかと聞いたことがある。その答えは


「だってリオの想い人じゃないですか。ヤキモチをくリオも勿論かわいいけれどやはり心が痛むんですよ」


…とまあヤキモチをかせたくないということだけ。

まあ、流石に話し合いぐらいはしてくれるだろうとは思うが、少し不安なところはまだ残る。でも、リオを好きな人同士通じあってくれるだろう。


「ねぇ、リオ」


唐突にリアがリオに話しかけた。そして、この場にいる俺とアロ以外の全員が驚くことを口にした。


「私のこと…好き?」

「はぁ?何言ってるの?リア」


驚きというか戸惑いだな。俺とアロの場合は呆れだけど。


「だって…リオはいつもアン様、アン様!ばっかりで義姉あねの私を全然好いてくれないじゃないの…」


おい、大丈夫か…これ…?なんかよくわかんねぇことになってるけど。


「何言ってるの!?意味わからないんだけど!!」「2人共…それは……依頼が終わってからにしてください!!」


アロにキレられ、やっと終わった。


「あぁぁぁ!もー!どこまで行けばいいの!もう疲れたよぉ」

「うるさいよ。バカ。黙ってよ兄さん」


ったく…こんな時に兄弟喧嘩かよ。


「ちょっとさ、アロ。日に日に俺に対しての当たり強くなってない?」

「そんなこと無いよ、兄さん」

「お前らなぁ…そういうのは依頼が終わってから…やれって…」


そんなこと言ってる場合じゃねえな…。おい。


「おやおや、こんな所まで御足労ごそくろう感謝致します。何でも屋様」


いつの間にいたんだよ…!


「ふふ…そんなに警戒しなくてもよろしいですよ?」


余裕そうな笑顔でこちらに近づいてくる男。盗賊団の一味だというのは発言でわかる。それから、『盗聴もされていた』ということも。


「盗賊団『steal』。貴方がたですね?」


盗賊団『steal』。超人集団『steal』。都ではそう呼ばれている。


「ええ、勿論。都の方々がそう呼び始めたのでそのまま使わせていただいてるんですよ」


表情を崩さずに俺の眼の前に来たそいつは、笑顔の裏に黒い感情を隠していた。昔の俺のように。違う。今も俺はそうだ。剣の柄に手をかける。


「貴方は我々を傷つけることは許されない。違いますか?」


残念だったな俺はおとりだ。頼んだぞ。リア。


「クソッ…」


リアが投げかけた網を避け、いつの間にか木の上。


「我々にそんな見え透いた作戦など効きませんよ?」


そう言ってわらう。どうすれば…。

そのとき、横から何かがそいつに向かって飛んだ。白の鉄扇が。


「スティアっ…!?」


男も流石に攻撃を仕掛けてくるなんて思わなかったのだろう。避けきれずに当たった。バランスを崩し、落ちてくる男を網でキャッチして包む。

スティアはどうだ!とばかりに胸を張っている。幸い男に傷は無かった。ただ、これはやっぱり一歩間違えば大変なことになっていたし、注意はすべきだよな。


「わ、私…役に立てたかな…?」


そう考えた矢先、スティアが少しはにかみながら聞いてきたものだから、怒る気なんて失せて「勿論」と答えてた。直後アロに引っぱたかれたけどな。

最終的に、頭を使わずにむやみに手を出した馬…天然が活躍したわけだ。


***


取り敢えず、この捕まえた奴を都まで連れていき今度はこいつをおとりにしようということになった。


「わ、我々の力を持ってすれば、人質の奪還など容易いものだ!人質など意味も無いぞ!早く解放しろ!」


だのとわめいている。

「うるせぇな」

とその都度、リオに怒られ謎によろこんでいる。気持ち悪い。

冷静沈着そうな奴だと思ったかそうでも無く、ただのマゾヒストだった。それでも、やっぱり脚の力は強く、脚だけでどうにか脱出しようと試みていたが、リオに見つかりむちで叩かれていた。

やっぱり悦んでいた。気色悪い。


***


その数日後、人質奪還に来た盗賊団全員が仕掛けておいた罠にはまったところを引っ捕え、依頼は無事完了。意外にも容易い仕事だった。

報酬を貰って村に帰る最中だった。


紫がかった黒い雲が無数の星の瞬く夜空を覆ったのは。


そして、それが俺がこの世界(ここ)へ来ることになる一連の出来事の中の最初の出来事だった。

どうも!子りすです!

久しぶりに投稿できました!

ここから、少しずつ物語が動いていく(かも)!

それにしても気づいたら誕生日が過ぎ去って行きました…。

これからもがんばって行きますよ!!

それでは!また!

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